探究活動の課題~調べ学習との境界と進路への接点

各地の学校での探究活動や課題研究を拝見する中で、生徒の取り組みには、幾つかの共通する課題が見られるように思います。とりわけ、 といったことは、少なからぬ生徒に当てはまるのではないでしょうか。これらは生徒の取り組み方だけに原因を求めるべき問題ではなく、探究の進め方をどう学ばせてきたか、日々の教科学習でどんな経験を積ませているか、各段階でどう働きかけてきたかなどによるところも大です。探究活動の目的に立…

探究活動やPBLを通して涵養すべき統計スキル

探究活動や課題解決型学習(PBL)に取り組ませるとき、生徒が課題の所在を的確に捉え、より良い解決策を考え出せるかどうかは、「情報を収集・整理し、データを適切に分析するための知識や技能」をどこまで身につけ、使いこなせるかに大きく左右されます。数学や情報の授業で学んだ統計の知識やスキルは、探究活動で「自分事としての課題」に活用してこそ、生きて働く場を得ることになります。探究活動を通したデータ活用の経験…

探究活動の充実には図書室との連携が不可欠

探究型学習の充実を図るとき、図書室との十分な連携は欠かせません。選んだテーマの周辺を調べてみるときも、探究の進め方そのものを学ぶときも、必要な情報を得られる環境が身近なところ=校内に必要です。ネットの検索やAIとの相談も良いですが、信頼できる情報ソースとして、関心の周辺に視野を広げる道具として、書籍の価値は別物です。各教科の学習でPBL型の学びへ転換を図り、「調べる、資料を探す」ことに注力させると…

観察をタスクに「問題発見力」を育てる

21世紀型能力(現行学習指導要領の土台)の中核をなす「思考力」の構成要素の一つに「問題発見力」がありますが、問題を見つけるには、まずは「対象をじっくりと/精緻に観察」することが欠かせません。 グラフやデータテーブルは言うまでもなく、写真や動画、絵画や図版、文章で書かれた資料なども「観察」の対象になりますが、生徒一人ひとりにこうした対象をきちんと観察させる機会は十分でしょうか。 この記事の内容をCh…

明日から3日間、ブログの更新をお休みします。

いつもブログをお読みいただき有難うございます。都合により、明日からの3日間(10月7日~9日)、当ブログの更新をお休みさせていただきます。閲覧はいつも通りに可能です。 教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一

先輩たちの研究成果に対して立てる「問い」

探究活動に取り組ませるとき、最も重要なのに、上手くいかないことが多いのが「研究テーマの設定」「問いの立て方」でしょう。導入段階で探究活動の目的をしっかり理解させないと、自分と社会の接点を探すことにも繋がらず、「趣味の延長」を抜け出せない生徒も出てきます。ようやく絞り出した問い(リサーチ・クエスチョン)も、「最初に答えありき」で、「新たな知を作り出す要素」を持たなかったりします。探究活動では、仮のテ…

探究活動の舞台としての地域連携

教育活動の一環(あるいは核)として「地域連携」に以前から力を入れてきた学校では、現行課程への移行後も変わらず、「総合的な探究の時間」において「地域課題」に取り組んでいることが多いかと思います。長きに亘って築いてきた地域との関係は大いに生かすべきであろうと思いますし、学校が教育目標として「地域課題に向き合える人材の育成」を掲げてきたのであれば、急に旗を降ろすわけにはいかないはずです。地域課題の解決を…

次期学習指導要領[2030]に向けて(記事まとめ)

現行課程が完成年度を迎えると同時に、次の学習指導要領に向けた検討が始まりました。別稿の通り、基本的な方向に現行課程と変わるところはなく、社会の変化に合わせた「調整」が掛かるくらいです。これまでに積み上げてきたものをきちんと生かし、新たな要請を正しく捉え、しっかり応えていきたいところ。検討が終わり、結論が示されるのはまだ先ですが、それまでに現場で進めるべき準備もありそうです。これまでに、折々に触れて…

学習者としての成長を促す"活動評価"と"振り返り"

生徒は各教科を学ぶ中で、教科固有の知識や理解を蓄えているだけではありません。学びへの姿勢や物事の学び方、課題を解決するための思考手順、協働場面でのふるまい方など、様々なものを身につけています。どんな能力や資質、姿勢を獲得させたいのか(ゴール)を明確にし、生徒一人ひとりが今、成長過程のどこにいるのか(現在位置)を掴まないことには、両者を結ぶプロセスである「指導」も計画できないはず。生徒自身もまた、段…

中高の「振り返り」をどう機能させるか

「書かせること」から、学びを捉え直す仕組みへ 授業の最後にその日の学びの「振り返り」を行わせる教室も少なくありません。1人1台端末の普及以降は、毎時間、生徒が端末に向かって、その日の学びを短い文章にまとめる姿も「日常」になりつつあります。自分の学びを捉え直し、次に繋げるための仕組みとして「振り返り」は有用です。但し、毎時間書いている、全員が提出している、記録も残っているというだけでは「振り返りがで…

授業評価の結果から(記事まとめ)

