新しい学力観に基づく評価方法(記事まとめ)

高大接続改革や次期学習指導要領に向けて、教科学習や探究活動における指導法の改善は各地での試行と工夫で進んできたようです。各地の現場で授業公開や成果発表を見て回ると、様々な新しい取り組みに心躍ります。しかしながら、新しい学びに応じた評価方法はというと指導法の改善ほどは議論も行動も進んでいないのかもしれません。
きちんとした評価ができなければ、目標達成に向けた軌道の修正もできませんし、指導計画の継続的改善も図れないはずです。
どのような道程を通って目標に導くかは、地図に相当するカリキュラムや指導計画が描き出していたとしても、今どこにいるかを知るすべがなければ、これからどう進めば良いか判断がつかないはずです。
もちろん、「考査問題で何をどう測るか」を問い直すことも急がなければなりませんが、新しい学力観に沿った評価手法の確立はこれまで以上にきちんと向き合い、力を注ぐべき課題です。
ポートフォリオやルーブリックの整備やそれらを使った振り返りとメタ認知の向上について、これまでに起こした拙稿をまとめてみました。

2018/11/18 公開のまとめページにアイテムを追加しました。

(前回更新:2020/07/21)

1.ポートフォリオを用いる評価と指導

ポートフォリオの円滑な導入と効果的な活用に向けて
ポートフォリオに何を記録し、どう活用するか
校内に蓄積されてきたデータを生徒IDで関連付ける
探究活動と進路指導でポートフォリオに残すログ
体験のたびに感じたことをしっかり考え、言語化&記録

2.ルーブリックを用いる観点別評価

ルーブリック評価の作成と運用
ルーブリック評価の導入はなぜ必要なのか
副作用を抑え、効能を最大化するルーブリック評価の運用
学びの方策、進路意識の形成過程における効果測定

3.自己評価・相互評価を通じて形成するメタ認知

評価スキルの獲得とメタ認知の向上
進歩を止めさせない自己評価の在り方
自己評価、相互評価を行わせるときの工夫
言語化を通じて育む「振り返りのための相対化スキル」
メタ認知、適応的学習力

4.変化量(指導前後の差)に着目して行う評価

最初の答えと作り直した答えの差分=学びの成果
どこにスケールを当てて学びの成果を測るか
頑張りをきちんと評価する~学びの意欲向上のために

5.振り返りが学びにもたらすもの

学習者としての成長を促す”活動評価”と”振り返り”
振り返りを経てこそ次への課題形成
書くことと振り返りが学力を伸ばす
勉強を好きにさせる学ばせ方

6.探究活動における評価

探究のフェイズごとにきちんと評価&フィードバック
探究活動の効果測定アンケート
探究型学習(課題研究等)の成果をどう測るか
良いものを選んで重点的に~探究活動の成果発表
成果発表会は、指導を振り返る機会
高大接続改革では”探究活動”と”行動評価”にも注目

7.多面的に行う学習の評価/指導の効果測定

授業評価は多面的に
学習評価は多様なツールを組み合わせて多面的・総合的に

8.評価方法に関して(その他)

評価方法の再整備~高大接続答申から
評価規準は使いながらブラッシュアップ
高大接続改革に向けて今できる準備
思考力をはぐくみ評価する#INDEX
大学入学共通テストで求められる読解力
新しい評価の実行可能性を高めるための工夫
先生も生徒も、評価者としてのトレーングを
生徒は評価者としてどこまで成長しているか

■関連記事:新しい学力観の下での授業デザイン(記事まとめ)


教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一

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