学校評価アンケートを行うとき、生徒、保護者、教員、地域の区分に加えて、より細かい属性情報を取得しておくと様々な分析に使え、教育改善に向けての課題形成の精度が増します。例えば生徒については、どの部活動に所属しているか、現時点での進路希望などが考えられますよね。
マークシートに属性情報を回答する欄を設けておけば、クロス集計や回帰分析など様々な統計的な手法を適用できますし、あとになって追加解析することも可能です。
❏ 部活動への所属の有無で回答に大きな違い
部活動に所属しているかどうかで、回答が大きく変わるのは珍しいものではありません。
例えば、「立場や意見の異なる人とも適切にコミュニケーションを取れる」 という質問には、部活に参加している生徒と無所属(またはユウレイ部員)との間の違いは歴然です。
考えてみれば当たりまえのことですよね。日常において他学年の生徒と交流を持てる強みもあります。
また、クラスに閉じた関係しか持たないのと、目的を同じくして様々な考えを持つ相手と折り合いをつけることを日々経験しているのとでは、共生の資質の獲得に大きな違いが生じて当然です。
❏ 差異に基づき、教育成果と取り組みの意義を伝える
顧問の指導によっては、タスク管理やスケジューリングのスキルにも差が生じる場合が見られることもあります。
部活動は、競技の実績などでその成果を謳うのが普通かもしれませんが、協働性や主体性(いわゆる学力の第二要素)の獲得に貢献していることを教育活動の意義として示すこともできそうです。
部活動を推進しようとするならば、こうしたデータの使い方も検討すべきだと思います。なぜ、部活動に力をいれるのかきちんとロジックを持つべきですよね。
競技実績は、少なからぬ生徒にとって、卒業してしまえば思い出話に過ぎないかもしれませんが、そこで得た好適な資質は、そこから先の人生を生きていく上での大きな財産として残るものです。
❏ 教員組織も立場によって現況の捉え方が違う
学校評価における教職員アンケートも、全教職員を対象とする集計値(記述統計量)と、あるセグメント(特定の分掌など)の集計値とで、大きな違いが見られるのもごく普通のことです。
キャリア教育や進路指導で、「生徒の志向や資質を活かした指導が行われている」 かどうかを尋ねたとき、進路指導部や学年進路とそれ以外の教員とを比べてみたとしましょう。
進路プロパー/学年進路グループの方が相対的に厳しい評価を与えているようなら、学年主導で継続性や統一性に欠けていることが多いようです。
また、学年と進路の連携が弱い学校ほど、両者の回答の違いが大きく出ます。
生徒指導や生徒会でも同じようなことがデータに現れます。
学校全体で集計値をひとくくりにしただけでは、なかなか見えない問題点が、属性情報を回答してもらうことで見えることを示す一例だと思います。
❏ 保護者や地域の方からは?
保護者の場合、生徒の部活参加や進路希望(「まだわからない」 も含みます) などが取得すべき属性情報でしょう。
在校生が第一子かどうかでも違いがありますが、過度に突っ込んで聞くのも何かと問題がありますので、学校が教育改善にむけた課題形成をするのに必要な最小限に止めた方が良さそうです。
地域の方は、生活圏としての関わりが主となる方と、教育機関として学校と関わりを持つ方とで、答えられる範囲も問題意識の持ち方も異なります。
前者は、商店街の方々や自治会の関係者、後者は中学校の先生や地元の塾の代表者などでしょうか。
回答者ご本人に答えてもらうより、回収したとき(=返送されたものを開封するとき)に「地域属性」をアンケート担当者が記入/マークした方が、揺らぎも小さく抑えられて好適です。
