探究活動、課題研究

探究型学習を使った進路指導(その5)

探究型学習を通じて自らの進路希望を作るに至ったA君が、本シリーズの冒頭で登場しましたが、同じプログラムを同じように経験しながら、自分のあり方・生き方と結びつくものを見つけられないまま活動を終える生徒だっています。安易にテーマを設定した、調べ学習を行うところで終わった、探究してみたことの先に広がる学問の世界を覗き見ることができなかったなど、様々な要因でゴール(課題解決に取り組む体験を通し、自己の生き…

探究型学習を使った進路指導(その4)

探究型学習に取り組む経験は、進路意識の形成にも大きな役割を果たします。その最初の難関である「探究テーマの設定」における指導の前半フェイズについて、考えるところをまとめたのが前稿です。テーマ選択を念頭におき、アンテナを高く張った状態で、様々な情報に当たらせて、日々気になったことを書き溜めていき、そのメモの整理・分類を経て、潜在的な興味と関心の所在を探らせるという手順です。しかしながら、メモの分類を終…

探究型学習を使った進路指導(その3)

探究型学習に取り組ませるとき、研究のテーマを決めさせるまでの「準備段階での指導」が大切であるというのが、前稿の主旨です。目指すところ(=課題の解決に取り組む体験を通して、自己の生き方・あり方を見出すこと)をしっかり伝えた上で、正しい準備の工程を踏ませなければ、テーマの候補を挙げさせたところで、ダメ出しをせざるを得なくなるケースもしばしばだと思います。せっかく考えたことを差し戻されては生徒も面白かろ…

探究型学習を使った進路指導(その2)

探究型学習に、これまで行われてきたキャリア教育の代替として十分な機能が期待できるのは、前稿で申し上げた通りですが、最初のフェイズである「探究のテーマ選び」の段階できちんとした指導を行わないと、探究活動と進路指導を一体のものとして運用できません。自分の生き方・あり方を見つけ出せるようなテーマを生徒一人ひとりが設定できてこそ、探究活動は進路意識を形成する機会になり得ます。前稿でご紹介した、探究活動が進…

探究型学習を使った進路指導(その1)

探究型学習を通して、興味を持てる学問・研究や社会の取り組みを見つけ、そこから具体的な進路希望を作っていく生徒がいます。テーマに沿って広く調べ、考察を深めていく中で、学んでみたいこと、研究してみたいことを見つける可能性は低くないはずです。別稿「カッコつきの“キャリア教育の充実!”に思うところ」にも書いた通り、職業をターゲットにして逆算的に作ったルートに乗せる指導に限界が見える中、キャリア教育を補完す…

総合的な探究の時間

新課程への移行で、高校での「総合的な探究の時間」が本格的に始まります。先行実施も行われ、各地の学校で進められてきたプログラム開発や指導法研究は、小さからぬ成果を既に収めています。先行実施で得られた知見を活かして、プログラムのブラッシュアップを図るフェイズを迎えています。個々の先生方が工夫を凝らした実践から優れた成果を得た指導例を抽出し、それを共有した上で先生方の協働でさらに磨き上げていく体制の確立…

探究を軸に各教科の学びをつなぐ

各教科の学習を重ねる中で、生徒は様々な能力・資質を身につけていきます。教科固有の知識や技能、考え方を獲得しながら、「汎用スキル」 と呼ばれるものや「学習方策」 なども形成が進んでいくはずです。ある科目で獲得した思考様式もまた、当然ながら教科の枠を越えて様々な場面で利用されますが、それらを統合し、実戦的なものに高める機会として、総合的な探究の時間に期待されるものは小さくありません。総合的な探究の時間…

探究活動・課題研究と手段科目としての英語学習

夏休みの宿題では昔からの「定番」になっているものの一つに、英語のサイドリーダーがありますが、「時間の余裕があるときに、まとまった量の英文を読むこと」の意義は、学力観や学習指導を通して目指すところが変わってくる中で、以前とは捉え方を変えるべきかもしれません。そもそも、生徒の夏休みは、体験学習や課題研究/探究活動、大学訪問と様々なコンテンツやイベントが積み込まれる中で、「時間の余裕」があるものではなく…

探究活動を通して養う"ファクトフルネス"

