年間指導計画の“中間検証”をどう行うか

1学期も半ばを迎え、学校の教育活動も軌道に乗り、成果が出始めたこの時期は、計画の進捗を点検して、今後の見通しを整理する好機です。指導を進める中で、計画時点の想定と違うところも出てくるでしょう。当初の目論見通りに進めるのが難しい部分もあろうかと思います。そうした状況に合わせた調整で、取り組みや手順には変更が必要になっても、目指したこと(教育目標)はできる限り維持に努めたいところ。中間検証を経て、計画…

定期考査の失敗を繰り返させない~リベンジ自習会

そろそろ中間考査の時期です。新学期を迎えてからここまでに生徒が学習の正しい方法と習慣を身につけることができたか、この機にしっかり確認しましょう。特に1年生は、生活環境も学習内容も大きく変化した中で、学びのスタイルを上手くアジャストできたかが試されます。年度が替わって初めての定期考査にきちんと結果を出せた生徒はひとまずこれまでのやり方で構わないと思いますが、成績下位に止まった生徒や前年度に比べて不振…

最初の定期考査を前に~中間検証と今後の計画

新学期が始まってひと月半くらいでしょうか。そろそろ本年度最初の定期考査の時期に掛かります。このタイミングで注力すべきは、年度当初に描いていた指導目標が達成に向かっているかどうかの点検です。生徒の学習行動についてなら、学習を中心とする生活のリズムを確立できているか、各科目の学び方に習熟してきているか、といったところをしっかりと観察するところからだと思います。学校(あるいは学年)の指導計画についても、…

記事まとめ(大学編~より良い学びの実現へ)

中高同様、大学の授業でも「何をどのように教えるか」に加えて「学生の学びをどのように支えるか」が問われています。授業評価アンケートの質問群も、以前の「わかりやすさ」「面白さ、役立つ度合い」から、学生による学びへの取り組みに焦点を当てる設計になってきました。例えば、「学んだことをもとに課題の解決法を考える機会」「周囲とのやり取りで得る気づき」がどのくらいあるかを尋ねる項目や「自分なりの目的をもって学び…

指導場面でのAIの利活用(記事まとめ)

AIの活用というと、「学習指導における個別最適化」に関心が集まりますが、探究活動や進路の指導でも、個に合わせた対応での「時間やリソースの制約」にはAIを積極的に活用していく必要がありそうです。各地の学校での取り組みを通して学ばせていただいたこと、そこで考えたことなどを折に触れておこしてきたブログ記事を、関連記事も含めてまとめてみました。お時間の許すときにご高覧いただければ幸甚です。 2025/03…

学生を学びに向かわせるシラバス(大学編)

大学の授業評価アンケートのデータを解析してみると「科目(授業)の目標を達成できたか」を大きく左右するのは、学生による積極的な授業への取り組みと、調べたり考えたりする姿勢の獲得だとわかります。アンケートの回答は、学生による「自己認識」に過ぎず、実態を正しく表しているかは、教員による評価結果との突合せも必要です。しかし、どの大学のいつのデータで確かめても、同様の結果(重回帰分析で推定される寄与度)が出…

AIの時代にこそ教室で育むべき「知情意」

科学技術の進歩は、「個人ができること」を大きく拡張しました。AIを上手に使えば、調査や企画、創造といった知的活動が「頭の中」だけで行っていたときをはるかにしのぐ水準で、簡単にできてしまいます。映像や文章を起こすのだって容易。その成果をSNSを介して発信するなどで、AIが拡張した力を広く届かせることができてしまいます。できることが増えた分、その力の使い方には注意深くなる必要があります。物騒なたとえで…

判断力をどう考え、育て、評価するか

現行課程における学力の第2要素は、ご存じの通り「思考力・判断力・表現力等」です。理解していることやできることを使って未知の状況に対応する力を指しますが、こうした能力と資質を育もうとする以上、その意味するところをきちんと定義/言語化しておく必要があります。言語化できない状態では、指導を通じて目指すべきところ(指導目標、評価基準)も曖昧なままでしょう。能力資質の獲得を目指す場/評価の機会としての学習活…

ゴールデンウイークの休業について(お知らせ)

平素より格別のご高配を賜り、誠に有難うございます。4月も下旬を迎え、すっかり初夏の趣ですが、先生方におかれましてはますますご健勝のこととお慶び申し上げます。さて、間もなくゴールデンウィークです。当オフィスは以下の期間の業務をお休みさせていただきます。ブログの更新も休止します。 4月26日(土)~5月6日(火) 休み明けからは再び、現場で頑張る先生方を少しでも応援できるよう、できる限りを尽くして参る…

活動の配列/授業デザイン

1 問いを軸に授業を設計~学習活動の適切な配列 1.1 教室でしかできない学びを充実~問いを軸に授業を設計 ★ ・学びの場での「問いの活かし方」 ・教材としての好適性~「問い」の性能評価 New! ・目標理解と活用機会を整える授業デザイン (まとめページ)問いをテーマに授業を考える1.2 確かな学力を獲得させるための「学習活動の適切な配列」 ★1.3 授業を通して21世紀型能力は育めているか ・資…

