探究活動、課題研究

1 横断的・体験的な調べ学習の先にある探究活動 1.1 調べたことの先に~新たな知と当事者としての関わり ★ ・資料を与えて読ませる/探させる、そしてその先に ・探究活動の課題~調べ学習との境界と進路への接点 ★1.2 探究活動の目的から考えるテーマ選び ★ ・探究テーマに偏りは生じていないか ・知りたいから始める探究テーマ選び1.3 中学での経験を踏まえて考える「高校での探究活動」1.4 『TO…

調べたことの先に~新たな知と当事者としての関わり

探究活動や課題研究のプログラムを作って導入し、生徒に取り組ませるとき、「何を目的とする活動か」という根源の問いに先生方がどのような答えを共有しているかはとても大事なことだと思います。探究活動には様々な役割がありますが、以下の2つは他の活動での代替は困難です。 指導に当たる中、「調べ学習」で終わっている生徒、そこにも到達していない「検索&コピペ作業」だけで調べ終えた気になっている生徒を見過ごしてしま…

具体的なタスクを通して、作法を学ばせる(探究活動)

各地の学校で探究活動や課題研究の成果発表会を拝見していると、自らの興味を掘り下げ、リサーチクエスチョンを立て、きちんと探究のプロセスを踏んで答えを導いた後に、自分の生き方・あり方まで踏み込めているものも多々見かけますが、そうでないものも少なからず…。先行研究を拾い上げ、そこに書かれていたことを繋ぎ合わせただけに見えるものもあります。高校で体験する探究活動は「どんな研究成果が得られたか」より「各プロ…

教科学習指導と探究活動の重ね合わせ

探究活動にしっかり取り組ませるには、所謂「探究の方策」に加えて、その土台となる様々な力を養う必要があります。「情報を集め、必要な知に編む力」「理解したことをもとに考える力」「問いを立てる力/問題を見つける力」などはいずれも探究を進める上で不可欠なもの。こうした力は一朝一夕に獲得できるものではなく、日々の教科学習指導の中で学びを重ねさせて、時間をかけて培っていくべきものでしょう。指導機会の限られる「…

メンテナンスのお知らせ(ブログの更新、お休みします)

当ブログをお読みいただき有難うございます。明日と明後日の2日間、メンテナンスのため、ブログの更新をお休みします。上記の期間中も、記事はいつも通りにお読みいただけます。来週には更新を再開しますので、引き続きよろしくお願いします。ここ数日、気温が上がり、4月半ばだというのに早くも「夏日」です。 季節の変わりめ、先生方もくれぐれもご自愛ください。 教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一

実践報告に触れての気づきを言語化することの効果

より良い授業の実現を目指し、全国各地で様々な指導法研究や実践報告が行われています。ご参加の先生方からの意欲的な提案や報告にいつも大きな刺激をいただき、たいへん勉強になります。 各地の先生方が、それぞれの置かれた状況の中で「あるべき学びの姿」を考え続けて生み出してきたアイデアの数々は、それに触れた人が授業をデザインするときの手札を増やし、それを使ってさらに工夫を重ねた実践はまた別の機会で報告され、別…

優良実践に触れたのに改善が進まないのは?

模試や外部検定などのテスト、ルーブリックを用いた活動評価、さらには生徒による授業評価アンケートの結果などから、優れた実践(=有為な学びに大きく寄与した指導)の所在を特定し、それを共有することが組織的な授業改善を進めるときの「基本」です。共有したものは、先生方の協働で更なるブラッシュアップを図ったり、他の手法と組み合わせたりして、より大きな成果が見込めるものに仕立て直していきたいところです。 しかし…

結論を出さずに終える授業

授業の終わりは「今日の授業の内容をまとめて」というのが定番のスタイルかもしれませんが、ちょっと発想を変えて、問いに答えを出さずに次の授業につなぐというやり方はいかがでしょうか。授業を「復習→導入→展開→演習→まとめ」という固定的な構成で考える必要はありません。結論を与えてしまうことで学びや思考を締め括らず、問いをオープンにしたままま授業を終えることが、生徒に考え続けさせることにつながることだってあ…

終了時の工夫で成果を高める(記事まとめ)

同じ教材を用い、同じ展開で授業を行ったとしても、授業を終えるときのアクションや教室を離れて行わせる学びの仕上げのあり方しだいで、学習効果は大きく異なります。授業を進めて、教科書の予定のページまで終わったからと言って「ほっ」としている場合ではありません。以下のそれぞれの場面で、押さえるべきところをしっかり押さえていたか、これまでのご指導をときどき振り返ってみるのも良さそうです。 2016/08/31…

評価、効果測定・成果検証

1 効果測定を通じた教育資源の最適配分 1.1 効果測定とスクラップ&ビルド(教育資源の最適配分)1.2 働き方改革~校務の見直しと再構造化(記事まとめ)1.3 学校経営計画の進捗を確かめ、達成可能性を高める1.4 優先的に取り組むべき課題をどうやって選び出すか Updated!1.5 選考基準は妥当だったのか~追跡調査に基づく検証 2 データを用いて理解者と賛同者を増やす 2.1 効果測定は、理…

