探究型学習を使った進路指導 #INDEX

探究型学習を通して、深めてみたいと思える興味や、自ら関わりを持ちたいと思える社会の課題を見つけ、それを起点にして具体的な進路希望を作っていく生徒がいます。
あるテーマを広く調べ、考察を深めていく中で、上級学校に進んで本格的に学んでみたいと思えることを見つける可能性は低くないはずです。
別稿「カッコつきの“キャリア教育の充実!”に思うところ」にも書いた通り、職業をターゲットにして逆算的に作ったルートに乗せる指導は、もはや限界が見えてきているように感じます。
キャリア教育を補完する、あるいはその一部を置き換えるものとして、探究型学習の可能性は大きく広がっているのではないでしょうか。
新課程への移行で、「総合的な探究の時間」が本格的に導入された今、探究活動と進路指導を一体化したものに再構成すべく、そのやり方を改めて考えていく必要があるように感じています。

2015/03/20 公開の記事インデックスを再更新しました。

探究型学習を使った進路指導(その1)

職業をターゲットにするのはリスクが大きい
一般選抜でも志望理由が問われる時代へ
進路意識を作る機会としての探究型学習の可能性
探究型学習と進路指導・キャリア教育の一体化

探究型学習を使った進路指導(その2)

生徒が選んだテーマから窺える指導の成否
テーマの候補を挙げてきたときにチェックすべきこと
過去の体験や学びを振り返えらせるところから
テーマ選びの工程には数か月以上かかるのが当たり前

探究型学習を使った進路指導(その3)

あらゆるものに触れて自分が何に反応するかを知る
気づきや考えを言語化することで深まる内省
付箋の整理で進捗を可視化~意欲を継続させる
多くの付箋が集まったところにこそ興味が存在

探究型学習を使った進路指導(その4)

インターネット上で論文を検索して読んでみる
テーマ選びの過程で経験したことは後でも活きる
論文を通じて、大学の学び、学部・学科の中身も覗く
企業の活動や地域社会が取り組む課題にも
論文に登場した用語や概念が、探究の発想を広げる

探究型学習を使った進路指導(その5)

探究型学習の指導方法は開発途上
目標を共有した上で、個々の創意で指導を工夫
全体計画の中での各フェイズの目標と指導法
指導の効果を測定し、比較するための評価基準作り
体系立ったルーブリックを作り上げるまでの工程

社会が取り組む課題を軸にした学部・学科研究

大学の商品ラインアップ?を延々と紹介されても
社会が抱える課題に各学科がどうチャレンジしているか
学びの先の広がりと、社会との接点を知る機会
進路指導・キャリア教育にも同じ手法を応用してみる
行動してみることで偶然との出会いが増える
cf. 学部・学科調べに、学問探究という入り口も

探究活動の舞台としての地域連携

地域連携に探究活動の要素を組み込む
先ずは地域社会が抱える課題を知るところから
知ったことを起点に、より広く深く調べる
調べ学習に取り組ませるフェイズでの「ねらい」
調べ終えたところが、探究活動の入り口
考え尽くしたことへの地域の方からのフィードバック

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前回の全編リライト(2018-02-09)に際しての追記

科学技術の進歩が加速し、社会の変化がますます激しさを増す中、将来の職業を選んでそこまでの最短ルートを探すという進路選択の戦略は採りにくくなりました。
下手をすると、袋小路に自ら飛び込むリスクを招き寄せます。
そもそも、高校生にとって自分の将来をひとつ選び出すのは容易ではありません。目標が決められないからこそ多くが悩んでいるわけです。
しばしば採られる「頑張らせるために目標を決めさせる」という戦法には、目標が決まるまで頑張れないというジレンマもあります。
鶏と卵にならないよう、ゴールを決めるところから始めるという発想を離れ、別の入り口を考える必要があるのではないでしょうか。
高大接続改革では、推薦・AO入試だけではなく一般入試でも志望理由が合否判定の材料となり、総合的な学習の時間などにおける生徒の探究的な学習の成果に関する資料の提出も求められることになりそうです。
これらについて考えるところは、以下の記事にまとめてあります。もしお時間が許すようなら、併せてご高覧いただければ光栄です。

進路指導/キャリア教育と探究型学習を一体のものとして設計・運用していくことに期待される大きな効果とその必要性を感じたことから3年前に”探究型学習を使った進路指導”という記事を起こしました。
いよいよ、高大接続改革入試に最初に挑む生徒が入学してくるときを迎えます。この機に改めて真剣に考えてみなければならない課題です。

教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一