探究活動、課題研究

成果発表会を探究活動の改善にどう活かすか

探究活動の成果発表会は、生徒にとって貴重な学びの場です。他の生徒が重ねた努力の成果に触れて自らの取り組みを相対化してみることは適格な振り返りへの第一歩。多くの時間をかけた学びの成果をより深く、確かなものにできるかどうかを分ける重大な局面です。 代表者による発表に触れて、その良い所を理由とともに明確に掴めてこそ、同学年の生徒は自分の取り組みの成果と過程を振り返る際の「彼我の違い」に気づき、後輩学年は…

探究活動と進路指導でポートフォリオに残すログ

自らの学び(成果と過程)を振り返り、成長や進捗を確認しつつ、次に向けた課題を明確にすること(所謂「進捗と改善課題を捉えた学び」の実現)の重要性には、これまでも様々な記事で触れてきました。 教科学習の中では「主体的に学ぶ姿勢を育む」ために欠かせませんが、探究活動や進路意識を形成する学びの中でも重要な指導の一部です。それぞれの指導場面で、「ポートフォリオに残されたログをどう活用するのか、そのためにどん…

「学びの拡張」まで考慮したカリキュラムの設計

カリキュラムの設計(指導計画の立案)に当たって予め考えておくべきことの一つに「学びをどこまで拡張するか」という問題があります。言うまでもありませんが、学びの拡張を図るのは、授業ごと/単元ごとの学びにおいてコアとなる理解をしっかり形成してからです。根っこと幹がしっかりしていない木が枝を伸ばしても、ぐらぐらするばかりで大きくがっしりしたものにはならないのと同じです。コアを形成した後、どこまで学習を掘り…

探究型学習(課題研究等)の成果をどう測るか

課題研究などの探究型学習に限ったことではありませんが、何かに取り組ませたら、その成果と過程(取り組み)をきちんと評価をする必要があるのは言うまでもありません。できるようになったことを「たな卸し」することで生徒に自らの成長を自覚させるとともに、これまでの取り組みに足りなかったものに気づかせ、「この先、何にどう取り組むべきか」を考えさせること(=進捗と改善課題を捉えた学びの実現)が評価を行うことの第一…

探究的な学びの中でのビジネスプラン作り

総合的な探究の時間で「ビジネスプラン作り」に取り組ませるケースも少なくありません。社会課題の解決を図る中で新たなサービスや商品が生まれますが、探究とビジネスプランの親和性は元々が高いものです。以前の教育が、現状における社会の仕組みありきで、生徒をそれに適合させるプログラムだったとしたら、今の教育が目指すのは「社会課題を解決してどんな未来を創るか」を考え、行動できる人材の育成です。身の回りから人類の…

イノベーションをもたらす認知の網と偶然との出会い

新しく見聞きしたことを理解したり、そこに問題を発見したりするのは、もともと持っていた知識と新たな情報が接点を持ったということ。新たな情報が放り込まれたところの周辺に、既に蓄えられていた知識が待ち受けていないと、情報は接点を得ることなく素通りしていきます。既に知っていること/理解していることは、新しい情報を拾い上げるための「認知の網」として機能します。学びや体験の欠如で「網」が張られていない/穴が開…

調べたことの先に~新たな知と当事者としての関わり

探究活動や課題研究のプログラムを作って導入し、生徒に取り組ませるとき、「何を目的とする活動か」という根源の問いに先生方がどのような答えを共有しているかはとても大事なことだと思います。探究活動には様々な役割がありますが、以下の2つは他の活動での代替は困難です。 指導に当たる中、「調べ学習」で終わっている生徒、そこにも到達していない「検索&コピペ作業」だけで調べ終えた気になっている生徒を見過ごしてしま…

具体的なタスクを通して、作法を学ばせる(探究活動)

各地の学校で探究活動や課題研究の成果発表会を拝見していると、自らの興味を掘り下げ、リサーチクエスチョンを立て、きちんと探究のプロセスを踏んで答えを導いた後に、自分の生き方・あり方まで踏み込めているものも多々見かけますが、そうでないものも少なからず…。先行研究を拾い上げ、そこに書かれていたことを繋ぎ合わせただけに見えるものもあります。高校で体験する探究活動は「どんな研究成果が得られたか」より「各プロ…

教科学習指導と探究活動の重ね合わせ

探究活動にしっかり取り組ませるには、所謂「探究の方策」に加えて、その土台となる様々な力を養う必要があります。「情報を集め、必要な知に編む力」「理解したことをもとに考える力」「問いを立てる力/問題を見つける力」などはいずれも探究を進める上で不可欠なもの。こうした力は一朝一夕に獲得できるものではなく、日々の教科学習指導の中で学びを重ねさせて、時間をかけて培っていくべきものでしょう。指導機会の限られる「…

PISAが測ろうとしている「創造的思考力」

先日の新聞(朝日2024年2月12日)に「AI時代、PISAが問うのはOECD・武内良樹事務次長に聞く」と題する記事がありました。ご存知の通り、PISA2022では、参加した81の国や地域の中で数学的リテラシー5位、科学リテラシー2位、読解力3位(OECDの37か国では数学と科学が1位、読解力が2位)という結果でした。順位が回復したことは好ましいことだろうと思いますが、PISAではこの3分野だけで…

