探究活動、課題研究

調べたことの先に~新たな知と当事者としての関わり

探究活動や課題研究のプログラムを作って導入し、生徒に取り組ませるとき、「何を目的とする活動か」という根源の問いに先生方がどのような答えを共有しているかはとても大事なことだと思います。探究活動には様々な役割がありますが、以下の2つは他の活動での代替は困難です。 指導に当たる中、「調べ学習」で終わっている生徒、そこにも到達していない「検索&コピペ作業」だけで調べ終えた気になっている生徒を見過ごしてしま…

具体的なタスクを通して、作法を学ばせる(探究活動)

各地の学校で探究活動や課題研究の成果発表会を拝見していると、自らの興味を掘り下げ、リサーチクエスチョンを立て、きちんと探究のプロセスを踏んで答えを導いた後に、自分の生き方・あり方まで踏み込めているものも多々見かけますが、そうでないものも少なからず…。先行研究を拾い上げ、そこに書かれていたことを繋ぎ合わせただけに見えるものもあります。高校で体験する探究活動は「どんな研究成果が得られたか」より「各プロ…

教科学習指導と探究活動の重ね合わせ

探究活動にしっかり取り組ませるには、所謂「探究の方策」に加えて、その土台となる様々な力を養う必要があります。「情報を集め、必要な知に編む力」「理解したことをもとに考える力」「問いを立てる力/問題を見つける力」などはいずれも探究を進める上で不可欠なもの。こうした力は一朝一夕に獲得できるものではなく、日々の教科学習指導の中で学びを重ねさせて、時間をかけて培っていくべきものでしょう。指導機会の限られる「…

PISAが測ろうとしている「創造的思考力」

先日の新聞(朝日2024年2月12日)に「AI時代、PISAが問うのはOECD・武内良樹事務次長に聞く」と題する記事がありました。ご存知の通り、PISA2022では、参加した81の国や地域の中で数学的リテラシー5位、科学リテラシー2位、読解力3位(OECDの37か国では数学と科学が1位、読解力が2位)という結果でした。順位が回復したことは好ましいことだろうと思いますが、PISAではこの3分野だけで…

探究テーマに偏りは生じていないか

探究活動の成果発表会などを参観する際に、各生徒の「探究テーマ」が学年全体でどのように分布しているかに注目してみると、各校の指導の様子も垣間見えるように感じます。探究活動の指導における目標の一つは、探究のスキルと姿勢を学ばせることですが、生徒が「適切なテーマを、適切な手順を踏んで選び出す/打ち立てる(=問題を見つけ出す)ことができる」ようになってこそ、「社会参画力」や「持続可能な未来への責任」の涵養…

探究活動を通じて育む「思考力」と「実践力」

総合的な探究の時間が本格的に導入され、最初の1年が経過しました。先行実施の期間も含め、指導には様々な試行錯誤が重ねられ、その成果が現れるとともに、指導手法も確立してきているように感じます。これまでの指導の成果とプロセスをしっかり振り返り、これまでに確立したものをさらに磨く準備を整えて、次年度を迎えたいものです。各教科、進路指導と一体となったカリキュラム全体の中で、探究活動が大きな部分を担うのは、2…

問いそのものを深化、拡張する練習の場

授業を受けている中でも、日々の生活の中でも、何かしら疑問が思い浮かぶことがありますが、多くの場合、スマホでググってちょこっと調べてみたりするところに止まるのではないでしょうか。ときには何の行動も取らず、そのまま放置してしまうことも少なくないかと思います。疑問が逼迫したものでなければ、それでも実害はないかと思いますが、そこに潜む問題の実態を探り、その解決策を考え出していく力(姿勢と方法)を獲得するチ…

他教科の授業で生徒が学んでいる「探究の方策」

総合的な探究の時間が「教科横断型の学びの場」である以上、自教科以外の授業で生徒がどんな探究のスキルや姿勢を身につけているかを知ることは不可欠。それらを踏まえないことには、生徒が獲得しているものを活かした/土台にしたその先の指導にはなり得ません。探究活動は、各教科で学んだこと(学習内容そのものに加えて、それらを学ぶことを手段として獲得した能力・資質)を、自分事としての課題の解決に使ってみることで、そ…

PPDACサイクルを用いた課題研究(後編)

昨日に引き続き、PPDACサイクル(以下の5フェイズからなる統計を使った課題発見&解決の手順)を用いた課題研究について考えます。 Problem(問題): 問題の把握と明確化 Plan(調査の計画): 研究計画づくり、不足する知見の補完 Data(データ): データの収集・整備、統計表の作成 Analysis(分析): グラフの作成、問題点の分析 Conclusion(結論): 分析結果の解釈、レ…

PPDACサイクルを用いた課題研究(前編)

課題発見や課題解決を行う枠組み(型)の一つに、「PPDACサイクル」というのがあります。 未だに認知度は高くないようですが、総務省統計局が開設している 「データ・スタート」というWEBサイトに紹介されています。ちなみに「なるほど統計学園」もお役立ちサイトです。この枠組みでは、問題の解決に至るまでのプロセスを以下の5フェイズで構成されるものと考えています。 Problem(問題): 問題の把握と明確…