過日、日経BPから「ファクトフルネス~あなたの“常識”は20年前で止まっている !?」という書籍が発刊されました。そのイントロダクションに掲載された13問のクイズを解いてみて、思い込みを乗り越えデータを基に世界を正しく見る習慣の大切さを改めて思い知らされました。この大切さに気付くのに年齢制限はないでしょうが、自らの進路を考えたり、社会にどう関わるかを探ろうとするときまでに気づけるかどうかは大切だと…

学習指導、進路指導、探究活動で作るスパイラル

学習指導と進路指導という二本柱をしっかり立てれば成立したのがこれまでの指導計画でしたが、次期学習指導で加わる探究活動を組み合わせるとなると、単純にもう一本の柱を立てれば済む話ではありません。学習、進路、探究という三領域が「並列」していては、互いの関連が希薄になりますし、ただでさえ「教育の強じん化」で、思考力・判断力・表現力を高めるための活動を組み込むとなると、3年間/6年間で指導に当てられる時間の…

ポートフォリオの円滑な導入と効果的な活用に向けて

高大接続改革に向けてポートフォリオの導入が始まっています。プラットフォームは様々な事業者や機関が提供しているものの、使う側である高校では運用方法について試行錯誤が続いている段階のようです。大学がどんなデータを求めてくるかはっきりしないので運用方法の検討を進められずにいるとの声も方々で聞かれます。しかしながら、ポートフォリオは学習者の自己認識を深めさせて主体的に学ばせることを目的に考案されたツールで…

新テスト対応にも探究活動は土台となる

大学入学共通テストの導入に向けた試行調査では、その試行結果の報告において、「探究の過程等の設定を通じて、知識の理解の質を問う問題や思考力、判断力、表現力を発揮して解く問題を、各科目における全ての分野で重視した」とのこと。“探究の過程等の設定”(…行政文書らしい言い回し!)と言われても、具体的なイメージがわきにくいところですが、添え書きをみると、 などを設定すること(らしい)…

第3期教育振興基本計画と"総合的な探究の時間"

先日パブリックコメントの募集が終了した第3期教育振興基本計画の策定に向けた基本的な考え方では、今後の教育政策に関する基本的な方針として以下の5つを挙げています。   ❏ 探究活動・課題研究などに期待されるところ このうち、学校の中での教育活動が実現への役割を期待されているのは、1.と2.でしょうか。そこに含まれる「夢と自信を持ち」「可能性に挑戦する」「社会の持続的な発展を牽引」といった文言は、その…

高大接続改革では"探究活動"と"行動評価"にも注目

先週16日に検討・準備体制などが発表された「大学入学共通テスト(仮称)」では、英語の外部検定利用や国語と数学の記述式問題などが話題になっていますが、「第1回、第2回モニター調査実施結果の概要について」や文科省HPで公開された「高大接続改革の進捗状況について」などにも注目すべき箇所があります。 ❏ 探究活動への取り組み方が合否を分けるようになる 以下は、文科省HPの「高大接続改革の進捗状況について2…

起業家教育について考えるところ

起業家教育という言葉を耳にするようになってだいぶ経ちました。試しに、「起業家教育&高校」で検索してみたら55万件もヒットしました。どんな効果があるのかと調べている中、野村総研が行った「起業家教育の普及等に関する調査(最終報告書)」 を見つけました。 ❏ 高校での起業家教育は何をもたらすのか 「情報収集・分析・問題解決力が高まった」は、効果があったが8%、どちらかと言えば効果があったが47%と、やや…

高校生にとっての探究活動

高校生にとって課題研究などの探究活動は、新たな知を生成する方法を学ぶ場でもあり、また大学に進んで学んでみたいことを見つけ、さらにはその先に社会との接点を見出す進路意識形成にも繋がります。このように考えると、高校の3年間の中のどこかに、こうした活動を組み込む必要があるのではないでしょうか。探究を軸に各教科の学びを繋いだり、進路希望を形成する指導と探究活動の一体化を図ることを、本気で考えなければいけな…

『TOK(知の理論)を解読する』 を読んで

今年2月に出てすぐに買ったにもかかわらず、積読(つんどく)になっていた同書をようやく読み終えました。以前から国際バカロレアのカリキュラム、特にTOKには大変興味があり、テキストを取り寄せて読んでみたり、実際の教室を参観させて頂いたりしてきましたが、知れば知るほど大きな可能性を感じます。ただし、国際バカロレアのDPを導入するとなるとコストは膨大…。まずは、教える側がそのエッセンスをじっくり学んで、教…