評価、効果測定・成果検証

評価、効果測定・成果検証

1 効果測定を通じた教育資源の最適配分 1.1 効果測定とスクラップ&ビルド(教育資源の最適配分)1.2 働き方改革~校務の見直しと再構造化(記事まとめ)1.3 学校経営計画の進捗を確かめ、達成可能性を高める1.4 優先的に取り組むべき課題をどうやって選び出すか Updated!1.5 選考基準は妥当だったのか~追跡調査に基づく検証 2 データを用いて理解者と賛同者を増やす 2.1 効果測定は、理…

建学の精神/教育目標に照らした行動評価

学校には建学の精神や教育理念、教育目標といったものがありますが、生徒一人ひとりがそれらを卒業までに自身の思考や行動の中にどのくらい実現できたかは、学校の教育成果を測る重要な指標のひとつです。特色ある教育活動も、建学の精神や教育理念の下でデザインされているはずですので、精神や理念に照らした行動評価の結果は「学校の教育力を伝える新たなモノサシ」の一つになり得るのではないでしょうか。 2017/05/1…

学びに向かう力/主体的な学習姿勢をどう評価するか

新課程への移行を機に、評価に対する関心が高まりました。特に、「知識及び技能」「思考力、判断力、表現力等」と並んで『育成を目指す資質・能力の三つの柱』の一角をなす「学びに向かう力、人間性等」(評価の観点では「主体的に学習に取り組む態度」)についてはとまどいが先行する中で様々な議論が今もなお続いているようです。高大接続答申の記述では「主体性・多様性・協働性」、新学習指導要領では「学びに向かう力・人間性…

勘に頼らず、データに偏り過ぎず

新しい学力観に沿った学ばせ方や教育活動の確立を図るには、校内外の優れた実践に触れて発想を押し広げていく必要がありますが、それと並行して、新たに採り入れた取り組みや工夫の効果測定をきちんと行わないと、せっかくの努力も方向を失い、試行錯誤に生徒を巻き込みます。目指すものが変わる以上、これまでに蓄積してきた経験則や、そこから生まれる「勘」に頼るばかりでは立ちいかないことも増えます。とは言え、思考や判断、…

優先的に取り組むべき課題をどうやって選び出すか

各学校が掲げる「重点課題/目標」には、成果検証と実践共有を含めた全体計画を描き出して年間スケジュールに落とし込んでおく必要があるのは、別稿「教育手法開発・指導法改善に向けた計画作りは万全?」で既に申し上げた通りです。しかしながら、その前段階で頭を悩ませるのが、「優先的に取り組むべき課題」をどのような手順で合理的に選び出すかという問題です。 建学以来、学校が大切にしてきている価値もありますし、現場で…

出題研究の成果を踏まえて、考査問題のアップデート

高大接続改革を皮切りに、新課程への移行を経て、大学入試のみならず中高入試にもかなり大きな変化が生じてきたと感じます。新たな出題/問い方への挑戦に「作問技術」がまだ追いついていない部分もないとは言えませんが、今後も出題の改善は続いていくものと思われます。新しい学力観に沿った学ばせ方を実現すべく、指導の方法に様々な改善が重ねられている中、その成果を測る方法(=評価方法)もそれに合わせたものに更新しなけ…

考査の結果から自分の授業を振り返る

定期考査の答案には、先生方のこれまでの指導の成果が現れますので、答案の採点は、工夫を重ね、力を入れてきた「学ばせ方」がどれだけ実を結び、どこに不足があったかを点検するまたとない機会です。定期考査の答案返却から終業式へと続く時期はいつも以上に慌ただしい日々と存じますが、採点を通して気づいたことは(簡単にでも)メモに残し、これからの指導をどう工夫するか、少し立ち止まって考えるときの材料にしたいもの。長…

新たなチャレンジに先生方の協働で取り組むとき #INDEX

高大接続改革以降、パフォーマンスモデルからコンピテンシーモデルへの学力観の転換に伴う「新たな学ばせ方の確立」、さらには「総合的な探究の時間の指導法の開発」といった課題もあり、先生方が知恵を出し合い、協働で新たなチャレンジに取り組む機会が増えてきました。こうした「新たなチャレンジ」に取り組むときに大切なのは、目指すところを明確にして、工夫の一つひとつの効果を測定すること。効果測定なしには、いつまでも…

学びの方策、進路意識の形成過程における効果測定

結果学力の伸長や、学びに対する自己効力感の向上などに加えて、学びに取り組む姿勢や学習方策の獲得もまた「指導を通じて目指すところ」である以上、これらもきちんとした効果測定を行う必要があります。各教科の学習指導のみならず、進路指導や探究活動を通じて形成を図る進路意識についても、定量的にその進捗を捉えなければ、計画通りの成果を得ているか判らず、やりっぱなしになってしまいます。効果測定の結果を踏まえ、付加…

共有すべきは付加価値の大きな指導

昨今、耳にすることも少なくない「組織的な授業改善」。何やらヘビーな響きがありますが、それぞれの先生方が重ねてきた工夫の成果を共有して、教科全体、さらには学校全体で「より良い授業の実現」を目指しましょうということにほかならないはずです。別稿「互いの実践に学び、校是たる授業像を作り上げる」でも書いた通り、周囲の先生の優れた手法や工夫に学ぶことなしには、改善に向けた発想も自分の中に閉じたものとなりがち。…