探究活動の充実には図書室との連携が不可欠

探究型学習の充実を図ろうとするとき、図書室との十分な連携は欠かせません。各教科の学習で「調べる、資料を探す」といった活動を増やしていこうとするときも同じです。これらを教育活動の軸に据えて全校で力を入れていこうと決めたのであれば、なおさらでしょう。学校をお訪ねするとき、可能な限り図書室を覗くようにしていますが、自習室としての使用がメインになっていることがしばしばで、蔵書群に学校の教育目標や特色ある教…

成果発表会は、先生方が指導を振り返る機会

生徒が1年かけて取り組んできたことの成果は、取りも直さず、先生方が重ねてきた指導の成果にほかなりません。成果発表会での講評者からの指摘や助言などからどれだけ反省(課題)と展望を得て、その先の活動に活かせるかは、生徒のみならず、先生方にも問われるところだと思います。日々の学習でも、「振り返り」は次に向けた課題形成を図るのに欠かせませんが、特色ある教育活動として小さからぬリソースを割いて取り組んでいる…

良いものを選んで重点的に~探究活動の成果発表

探究活動や課題研究の成果発表会では、優れたものをきちんと選び出してスポットライトを当てるよう、その運用には細心の注意が必要です。後輩たちは先輩の発表を見て参考やヒントにします。良いものと悪いものの違いがはっきり判るようにしてあげないと、適当にお茶を濁したものを目にして「あの程度でOK」という誤解を抱くかも知れません。成果を発表させる/まとめる機会は、学校全体で取り組んできた新たなチャレンジが、次年…

探究型学習を使った進路指導 #INDEX

探究型学習を通して、深めてみたいと思える興味や、自ら関わりを持ちたいと思える社会の課題を見つけ、それを起点にして具体的な進路希望を作っていく生徒がいます。あるテーマを広く調べ、考察を深めていく中で、上級学校に進んで本格的に学んでみたいと思えることを見つける可能性は低くないはずです。別稿「カッコつきの“キャリア教育の充実!”に思うところ」にも書いた通り、職業をターゲットにして逆算的に作ったルートに乗…

社会が取り組む課題を軸にした学部・学科研究

この記事を最初に起こしたのは2014年の秋です。その直前、お誘いをいただいて、「都立高校生のための多摩地区国公立大学合同説明会」というイベントを参観する機会を得ました。土曜日の午後ということもあって、会場は300人を超える国公立大学を目指す都立高校生で熱気に溢れていたのを覚えています。各大学とも「志願者を増やす絶好のチャンス」とばかりに様々な趣向を凝らす中、東京農工大学のプレゼンは際立って興味深い…

探究型学習を使った進路指導(その5)

探究型学習を通じて自らの進路希望を作るに至ったA君が、本シリーズの冒頭で登場しましたが、同じプログラムを同じように経験しながら、自分のあり方・生き方と結びつくものを見つけられないまま活動を終える生徒だっています。安易にテーマを設定した、調べ学習を行うところで終わった、探究してみたことの先に広がる学問の世界を覗き見ることができなかったなど、様々な要因でゴール(課題解決に取り組む体験を通し、自己の生き…

探究型学習を使った進路指導(その4)

探究型学習に取り組む経験は、進路意識の形成にも大きな役割を果たします。その最初の難関である「探究テーマの設定」における指導の前半フェイズについて、考えるところをまとめたのが前稿です。テーマ選択を念頭におき、アンテナを高く張った状態で、様々な情報に当たらせて、日々気になったことを書き溜めていき、そのメモの整理・分類を経て、潜在的な興味と関心の所在を探らせるという手順です。しかしながら、メモの分類を終…

探究型学習を使った進路指導(その3)

探究型学習に取り組ませるとき、研究のテーマを決めさせるまでの「準備段階での指導」が大切であるというのが、前稿の主旨です。目指すところ(=課題の解決に取り組む体験を通して、自己の生き方・あり方を見出すこと)をしっかり伝えた上で、正しい準備の工程を踏ませなければ、テーマの候補を挙げさせたところで、ダメ出しをせざるを得なくなるケースもしばしばだと思います。せっかく考えたことを差し戻されては生徒も面白かろ…

探究型学習を使った進路指導(その2)

探究型学習に、これまで行われてきたキャリア教育の代替として十分な機能が期待できるのは、前稿で申し上げた通りですが、最初のフェイズである「探究のテーマ選び」の段階できちんとした指導を行わないと、探究活動と進路指導を一体のものとして運用できません。自分の生き方・あり方を見つけ出せるようなテーマを生徒一人ひとりが設定できてこそ、探究活動は進路意識を形成する機会になり得ます。前稿でご紹介した、探究活動が進…

探究型学習を使った進路指導(その1)

探究型学習を通して、興味を持てる学問・研究や社会の取り組みを見つけ、そこから具体的な進路希望を作っていく生徒がいます。テーマに沿って広く調べ、考察を深めていく中で、学んでみたいこと、研究してみたいことを見つける可能性は低くないはずです。別稿「カッコつきの“キャリア教育の充実!”に思うところ」にも書いた通り、職業をターゲットにして逆算的に作ったルートに乗せる指導に限界が見える中、キャリア教育を補完す…