評価、効果測定・成果検証

副作用を抑え、効能を最大化するルーブリック評価の運用

改めて申し上げるまでもなく、現行課程では「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3観点で学習評価を行います。次期学習指導要領に向けた検討過程では、評価の対象を「知識・技能」に絞るとの提案がなされましたが、他の2観点が、獲得を図るべき能力・資質として、その必要性を失うわけではありません。そもそも、評価を行うのは、「目指すゴールとの距離を測り、どうやってそこに接近/到達するか…

選定理由の言語化を~探究活動の成果発表会

探究活動や課題研究には代表者による成果発表がつきものですが、代表者や発表作品を選定した理由はきちんと言語化してレジュメや作品に添えて表示したいものです。発表や作品に触れた生徒に「なぜ選定されたのか」を知らしめることは、探究活動の目指すべきあり方を示すことに外ならず、それ自体が生徒に対するとても重要な指導だと思います。 この記事の内容をChatGPTでイラストに起こしました。クリックで拡大します。 …

新しい学力観に基づく評価方法(記事まとめ)

どんな道程を辿って目標に導くかは「地図」に相当するカリキュラムや指導計画に描き出されていたとしても、今どこにいるかを知るすべ(=評価)がなければ、この先をどう進めば良いか、判断がつきません。評価は「生徒の学習を改善し、成長させる」と同時に「指導の効果を測定する」ためのもの。適切な評価なしに、指導の改善はあり得ません。指導と評価の一体化を図ることはまさに急務。学びの多様な側面にきちんとモノサシを当て…

指導知見(実践知)を組織的に蓄積・更新する仕組み

授業改善を組織的に進める上では、先生方がそれぞれに重ねてきた工夫の成果を確かめ、効果の大きな実践を見つけ出し、共有することが不可欠。テストやアンケート、行動評価などの結果で効果測定を重ねれば、教育目標の達成により大きく近づけた指導の所在を特定できます。そこで見つけた効果的な実践を共有することで、学校全体の指導力向上が図られますが、ここで共有すべきは「良い授業」を写した「模倣のための型」ではありませ…

共有すべきは付加価値の大きな指導

以前から様々な場面で使われている「組織的な授業改善」という言葉には、何やらヘビーな響きがありますが、言わんとするのは「それぞれの先生方が重ねてきた工夫の成果を共有して、教科/学校全体でより良い授業の実現を目指しましょう」ということにほかならないはずです。別稿「互いの実践に学び、校是たる授業像を作り上げる」でも書いた通り、周囲の先生の優れた手法や工夫に学ぶことなしには、改善に向けた発想も自分の中に閉…

評価、効果測定・成果検証

1 効果測定を通じた教育資源の最適配分 2 データを用いて理解者と賛同者を増やす 3 指導と評価の一体化~実行のハードルを下げ、効果を高める 4 新しい学力観に沿った評価方法 5 変化量に着目して行う学習評価 6 データをいかに利用するか 7 指導方法の効果測定

生徒を中心に授業を観る(その2)

本稿のタイトルは「生徒を中心に授業を観る」ですが、教室に足を運んで生徒が学ぶ姿を実際に観る前に、考査や模試などの成績とその推移、活動評価の記録、ポートフォリオなどに残された各種ログ、授業評価の集計結果などの様々なデータを通して、そこまでの指導/学びが生徒にもたらした成果を観ておくことも大切です。これまでの成績推移や学習行動/学びに対する生徒の認識の変化などを把握しておけば、指導の在り方とその成果を…

探究活動の指導に”評価”を実装

探究活動において「評価」を行うことの重要性は、別稿「探究のフェイズごとにきちんと評価&フィードバック」で書いた通りです。探究活動は、フェイズが進むと前工程に戻ることが難しい構造のため、教科学習指導以上に「各フェイズでの着実な評価実施」が不可欠です。評価を行うためには、評価の基準(観点別に整理した段階的な評価規準=ルーブリック)に加えて、評価の機会が不可欠。探究活動では、成果物以上に、プロセスに焦点…

質問力を評価する(ルーブリックの試案)

別稿「プレゼンテーション力より質問力」では、生徒の質問力を高めることの重要性をお伝えしました。質問には「相手の思考を広げる働き」があり、そのスキル獲得は、対話の成果を大きく左右します。探究活動におけるポスターセッションなどの成果発表の場に限らず、各教科の学びの中でも、調べ学習の発表と質疑、生徒が協働で課題に解決を図る(納得解を作る)活動など、生徒が考え尽くしたことを互いに提示して議論を行う場は豊富…

探究活動の指導におけるフィードバック(AIも活用)

探究活動の指導を行うときに頭を悩ませるのは、生徒の活動にどこまで介入するかです。とりわけ、生徒の取り組みや成果を、中間段階でどう評価・フィードバックするかで困る、とのお声は少なくありません。生徒の探究テーマと先生方ご自身の専門領域が大きく異なると、内容や探究方法に助言を行うことへの躊躇や不安も生じがちですが、「専門外の助言はできない」との結論に向かうのはやや拙速な感じがします。生徒と一緒に(同じ目…

