新課程への取組を伝える学校広報

高大接続改革に最初に挑む学年を迎え入れ、新しい学力観に沿った学ばせ方への転換が図られていますが、その次に控えるのは、本丸である新学習指導要領への移行です。
2022年から始まる高校の新課程に学校としてどう対応するかを明確に示すことは、生徒募集戦略上の重要な課題です。新課程初年度生がすでに小学校6年生になっていることを考えると、まだ丸3年以上も先のこととのんびり構えているわけにはいきません。
中高一貫校を選ぶか、公立中学で3年を過ごして高校受験で勝負するかを考えている将来の受験生に、学校がどのような教育の実現を目指し、新課程にどう対応するかを示せるかどうかが問われています。
この局面で表明した意思は、現小6が高校を卒業する7年後まで有効な約束です。しっかりしたグランドデザインを描き、長期的戦略のもとで新課程の下での学校づくりを進めていかなければなりません。
本シリーズの記事が、本年度をスタートとする「選ばれる学校であり続けるための広報戦略」を考えてみるきっかけになれば幸いです。

#01 学校が目指すものをグランドデザインで提示する

グランドデザインが必要な理由
個々のメッセージを結び付けわかりやすくする
話を見聞きした人が第三者に伝えられるシンプルさ
建学の精神、校訓に現代的な定義を与え直す好機
生徒募集を通じて入学前の生徒と交わした約束の有効期限

#02 積み上げてきたものを振り返り、その先を描く

開校から積み上げてきたものの先に何を描くか
先行させた取り組みの効果検証&ブラッシュアップ
新たな取組の効果を測定する準備はできているか
新たな教育活動を採り入れる前の状態を把握
効果を確かめ、改善課題の形成と優良実践の抽出へ

#03 教育内容の充実を伝えるにはエビデンスを

意欲的な取り組みこそ、効果をデータで示すべき
目新しい取組を並べるだけでは広報にならない
日々の教育活動を通じた生徒の成長を効果的に提示
教員の資質向上への取り組みも伝えるべき
学校の教育姿勢に共感する生徒が作るコミュニティ

#04 個々の教育活動の位置づけを明確にして構造化

多様な教育活動はときに”ノイズ”としてふるまう
個々の教育機会が目指すものの位置づけを見直す
獲得を目指す能力・資質と教育活動の関連をマトリクスで
教育活動の効果測定を学校方法に利用する
ノイズになりえるものは”見せない”という広報戦略

#05 シンプルさと重ね塗りで認知を高め、理解を得る

広報とは、認知と理解を経て共感を得るための活動
最初のハードルを越えるには、第三者を介したアプローチ
シンプルで価値ある情報を1枚にまとめてプレゼン
トップページからグランドデザインに直行できるか
ライバル校と協働で発信するメッセージ

#06 選ばれなかった理由を探り、次のメッセージを編む

不出願者の回答にこそ「選ばれなかった理由」がある
説明会来訪者と入学決定者の回答データの差分から
メッセージが心をつかんだか確かめる
来訪者のニーズをその場でつかむアンケート
寄せられた声に答え、次のメッセージを編む


■ 本シリーズの中でご紹介した関連記事:

教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一

この記事へのトラックバック

学校が目指すものをグランドデザインで提示するExcerpt: 過日の記事"現小6に示すべき、新課程を見据えた学校の戦略"に書いた通り、新学習指導要領への切り替えは現小6生が中3を迎えるときです。
Weblog: 現場で頑張る先生方を応援します!
racked: 2018-05-17 05:49:48
積み上げてきたものを振り返り、その先を描くExcerpt: 2022年に始まる高校の新課程に向けてグランドデザインを描き直すことは、新課程初年度生が中学受験に臨む本年度の重要課題のひとつです。全体構想が決定しなければ、細部の設計に入れません。
Weblog: 現場で頑張る先生方を応援します!
racked: 2018-05-17 05:50:26
教育内容の充実を伝えるにはエビデンスをExcerpt: 新学習指導要領の下で学校が何をしようとしているかはっきり伝え、学校の教育活動に理解と共感を得て、学校を選択してもらうには、様々な教育活動を「建学の精神や校是・校訓を中心に据えたグランドデザイン」の下で統合・構造化しておくこと 取り組んできたこと/採り入れていくことの効果をエビデンスを持って示すことという2つの要件を満たすことが不可欠です。また各要件をクリアしたメッセージを整えても、受験生とその保護者に到達するためのルートが整備されていないことには、生徒募集の改善にはつながりません。 ...
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racked: 2018-05-17 05:51:16
個々の教育活動の位置づけを明確にして構造化Excerpt: 新学習指導要領のもとで学校がどのような教育活動を行うかを考えるときに忘れてはならないことは他にもあります。学校が提供する様々な教育機会がグランドデザインをわかりにくくするノイズになっていないか 入学してくる生徒が中学卒業までにどんな体験をし、何を身につけているかなどはその最たるものだと思います。
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racked: 2018-05-17 05:51:57
シンプルさと重ね塗りで、認知を高め、理解を得るExcerpt: 建学の精神や校是・校訓を現代的に読み直し、新たなグランドデザインを描き出しても、それが受験生や保護者の目と意識に到達しなければ生徒募集の改善にはつながらず、せっかくの教育理念にも賛同・共感してくれる人が増えるわけではありません。
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racked: 2018-05-17 05:52:32
選ばれなかった理由を探り、次のメッセージを編むExcerpt: 学校広報を通じてステークホルダーとの良好な関係を築くには、発信を充実させるだけでは不十分であり、双方向のコミュニケーションに注力して相互理解を深める必要があります。
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racked: 2018-05-17 05:52:54
学校評価、学校広報Excerpt: 1 学校評価アンケートをどう活用するか1.0 学校評価アンケートをどう活用するか(序) 1.1 学校評価アンケートをどう活用するか(その1) 1.2 学校評価アンケートをどう活用するか(その2) 1.3 学校評価アンケートをどう活用するか(その3) 1.4 学校評価アンケートをどう活用するか(その4) 2 学校評価アンケートの質問設計で注意すべきこと2.1 学校評価アンケートの質問設計 2.2 同じことを尋ねたつもりでも…(学校評価アンケート) 2.3 相手に合わせて質問もア...
Weblog: 現場で頑張る先生方を応援します!
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校内に蓄積されてきたデータを生徒IDで関連付けるExcerpt: 校内のデータは様々なところに散在しています。模試などの成績に加えて、生徒が自ら入力したものもあれば、アンケート調査の結果など特定の分掌・組織が作成し所持してきたデータもあります。
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racked: 2018-06-05 05:39:57
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racked: 2018-07-06 05:41:31
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新学期を迎える準備(まとめページ)Excerpt: 年度末を迎えようとしているこの時期に、やるべきことをリストアップし、それぞれの重要度を判断しておきたいところです。当ブログの中から「春休み」と「新学期」をキーワードに持つ記事を集めてみました。最終更新日が古い記事もありますが、残り5週間ほどの準備期間でのタスク管理に何かのご参考となればこの上ない喜びです。
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主体的、対話的な深い学びへ~授業評価アンケートExcerpt: 新課程への移行がいよいよ目前です。高校の新課程を初めて学ぶ生徒は現在、中学1年生。中高一貫校では「新課程で学び高校を卒業していく生徒」が既に在籍しているわけですから、新しい学力観にそった教え方の転換を図る中、学びの評価も新しいものに組み直す必要が出てきます。授業評価アンケートの質問設計の更新は今後の課題の一つです。
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racked: 2019-04-03 06:08:30