学校評価、学校広報

建学の精神/教育目標に照らした行動評価

学校には建学の精神や教育理念、教育目標といったものがありますが、生徒一人ひとりがそれらを卒業までに自身の思考や行動の中にどのくらい実現できたかは、学校の教育成果を測る重要な指標のひとつです。特色ある教育活動も、建学の精神や教育理念の下でデザインされているはずですので、精神や理念に照らした行動評価の結果は「学校の教育力を伝える新たなモノサシ」の一つになり得るのではないでしょうか。 2017/05/1…

目標を持った状態で巣立たせる

全国各地の学校が「特色ある学校づくり」にこれだけ意欲的に取り組む中、実現を目指す教育の価値やその成果を示す指標には、もっと様々なものがあって良いのではないかと感じます。例えば、卒業に臨んで「私はどうしてこの進路を選んだ、この道でこんなことをしてみたい」との思いをしっかり抱き、言葉にできる生徒の割合などは、その一つになり得るはずです。進学を志す生徒には、総合型選抜の拡充に伴い、志望理由書や学修計画書…

優先的に取り組むべき課題をどうやって選び出すか

各学校が掲げる「重点課題/目標」には、成果検証と実践共有を含めた全体計画を描き出して年間スケジュールに落とし込んでおく必要があるのは、別稿「教育手法開発・指導法改善に向けた計画作りは万全?」で既に申し上げた通りです。しかしながら、その前段階で頭を悩ませるのが、「優先的に取り組むべき課題」をどのような手順で合理的に選び出すかという問題です。 建学以来、学校が大切にしてきている価値もありますし、現場で…

学校評価、学校広報

1 学校評価アンケートをどう活用するか Updated! 1.0 学校評価アンケートをどう活用するか(序)1.1 意図は伝わっているか、成果はあがっているか1.2 より良く知ってもらい理解と共感を得るために1.3 効果を確かめ、教育リソースの最適配分を実現する1.4 学校改革・教育改善を進めるときの羅針盤として1.5 教育目標や指導方針をちゃんと伝える ★1.6 学校評価結果の十分な活用のための実…

選ばれなかった理由を探り、次のメッセージを編む

学校広報を通じてステークホルダーとの良好な関係を築くには、発信を充実させるだけでは不十分であり、双方向のコミュニケーションに注力して相互理解を深める必要があります。発信と同等の力を「相手の声に耳を傾け、それに応える姿勢と行動を示すこと」に注ぎましょう。ここでいう双方向コミュニケーションには入学相談会などでの個別面談も含まれますが、アンケートなどを通じて「潜在志願者」や「説明会来訪者」といった集団の…

学校説明会での来訪者アンケート

学校説明会など次年度の生徒募集を見据えたイベントでは、学校が考える「望まれる学校/選ばれる学校」のイメージをもとに、これまでの取り組みに加え、今後の教育、学校づくりの方針が示されるわけですが、それが来訪者の心にどこまで届いたかしっかり確かめたいところです。どれほど素晴らしい価値を打ち出したとしても、それが、受験生やその保護者、地域(小中学校の先生や塾関係者も含む)が求めるものとズレていては、狙って…

学校評価アンケートをどう活用するか #INDEX

学校評価アンケートを行う第一の目的は、「自校が展開してきた教育活動にステークホルダーの理解と共感、支持が得られているかどうか確かめ、さらなる改善に向けた課題形成を図り、その効果を検証すること」にありますが、これに加えて以下のような重要な目的も併せ持ちます。 こうした機能を十分に発揮させるには、質問設計から実施を経て、データ分析とその結果の共有まで、各フェイズで押えておくべきポイントがあります。これ…

学校評価アンケートをどう活用するか(その4)

【データを使ってゴールの共有&目線合わせ】 学校に向けられた期待がどこに向いているかは、ステークホルダーの声に耳を傾けてみる以外に知るすべがありません。生徒、保護者、地域などの意見を効率よく、広く募れるのは「学校評価アンケート」です。 学校が目指すところにすべてのステークホルダーの理解と共感が得られているか、しっかりと耳を傾ける年に一度の貴重な機会です。回答率も高く保たなければ、漏れる意見が増える…

学校評価アンケートをどう活用するか(その3)

【効果を確かめ、教育リソースを最適配分】 各地の学校で教育活動の充実が進められ、特色ある教育活動も実に様々なものが見られるようになりました。目を見張るばかりです。その一方で、以前から行われていたことも効果を確かめることもないまま、慣習的に続けられ、新しい取り組みが加わるごとに教育活動が肥大化、複雑化の一途を辿っているケースも少なくないように見受けられます。やることを追加していくだけでは、限りある教…

学校評価アンケートをどう活用するか(その2)

【より良く知ってもらい、理解と共感を得るために】 学校評価に限りませんが、アンケートには、質問に答えてもらうことで回答者の認識を刺激し、深く考えてもらうという機能があります。これを利用して「学校の取り組みに対するステークホルダーの認知と理解を高める」のも学校評価アンケートの重要な目的の一つです。多大なエネルギーと、時に多額の予算を投じた取り組み/教育活動であっても、知ってほしい相手にきちんと伝わっ…