考査の結果から自分の授業を振り返る

定期考査の答案には、先生方のこれまでの指導の成果が現れますので、答案の採点は、工夫を重ね、力を入れてきた「学ばせ方」が、どれだけ実を結び、どこに不足があったかを点検するまたとない機会です。定期考査の答案返却から終業式へと続く時期はいつも以上に慌ただしい日々と存じますが、採点を通して気づいたことは(簡単にでも)メモに残し、これからの指導をどう工夫するか、少し立ち止まって考えるときの材料にしたいもの。…

主体性の意味を正しく捉える

育成を目指すべき生徒像を描出するときに「主体性/的」という言葉がよく用いられます。教育目標の記述でも「主体性」や「主体的」の頻度は、かなりの上位にランクされるのではないかと思います。しかしながら、その意味をきちんと定義して使っているかと言えば、必ずしもそうとは言えないのが現実。話し手も、聞き手も、自分の経験や価値観に照らして言葉を解釈しますので、一つの言葉を、コミュニティのメンバーが似て非なるイメ…

学びの初期値を計測(後編)

先生方による「学ばせ方」を、生徒が備えている既得知識や問題意識、学習方策などにマッチしたものにアレンジすること。さらに、指導がどれだけの効果を得たのか、効果測定を着実に行い、改善を重ねていくこと。この2つはより良い授業を実現するには欠かせません。双方(授業デザインの最適化と効果の正確な測定)を成立させるには、前提要件として「学びの初期値」を測定しておくことが不可欠、というのが、本稿(前編・後編)で…

学びの初期値を計測~授業デザインと効果測定のために

授業の効果は、先生方による学ばせ方と、生徒が備えるもの(既得知識や問題意識、学習方策など)とのマッチングで決まります。生徒がこれまでにどんなことを学び(+どう学ぶ中でどんな能力や資質を獲得しているか)、対象への理解や問題意識がどのようなものであるかを捉えないと、効果的な授業はデザインできません。これらは、実際の授業を始めるときより、さらに遡って授業をデザインする/指導計画を起こす段階でも把握を試み…

最初の答えと作り直した答えの差分=学びの成果

課題などに取り組ませるときには、その日の学び(調べる、話し合う、説明を聞くなど)を始めさせる前に、その時点で持ち合わせていた知識や発想で、生徒それぞれに「仮の答え」を作らせてみましょう。その後、ひと通りの学びを終えてから、改めて答えを作り直させてみると、仮の答えと作り直した答えの間に明らかな違い(差分)が生じているはず。言うまでもなく、両者の違いは「学びの成果」そのものです。最初に作った答えを消さ…

新しい評価の実行可能性を高めるための工夫

新しい学力観の下でのより良い授業の実現に向けて、様々な指導方法が試みられ、その成果が上がってきています。その一方で、その効果を確かめる「評価の方法」については、進捗がやや遅れ気味に思えます。学習の「結果」と「プロセス」について、「到達点」と「変化量」を視野に置いた評価を行う必要があるのは、別稿で申し上げた通りです。 学習評価を行うには、開発と運用の両フェイズで、小さからぬ手間と負担が生じます。それ…

指導方法の効果測定 #INDEX

別稿「勘に頼らず、データに偏り過ぎず」でも書いた通り、新しい学力観に沿って学ばせ方の更新を測る必要がある中、新たに採り入れた手法はきちんと効果を測定し、成果を検証していく必要があります。次期学習指導要領に向けた改定議論が進む中、これまでに積み上げた指導や評価の工夫についても、どこまで狙いの効果を得ていたか、しっかりと点検を行わないと、進むべき方向も定まりません。 2015年12月に公開したシリーズ…

指導方法の効果測定#3 ポートフォリオの記録を利用

補習に参加した生徒としなかった生徒、ある課題に真剣に取り組んだ生徒と、仕上げ切ることなく形だけ整えて提出しただけの生徒。残念ではありますが、せっかく学習機会を整えても、有効に利用してくれた生徒とそうでない生徒とがいるのは常でしょう。これらの生徒を、効果測定において分けることなく一緒に扱い、集団としての成績や行動などの変化を見ても、指導がどのくらいの効果をあげたのか判断がつきません。両者を分けてデー…

指導方法の効果測定#2 定性的な指導目標の場合

教育活動(指導)の効果を測定すべきものには、目標が定性的に記述されるものも含まれます。協働性、多様性、主体性といった学力の第三要素に含まれるものなどはその典型でしょう。定性的な目標は、評価基準(観点別に記述した段階的な評価規準=ルーブリック)に書き出し、それに照らした評価結果の分布を捉えるなど、定量的に扱えるデータ(数値)に置き換える必要が出てきます。指導が有為な効果を上げているかを確認(=統計的…

指導方法の効果測定#1 平均値の変化だけでは…

新しい学力観に沿った学ばせ方への転換を図ろうとするとき、最初に考えるべきは、「どのような方法で(指導方法)」ではなく、「何を目指して(指導目標)」であるのは、改めて申し上げるまでもありません。目標を定めた以上、それが達成されたかの検証も必要ですし、指導の方法を考えたら、その効果も測定しなければなりません。「どうやって目標の達成を検証(指導の効果を測定)するか」は、指導方法についてあれこれと議論を始…