本年度も多くの学校から授業評価アンケートのご用命をいただきましたことに、この場を借りて、改めて心より御礼を申し上げたく存じます。1学期末に行ったアンケートのデータも揃い、解析を進めております。学習の主体たる生徒の皆さんが寄せてくれた回答は、きちんと整理して解析をすると実に様々なことを教えてくれ、実際に見た教室での風景と照らし合わせることで、授業改善に利用できる知見が得られます。以下は、各地の学校で…

記事まとめ(大学編~より良い学びの実現へ)

中高同様、大学の授業でも「何をどのように教えるか」に加えて「学生にどう学ばせるか」が問われます。授業評価アンケートの質問も「わかりやすさ」「面白さ」「役立つ度合い」といった従来型のものだけでは不十分なのは言うまでもありません。学習活動の配列で授業がデザインされることに、校種の違いはありません。「学んだことをもとに課題を解決する機会」や「周囲とのやり取りで気づきを深める機会」の整備度合いに加え、学習…

リアクションペーパーを「対話のツール」にする

「問い」で引き出し、読み取り、授業に返す 前編では、リアクションペーパー(リアペ)の本来の目的に立ち戻り、学生の学びを捉えるための仕組みが、設計や運用のあり様によっては、却ってその表出を歪めてしまうことについて考えました。既に書いた通り、学生に「自由に書いてください」と求め、提出されたものを先生方が読む。それだけでは、学生がその時間の学びを十分に捉えられるとは限りません。反対に、問いを細かく与えす…

リアクションペーパーは、何のために書かせるのか

学びの表出を「評価される文章」に変質させない 大学の授業では、授業ごとにリアクションペーパー(所謂「リアペ」)を書かせることがあります。言うまでもなく、その日の授業で分かったこと、疑問に思ったこと、考えたことなどを短い文章で書かせるもの。学生がその授業をどう受け止めたのかを知ることが第一の目的ですが、学生にとっても、その時間の学びを振り返り、言葉にすることの効果は大きく、きちんと機能すれば(正しく…

新しい学力観に基づく評価方法(記事まとめ)

どんな道程を辿って目標に導くかは「地図」に相当するカリキュラムや指導計画に描き出されていたとしても、今どこにいるかを知るすべ(=評価)がなければ、この先をどう進めば良いか、判断がつきません。評価は「生徒の学習を改善し、成長させる」と同時に「指導の効果を測定する」ためのもの。適切な評価なしに、指導の改善はあり得ません。指導と評価の一体化を図ることはまさに急務。学びの多様な側面にきちんとモノサシを当て…

学びの個別最適化/複線化、拡張(まとめページ)

学びの個別化、複線的ハードル、学びの拡張といった考え方に通底するのは、教室を学びのコミュニティとして十分に機能させることと、個々の生徒の特性やニーズに応じた学びを実現することの両立です。教室には、学力差や希望進路の違いが必ず存在しますが、それらに対応する術を「個別指導」に頼ると、集団で学んでこそ得られる効用(対話的な学び、協働性や多様性の涵養など)を失わせることになります。クラス全体で共有する「必…

チームで取り組んでこその授業改善(協働のデザイン)

より良い授業の実現は、先生方一人ひとりの仕事でもありますが、チームで取り組んでこそ、知見や発想の交換を通じて効率よく進めることができます。自分一人で頑張っても、気づけないことがあるはずです。先生方一人ひとりの試行錯誤と努力の中で作り上げてきた優れた実践を互いの良さとして学び合ってこそ、校是たる授業像も見えてきます。先生方がそれぞれに工夫を重ねることに加えて、同僚や先輩が辿った足跡を知って(巨人の肩…

指導知見(実践知)を組織的に蓄積・更新する仕組み

授業改善を組織的に進める上では、先生方がそれぞれに重ねてきた工夫の成果を確かめ、効果の大きな実践を見つけ出し、共有することが不可欠。テストやアンケート、行動評価などの結果で効果測定を重ねれば、教育目標の達成により大きく近づけた指導の所在を特定できます。そこで見つけた効果的な実践を共有することで、学校全体の指導力向上が図られますが、ここで共有すべきは「良い授業」を写した「模倣のための型」ではありませ…

共有すべきは付加価値の大きな指導

以前から様々な場面で使われている「組織的な授業改善」という言葉には、何やらヘビーな響きがありますが、言わんとするのは「それぞれの先生方が重ねてきた工夫の成果を共有して、教科/学校全体でより良い授業の実現を目指しましょう」ということにほかならないはずです。別稿「互いの実践に学び、校是たる授業像を作り上げる」でも書いた通り、周囲の先生の優れた手法や工夫に学ぶことなしには、改善に向けた発想も自分の中に閉…

同じ教材で同じように教えても~学習者特性の違いを把握

同じ教材を使って、同じ方法で教えているのに、授業評価アンケートや考査・模試の結果がクラス間で大きく違うことも珍しくありません。これらの多くは、学習者が身につけてきた「学び方」と、先生方が実践している「学ばせ方」のマッチングの度合いによって生じた違いです。アンケート等の集計結果、テストなどの成績、観察を通した行動評価やポートフォリオに残った様々なログなどに現れるマッチング度を手掛かりに、集団/個人の…