振り返りと行動変容(まとめページ)

21世紀型能力(新課程の具体化に向けた議論の土台)における思考力の構成要素には、「問題解決・発見力・創造力」と「論理的・批判的思考力」に加えて、「メタ認知、適応的学習力」が挙げられています。
各教科の学習に限れば、「自分の問題の解き方や学び方を振り返るメタ認知、そこから次に学ぶべきことを探す適応的学習力等」と説明される力ですが、生活や進路などにも拡張すれば、広く「先に控える課題を見据えて、取るべき行動を正しく考え出す力」ということになります。

メタ認知、適応的学習力の獲得を図る上でのカギは、様々な課題に挑戦したり、活動に取り組んだりしたときに行う「振り返り」です。
振り返りの中で「これまでの取り組みで得た成果」をたな卸しすることで、自分の進歩を捉えて自信も持てるはず。足りないところがあっても「パフォーマンスを高めるのに、何をどう学んでいくべきか」を考え出せるようになれば、対象への自己効力感を高めることもできます。
これと並行して、「次の機会における自分の目標(=何を目指し、どう頑張るか)」を設定するようにさせれば、得意/苦手に拘わらず、どの生徒もチャレンジング、且つ達成可能な目標を持ち得るため、意欲的な取り組みを引き出す(≒ 勉強を好きにさせる)ことも可能です。

これまでに当ブログで起こしてきた記事から、関連するものを拾い上げ、想定される獲得と発揮の場面で整理し、グルーピングしてみました。お時間の許すときにご高覧いただければ光栄に存じます。

領域①:生活(ホームルームでの指導など)

生徒に考えさせる授業規律
規律ある生活、集団生活のマナー
ルールでの保護と危険回避の思考力養成
相手に行動や態度の変容を促すとき

ルールを示して従わせるだけでは、未知の問題に向き合ったときの対処を正しく考え出せません。問いかけて内省を促し、どうするべきか/どうしたら良いかを考え出させていきましょう。

領域②:学習(各教科の学習指導など)

振り返りを通じた成果のたな卸しと次への目標設定
自己評価、相互評価を行わせるときの工夫
進歩を止めさせない自己評価の在り方
模試の結果を正しく振り返る(学習行動の改善)
模試や考査の事後学習~間違え直しだけでは不十分
 cf. 書くことと振り返りが学力を伸ばす

学びへの取り組みとその成果を振り返って、「より良いパフォーマンスを得るために何をどう学ぶべきか」を考え出せるようになることと、次の機会に向けた「自分の目標」を設定させること(=学習方策目的意識の向上)は、「主体的な学び」の実現に近づくことに他なりません。

学習者としての成長を促す”活動評価”と”振り返り”(まとめ)

領域③:進路+探究(進路選択までの指導)

将来を見据えた行動選択
探究活動と進路指導でポートフォリオに残すログ
体験のたびに感じたことをしっかり考え、言語化&記録
体験学習をただの体験で終わらせない
面談指導を成功させる#2~気づきを整理し記録させる
進路指導で育む“選択の力”(その1)(その2)

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教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一