授業改善での協働のあり方

1 授業を観る、授業を観てもらう 1.1 優れた実践を見て言語化する(見取り稽古) ★ ・実践報告に触れての気づきを言語化することの効果1.2 生徒を中心に授業を観る(その1)、(その2)1.3 授業を観てもらう「チャンス」を活かす1.4 自分撮りのススメ~自分の授業を客観的にみる1.5 教科会に期待される役割~ちゃんと機能していますか? ★ 2 組織的授業改善の土台: データを使った効果測定 2…

道具が変わっても必要であり続けること(まとめ)

ICTの導入が進み、教室で使えるサービスやアプリもどんどん増えてきました。学ばせ方の可能性が大きく膨らみ、生徒に獲得させることができる能力・資質はさらに幅広いものになったということです。別稿「新しい道具は、思考法や行動様式も変える」で書いたことと通底しますが、「道具の使い方を含めての課題解決力」です。新しい道具を使った様々なチャレンジの場を学びの中に整えていく必要があります。さらにChatGPTの…

AIが人間に対して”不信感”を抱く?

ある研究でAIが人間に対して不信感を抱いている可能性が示唆されました。実際には「与えられた質問に対して、人間をあまり信頼していないかのような応答を返す傾向が見られる」ということですが、仕組みを知るとその背後には、生徒に利活用を学ばせるときに踏まえておかなかければならない問題が見えてきます。「便利な使い方」を学ばせるだけでは足りない部分がたくさんあります。

月曜日のブログ、お休みします

いつも当ブログをお読みいただき、誠に有難うございます。都合により、月曜日(4月21日)のブログ、更新をお休みします。 休止中も、ブログやホームページはいつも通りに御覧をいただけます。更新再開は週明けの予定です。引き続きよろしくお願いいたします。4月も半ばを迎え、初夏のような陽気です。新学期のご多用でお疲れもたまってくることかと。くれぐれも御身大切にお過ごしください。 教育実践研究オフィスF 代表 …

知識の活用、学びの仕上げ

1 課題解決を軸にした授業デザイン 1.1 教室でしかできない学びを充実~問いを軸に授業を設計 ★1.2 考えるための道具(体系的知識)を揃えさせるときの手順1.3 課題解決を伴わない知識獲得は…[検証編/考察編] ・習ったことを使ってみる機会1.4 課題解決の場を整えたら、挑ませる前に理解の確認 ★1.5 確認した結果に基づいてきちんと学びを仕上げさせる ★1.6 単元ごとに設定するターゲット設…

学ぶ理由/自立した学習者

1 学び続けられる生徒を育てる 1.1 自ら学び続けられる生徒を育てる ・学習方策の獲得はどこまで進んでいるか ・目的意識をもって学びに取り組んでいるか ・生徒の興味・関心をどこまで育めたか1.2 全教科でコミットすべき能力・資質の涵養 ★ ・教科固有の知識・技能を学ぶ中で1.3 認知の網の広げ方~5教科7科目をきちんと学ばせる ★ ・5教科7科目に挑ませることの意味1.4 学びに向かう力/主体的…

単元ごとに設定するターゲット設問

習ったことを使ってみる機会を整えることは、学びを深く確かなものにする上で欠かせません。ターゲットとなる設問を導入フェイズで見せておけば、何を学ぶかをしっかり理解させることができますし、学び終えてその問いに立ち戻って答えを仕上げさせれば、「わかった/表面的に理解しただけ」の段階で学びが止まってしまうことも防げます。課題を与えて解決の方法を考えさせたり、必要な情報を集めて知に編む工程を経験させたりする…

小さな問いで学びを点検~フェイズごとの理解確認

その日の授業を終えたとき/単元をひと通り学んだときに、そこまでに理解したことをもとに考え、生徒が自力で答えを導くべき問いや解決すべき課題(「ターゲット設問」と呼びます)を与えることは、学習目標を把握させたり、何のために学んでいるかを認識させたりするのに有効であるのは、以下の各記事でもお伝えしてきた通りです。 しかしながら、その日の授業、あるいは単元を通して学んだことを俯瞰しようとすると、どうしても…

解いたことで成長ができる問題こそが"良問"

どんな問いを立てるかは授業デザインの要。導入フェイズでそれを示して学習目標を認識させるにも、学んだ後でその答えを仕上げることで学びをより深く確かなものにするにも、問いの役割は小さくありません。予習に取り組ませるときも、範囲を指定して「予習しておきなさい」と指示するだけのときと、指定範囲をしっかり勉強すれば答えられる問いが用意され、その答えを作るために教科書や参考書に当たるのとでは、学びの質に大きな…

入試問題を授業の教材に使うときに

現行課程への移行を経て、新しい学力観を取り入れた出題も、意欲的な大学・学部では広く見られるようになっています。完成年度を迎え、現課程での最初の入試も終わりましたが、暫くは大学入試問題ウォッチに一層の力を入れて、新しい学力観の下での学ばせ方を模索すべきです。出題研究を通して”問い方”を学ぶ ことは、先生方ご自身の持つ学力観を更新するのに代えがたい機会のひとつですし、「問いの立…