学校評価アンケートをどう活用するか(その1)

【意図は伝わっているか、成果はあがっているか】 学校評価アンケートは、生徒、保護者、教職員、地域といったステークホルダーから教育活動への理解と共感/支持が得られているかどうかを確かめるためのものであり、その機能をほかで代替するのは困難です。個々の教育活動の成果を検証する方法はそれぞれですが、「学校が取り組んでいることが正しく理解され、共感を得ているかどうか」は相手に訊いてみなければわかりません。ど…

良い学校とは?~誰かに直接訊いても答えは出ない

より良い学校、より良い教育活動の実現を目指して工夫と努力を弛まず積み重ねていく中で、「良い学校とは何を指すのか、どんなものか」をときどき/どこかで立ち止まって考えてみても良いと思います。時代が変わり、学校に求められる役割、向けられる期待も色々なところで変わってきています。以前のままの価値観や「校是」で走り続けていると、「学校に求められているもの」と「学校が目指しているもの」の間に気づかぬズレが生じ…

学校評価アンケートの質問設計

多くの学校で実施されている学校評価アンケート。集計の結果から教育活動の成果を捉え、さらなる改善に向けた課題形成を行うことが第一義ですが、ほかにも回答を求めることで学校の取り組みを知ってもらうことや、立場の違いによる捉え方の違いから校内の目線合わせを図ることなど、様々な狙いが併存します。コストと手間をかけて行う学校評価を、より実りあるものにする最大のポイントは質問設計にあります。学校の教育目標や重点…

属性情報を取得することで(学校評価アンケート)

学校評価アンケートを行うとき、回答者の属性情報を取得しておけば、様々な解析が行え、教育改善に向けた課題形成の幅が広がります。例えば、生徒なら、進路希望や所属している部活、各行事への参加状況などで、回答の分布が違うこともしばしば。全体では顕著な特徴がなくても、属性でのクロス集計などで見えてくることも多々あります。常にアップデートされているデータがほかにあって、アンケートの回答データとIDで関連付けら…

相手に合わせて質問もアレンジ(学校評価アンケート)

昨日に引き続き、学校評価アンケートにおける質問文のお話です。学校評価アンケートでは、生徒、保護者、教職員の三者評価や、地域を加えて四者評価とするケースが多いようですが、同じ項目について尋ねる場合でも、回答者の認識のあり方やその及ぶ範囲をきちんと踏まえた質問を起こすことが大切です。 2016/10/19 公開の記事をアップデートしました。 ❏ 例えば、勉強と部活動の両立について尋ねるとき 部活と勉強…

同じことを尋ねたつもりでも…(学校評価アンケート)

学校評価に限りませんが、アンケートの質問文を考えるときに大切なことは、「尋ねる側が意図するところ」を回答者が正しく(=歪みなく)イメージしてくれるかどうかです。同じことを尋ねたつもりでも、文言のちょっとした違いから回答の分布がまったく違ってしまいます。 2016/10/18 公開の記事を再アップデートしました。 ❏ 自分のことについて?クラス全体のこと? 例えば、生徒に自分のことやHRの様子を答え…

教育目標や指導方針をちゃんと伝える

学校評価アンケートの回答データを分析していると、「教育目標や指導方針をちゃんと伝えていなかったばかりに、様々な指導や学校の姿勢に対する評価が実態を下回る結果になってしまった」と思われるケースをしばしば目にします。個々のクラス単位でも「生徒に期待する行動を担任の先生が明確に示している」かどうかで、他領域の指導に対する評価も大きく変わります。個々の指導に込めた意図を正しく理解してもらったり、学校が整え…

建学の精神や教育目標をきちんと伝える #INDEX

どんな活動に取り組むときも、「目指しているところ」を相手や周囲にきちんと伝えることが大事ですが、それは学校経営でも同じです。個々の指導がどれほど綿密に練り上げられ、徹底されていたとしても、その背景にある意図を相手と共有できていないことには、曲解や誤解も生まれがち。相手からの理解や共感を得るのは困難です。学校の教育目的を生徒や保護者に正しく伝えるだけでなく、先生方ご自身も、その意味するところに照らし…

建学の精神や教育目標をきちんと伝える(後編)

建学の精神や学校の教育目的を生徒や保護者に正しく理解してもらうことがもたらす様々な効果は、昨日の記事に書いた通りです。しかしながら、それらを「言葉として掲げているだけ」で深く正しい理解が得られるはずもなく、相応の具体的な働き掛けを重ねて行く必要があります。 2018/01/10 公開の記事をアップデートしました。 ❏ 場面に結び付けながら、ことあるごとに言及 目指しているものをしっかり伝え、深く理…

建学の精神や教育目標をきちんと伝える(前編)

学校には、建学の精神や教育目標といったものが必ずあります。これを生徒にきちんと理解させるのは容易ではありませんが、しっかり理解させることができれば、学校の教育活動への理解や共感が高まるとともに生徒の成長を大きく促すことを示唆するデータがあります。建学の精神や教育目的といったものは、普段、あまり顧みられなかったり、お題目を繰り返すだけのような扱いになったりしていることも珍しくないようです。如上のデー…