探究テーマに偏りは生じていないか

探究活動の成果発表会などを参観する際に、各生徒の「探究テーマ」が学年全体でどのように分布しているかに注目してみると、各校の指導の様子も垣間見えるように感じます。探究活動の指導における目標の一つは、探究のスキルと姿勢を学ばせることですが、生徒が「適切なテーマを、適切な手順を踏んで選び出す/打ち立てる(=問題を見つけ出す)ことができる」ようになってこそ、「社会参画力」や「持続可能な未来への責任」の涵養…

探究活動を通じて育む「思考力」と「実践力」

総合的な探究の時間が本格的に導入され、最初の1年が経過しました。先行実施の期間も含め、指導には様々な試行錯誤が重ねられ、その成果が現れるとともに、指導手法も確立してきているように感じます。これまでの指導の成果とプロセスをしっかり振り返り、これまでに確立したものをさらに磨く準備を整えて、次年度を迎えたいものです。各教科、進路指導と一体となったカリキュラム全体の中で、探究活動が大きな部分を担うのは、2…

問いそのものを深化、拡張する練習の場

授業を受けている中でも、日々の生活の中でも、何かしら疑問が思い浮かぶことがありますが、多くの場合、スマホでググってちょこっと調べてみたりするところに止まるのではないでしょうか。ときには何の行動も取らず、そのまま放置してしまうことも少なくないかと思います。疑問が逼迫したものでなければ、それでも実害はないかと思いますが、そこに潜む問題の実態を探り、その解決策を考え出していく力(姿勢と方法)を獲得するチ…

他教科の授業で生徒が学んでいる「探究の方策」

総合的な探究の時間が「教科横断型の学びの場」である以上、自教科以外の授業で生徒がどんな探究のスキルや姿勢を身につけているかを知ることは不可欠。それらを踏まえないことには、生徒が獲得しているものを活かした/土台にしたその先の指導にはなり得ません。探究活動は、各教科で学んだこと(学習内容そのものに加えて、それらを学ぶことを手段として獲得した能力・資質)を、自分事としての課題の解決に使ってみることで、そ…

PPDACサイクルを用いた課題研究(後編)

昨日に引き続き、PPDACサイクル(以下の5フェイズからなる統計を使った課題発見&解決の手順)を用いた課題研究について考えます。 Problem(問題): 問題の把握と明確化 Plan(調査の計画): 研究計画づくり、不足する知見の補完 Data(データ): データの収集・整備、統計表の作成 Analysis(分析): グラフの作成、問題点の分析 Conclusion(結論): 分析結果の解釈、レ…

PPDACサイクルを用いた課題研究(前編)

課題発見や課題解決を行う枠組み(型)の一つに、「PPDACサイクル」というのがあります。 未だに認知度は高くないようですが、総務省統計局が開設している 「データ・スタート」というWEBサイトに紹介されています。ちなみに「なるほど統計学園」もお役立ちサイトです。この枠組みでは、問題の解決に至るまでのプロセスを以下の5フェイズで構成されるものと考えています。 Problem(問題): 問題の把握と明確…

成果発表会は、先生方が指導を振り返る機会

生徒が1年かけて取り組んできたことの成果は、取りも直さず、先生方が重ねてきた指導の成果にほかなりません。成果発表会での講評者からの指摘や助言などからどれだけ反省(課題)と展望を得て、その先の活動に活かせるかは、生徒のみならず、先生方にも問われるところだと思います。日々の学習でも、「振り返り」は次に向けた課題形成を図るのに欠かせませんが、特色ある教育活動として小さからぬリソースを割いて取り組んでいる…

良いものを選んで重点的に~探究活動の成果発表

探究活動や課題研究の成果発表会では、優れたものをきちんと選び出してスポットライトを当てるよう、その運用には細心の注意が必要です。後輩たちは先輩の発表を見て参考やヒントにします。良いものと悪いものの違いがはっきり判るようにしてあげないと、適当にお茶を濁したものを目にして「あの程度でOK」という誤解を抱くかも知れません。成果を発表させる/まとめる機会は、学校全体で取り組んできた新たなチャレンジが、次年…

探究型学習を使った進路指導 #INDEX

探究型学習を通して、深めてみたいと思える興味や、自ら関わりを持ちたいと思える社会の課題を見つけ、それを起点にして具体的な進路希望を作っていく生徒がいます。あるテーマを広く調べ、考察を深めていく中で、上級学校に進んで本格的に学んでみたいと思えることを見つける可能性は低くないはずです。別稿「カッコつきの“キャリア教育の充実!”に思うところ」にも書いた通り、職業をターゲットにして逆算的に作ったルートに乗…

社会が取り組む課題を軸にした学部・学科研究

この記事を最初に起こしたのは2014年の秋です。その直前、お誘いをいただいて、「都立高校生のための多摩地区国公立大学合同説明会」というイベントを参観する機会を得ました。土曜日の午後ということもあって、会場は300人を超える国公立大学を目指す都立高校生で熱気に溢れていたのを覚えています。各大学とも「志願者を増やす絶好のチャンス」とばかりに様々な趣向を凝らす中、東京農工大学のプレゼンは際立って興味深い…