授業改善での協働のあり方

1 授業を観る、授業を観てもらう 1.1 優れた実践を見て言語化する(見取り稽古) ★ ・実践報告に触れての気づきを言語化することの効果1.2 生徒を中心に授業を観る(その1)、(その2)1.3 自教科以外の授業も参考に「学ばせ方」を見直してみる ★1.4 授業を観てもらう「チャンス」を活かす1.5 自分撮りのススメ~自分の授業を客観的にみる1.6 教科会に期待される役割~ちゃんと機能していますか…

進路希望の具体化と実現へ

1 選択の機会ひとつひとつに備えさせる 1.1 大きな分岐(選択の機会)を前に整えるべき指導機会 ★1.2 先に控える選択の機会をいつ認識させるか1.3 進路の手引きは冊子よりもファイリング形式で ★1.4 準備が整わないうちに選択を迫っていないか 2 進路希望の実現をあきらめさせない 2.1 どこまで伸びるか見立てる2.2 第一志望をあきらめさせない指導2.3 受験期は、またとない成長の好機 ★…

授業のこと以外にも尋ねておくべき“生徒の意識”

言うまでもなく、教科学習指導の土台はホームルーム経営です。生徒が互いに刺激し合う(=相互啓発が働く)学びの場は、個々の生徒の学力や技能の向上を支え、学習を通じた成長/進歩を大きくします。 クラスが「成長の場」として機能するかどうかは、「係や当番の仕事」がどれだけ機能しているかや、担任の先生が「期待する行動」をきちんと打ち出しているかなどによって左右されることもわかっています。定期的にアンケートを取…

今日の授業でどんな気づきがあったか

授業終了のチャイムが間もなくというタイミングで、生徒に「今日の授業でどんな気づきがありましたか」と尋ねている先生がおられました。いつものことなのか、生徒は戸惑いも見せず、ササっとノートに鉛筆を走らせ、書き終えるとすぐに隣同士で見せ合います。授業のルーチンの一部として「学びの振り返り」が習慣化しているようでした。日々の授業で「本時に得た気づき」を言語化することを習慣づけておけば、授業中に得る瞬間ごと…

学びの成果をたな卸し

傍から見ても、入念に練られた授業できちんと学びの成果が出ているのは明らかなのに、生徒がその成果を実感できていないことがあります。伸びている実感を欠けば、頑張り続ける意欲も維持できません。「科目を切る」という選択で進路の可能性を狭めてしまう生徒も出てきます。学習を通じて進歩を感じ取って頑張っていれば、その先には新たな興味も生まれ、学びへの自分の理由も持てるようになってくるはずです。授業の改善を図ると…

質問を引き出す~学びを深め、広げるために(続編)

前稿「質問を引き出す~学びを深め、広げるために」で書いた通り、質問を見つけ出して文字に起こすことを求めたら、生徒はノートや教科書を見返して「疑問点」や「その先を覗きたい箇所」を探し始めます。漠然とした「よくわからない」に止まっていては、質問の形での言語化はできませんので、否が応でも「何がどうわからないのか」を明らかにせざるを得ず、その中で学びはより深く確かなものとなっていきます。同時に、対象を精緻…

質問を引き出す~学びを深め、広げるために

ひと通りの学習を終えた場面で生徒に質問を考えさせれば、そこまでの学びを振り返らせることができます。質問を考えさせるのは、生徒に問いを立てさせることに他ならず、教材に深く関わる好機になります。しかしながら、「質問はありませんか」と声を掛けるだけでは、その後の展開は期待薄でしょう。もともと積極的な生徒が手を挙げてくれたとしても、他の生徒は押し黙ったまま時間が過ぎるのを待っています。生徒からの質問があれ…

令和6年度も宜しくお願いいたします。

新年度となりました。お陰様で当オフィスも、開業から丸10年を迎えます。ひとえに皆様のご厚情の賜物と、衷心より御礼を申し上げます。気持ちも新たに、現場の先生方の実践から学び、少しでもお役に立てるよう、できる限りを尽くして参る所存です。今後ご指導を賜る機会もますます多くなるかと存じますが、何卒宜しくお願いいたします。年度当初の数週間は、先生方におかれましては、特にご多忙を極める時期と拝察いたします。く…

生徒に問いを立てさせる(続編)

前稿(本編)では、問いを立てることは教材に深く関わることであり、問いを立てることで学びは深く、広いものになると申し上げました。ジャンルやタイプを問わず、どんな文章/テクストでも、問いを立てながら読むことで書き手との対話が生まれます。グラフや図表のデータ、画像などの言語以外の方法で表現されたものも同じです。このようにメリットの多い「問いを立てる」というタスクには、教室で早いうちから取り組ませるべきだ…

生徒に問いを立てさせる

主体的、対話的な深い学びの実現のカギをにぎるのは、生徒に自ら問いを立てさせることだと思います。先生方の発問や教科書会社が用意した設問が、個々の生徒の興味を十分に刺激するとは限らず、学びは自分事にならない(=学ぶことへの自分の理由を持てない)かもしれません。また、教材を離れ、問いが付与されていないテクストや資料を読む場面では、読み取ったことの中に自ら問いを立てられてこそ、より深い理解が作られますし、…