新しい学力観に基づく評価方法(記事まとめ)

新しい学力観の下での指導法は、教科学習でも、探究活動でも、各地で試行と工夫が重ねられて大きく進んできたようです。授業公開や成果発表をお訪ねするたびに、様々な新しい取り組みに心躍ります。しかしながら、新しい学びに応じた評価方法はというと、指導法の改善ほどには改善の議論も行動も進んでいないようにも感じます。きちんとした評価ができなければ、目標達成に向けた軌道の修正もできませんし、指導計画の継続的改善も…

多様性をどう評価するのか

多様性は、主体性、協働性とともに学力の第3要素を構成するものですが、いざ、獲得を図らせ、評価を行おうとすると、いったい何を指しているものかピンと来ないもの。評価の観点を立てるのにも戸惑います。辞書的な意味としては「コミュニティや群の中にいろいろな性質のものが存在して、変化に富んでいること」ということでしょうが、学習を通じて目指すべきところは、個々の生徒が「様々な考えや立場があることを想定/受容した…

協働場面における個々の生徒の評価をどう行うか

協働で課題解決に生徒が取り組んでいる場面での「個々の生徒の評価」はどうすべきかとのご相談をいただくことが少なくありません。最終的に導き出された答えや発表の内容を、評価基準に当てはめて採点すれば、グループとしての成果(どこまで理解が進み、知識を得たか。思考をどこまで深めたか。表現は効果的で適切かなど)は測れますが、個々のメンバーについての評価には馴染みません。メンバーの組み合わせが変われば、「成果」…

評価スキルの獲得とメタ認知の向上~思考・表現力を養う

高校教育でも、その先の大学教育や社会生活でも、思考、判断、表現の力が今後ますます重視されていくことには間違いなさそうです。思考力や表現力(加えて判断力)を効果的に鍛えるには、振り返りの正しい方法、言い換えれば評価スキルを身に付け、メタ認知を高めていくことが「前提要件」ということになります。これらは、「勉強を好きにさせる学ばせ方」にも通じるアプローチだと思います。 2018/02/19 公開のまとめ…

評価規準は使いながらブラッシュアップ

別稿では、必要な事柄を正しく記述したシラバスであれば、学習者に熟読させることで到達目標の達成が容易になるとのデータを示しました。同じことは、英語のCAN-DO List や活動評価のための基準表、あるいは記述問題の採点ルーブリックについても言えます。 2017/04/05 公開の記事をアップデートしました。 ❏ 目標の共有、課題形成、メタ認知 評価規準は、目指すべき到達状態を記述したものですから、…

頑張りをきちんと評価する~学びの意欲向上のために

いつになく頑張った/上手く行ったと自分では思っていたときに、誰もそれと気づいてくれなかったり、評価してもらうどころか、あら探しやダメ出しをされたりでは、次に向けて頑張る気持ちも萎えそうです。褒めれば伸びるというものでもないと思いますが、正当な評価は生徒の自己肯定感を刺激し、同時に与えられる的確な助言は次の機会に向けた課題形成に繋がり、さらなる頑張りとその結果としてのより良いパフォーマンスを引き出し…

考査問題の妥当性を評価し、最適化を図る #INDEX

「授業で何を教えるか」と「考査で何を測るか」はともに、担当する先生方の頭の中にある学力観を反映したものだけに、両者はほぼ同じものです。片方の最適化を図れば、もう一方もおのずと改善されます。授業改善を図ろうとするとき、相互参観や研究授業を手段とすることが多いかと思いますが、指導で何を目指すかという「主眼」に関わる部分については、時々刻々と局面を変える授業を対象とするより、紙の上に固定された考査問題を…

試行テストの分析で用いられた出題評価の手法

2018年11月に実施された大学入学共通テストの試行テストの検証結果が大学入試センターのホームページで公開されています。既にご覧になられたと思いますが、本日のブログでは、結果分析で用いられていた出題評価の様々な方法を取り上げてみます。校内で導入し、日常的に活用するには少々ハードルが高いものも含まれていますが、考査問題の妥当性を評価し、最適化を図るための手法として、その概要は知っておきたいところです…

設問ごとに出題の妥当性を確かめる

設問ごとに出題の妥当性を確かめるには、得点データを用いた定量的なアプローチと、内容に基づく定性的なアプローチがあります。前者を用いて本格的に設問の妥当性を検証しようとすると、別稿「試行テストの分析で用いられた出題評価の手法」でご紹介するような手順を導入する必要がありますが、日々の教科学習指導の中ではコスパを優先して、もう少し手軽な方法から始めるのが好適です。後者の定性的アプローチでは、詳細は別稿「…

考査問題の妥当性を考える時の視点(その2)

前稿で申し上げた通り、先生方の頭の中にある教科観や学習観は、授業のあり方と考査の作り(内容、配点、採点方法)の双方に表れます。考査問題の現物を眼前に広げ、データも使って客観視した上で、個々の問題が何を測定しているのか改めて考え、測るべき学力を正しく点数に反映できる考査に近づけて行くことは、教科観/学力観の更新、ひいては授業の改善にも直結する、最も効率的な活動のひとつです。生きて働く知識・技能、思考…