カリキュラム・年間指導計画

限られた授業時間を有効に使う(追記)

各単元の内容を学びながら様々な能力や資質を育もうとすれば、自ずとそれに見合った学習活動を指導計画の中に配列しなければなりません。多様な学びを所与の時間枠に収めるには、本編でも書いた通り、「生徒が個人でできることを教室での活動から切り離す」「各教科(+探究)での学びの重なりをうまく使う」などの対処が欠かせないはずです。単元の構成に沿って、学習内容の理解を欠けるところなく形成しつつ、要所では課題を設定…

受験学年のスタートに向けて(まとめ)

所謂「ゼロ学期」も残り半分といったところでしょうか。これまでに重ねてきた先生方のご指導の成果として、4月に最上級生となる生徒には受験生としての意識も十分に芽生えてきたものと拝察いたします。ここから先も、進路意識の形成(進路希望作り)と具体化を目指して、自分と向き合っていく個々の生徒への支援と指導に加えて、進路希望/なりたい自分の実現に向けたそれぞれの努力を生徒が互いに尊重し、頑張りを支え合う集団(…

カリキュラム・年間指導計画

1 シラバスの起草・更新に際して 1.0 シラバスの起草・更新に際して(序)1.1 その1 まずは全体を見渡したグランドデザインを1.2 その2 指導計画立案の前に検証可能な目標の設定1.3 その3 副教材の取り扱いや学ばせ方のすり合わせ1.4 その4 使いながら記録を残してブラッシュアップ1.5 シラバスを熟読・活用させることの効果 ★ 2 新課程とカリキュラム・マネジメント 3 次のステージを…

指導計画の確定前に大学/中高入試の出題をしっかり点検

入試シーズン真っ只中です。先生方は日々の生徒指導や校務に入試業務が加わり、ご多忙を極める毎日と拝察いたします。「このタイミングでまた余計なことを」とお叱りを受けそうですが、この時期にこそ最新の入試問題にできる限り目を通しておきたいところです。目を通すべき/点検の対象とすべきは、生徒が目標とする大学群の出題内容と、自校入試での答案、そして競合校(中高)の入試問題です。 2021/02/10 公開の記…

新年度を迎えるに当たり~まとめページ(2024年度版)

立春を前に、入試を始めとする新入生を迎え入れるための準備、次年度の指導や年間行事の計画作りと調整、異動等に伴う引継ぎなど、定常期と異なる業務も加わり、いつにも増してのご多忙と拝察いたします。多忙な時だからこそ、やるべきことをきちんとリストアップして、優先順位の高いものからしっかり/漏れなく進めたいところです。ちょっと早いですが、新学期を迎える準備を進めましょう。これまで起こしてきた新学期にまつわる…

ちょっと早いですが、新学期を迎える準備

立春までもう少しですが、まだしばらく寒さが続きそうです。先生方におかれましては入試業務や受験生指導などでご多忙を極める毎日と拝察いたしますが、くれぐれもご自愛いただくとともに、そろそろ新年度を迎える準備もイメージしておかなければならない時期になりました。新しいことを計画している学校ならその準備もあろうかと思いますが、それ以外のところにもやるべきことは少なくありません。生活、学習、進路の各領域に見落…

大学入学共通テストの出題研究で持つべき視点

大学入学共通テストから一週間あまりが経過しました。出題分析を終えて、次年度以降の指導の計画を描き始めておられることと存じます。生徒の進路希望を実現する授業を目指すには、当然ながら、テストへの対策(≒どう学ばせ、解かせるか)を考える必要もありますが、先ずは個々の問題がどんな学力を測っているか正しく捉えるところからです。入学者選抜という場でわざわざ課した以上、その問題が測定している力は、進学後の学修を…

進路指導計画の体系化とスリム化

進路指導計画に組み込まれたイベントは「体験の機会」「選択の機会」の2つに大別できます。進路講演や大学訪問などが前者の代表格、出願指導や履修科目選択が後者の代表でしょう。これらがしっかり体系化され、スリムな状態に保たれているかは定期的な点検が必要です。長年にわたる試行錯誤で「増改築」を繰り返した結果、進路指導計画が複雑で過密なものになっているケースも少なくありません。生徒も先生も十分な準備ができずに…

行事にじっくり向き合える、忙しすぎない学校生活

各地の学校で教育活動の拡充が進んでいます。新課程で導入された「総合的な探究の時間」のプログラムに加え、「21世紀型能力の実践力」の涵養を目指す進路/キャリアに関する多様な学びが整ってきました。そんな中、生徒が3年間/6年間で経験する行事は、当然ながらその数を増やし、一つひとつの行事にじっくりと向き合うことが難しくなってきているようにも感じます。進路関連の行事や成果発表会なども、準備を整えてじっくり…

生徒は何ができるか~指導計画立案の前に確認

来年度の教育活動の最終設計に入る前段階で確実に行っておきたいことの一つに、「これまでの指導を通して生徒は何をできるようになっているか」の点検があります。指導とは、現状と目標の差分を解消する活動ですので、目標をしっかり定めるのと同時に、これまでに経験したことや現時点で知っていること/出来ていることをきちんと把握しないことには、ここから先の指導を正しく設計することはできません。 2019/01/18 …

ゼロ学期を迎えるに当たり~指導計画作りへの下準備

年が明けていよいよ「ゼロ学期」です。期間が短いわりにこなすべき校務が多く、どうしても慌ただしくなりがちですから、春に向けた課題/タスクのたな卸しを行い、優先順位をしっかり定めた工程表に落とし込みたいところ。先ずは「To Do リスト」を作るところからでしょうか。4月からの教育活動を振り返って、シラバスや進路の手引きなどに朱を入れる必要もありますし、年間行事予定の見直しや学校広報の年間計画作りなども…

単元を跨いで作る、習ったことを使ってみる機会

授業で学んだことを使って答えを導くべき問いは、学習目標を理解させるために導入フェイズで示すターゲット設問としても、授業を終えるときの学びの仕上げの題材としても大きな役割を果たします。 しかしながら、「個々の授業で学んだこと」を使う機会は、その日の授業(あるいは単元)に閉じた如上の問い/課題以外にも、その後に学ぶ別の単元の中にも設けることができますし、設けるべきです。ある単元で既に学んだ重要なことが…

副教材、こなしきれていますか?

生徒の進路希望を叶えさせてあげたいとの思いが強くなるほど、「学ばせたい」ことが増えるもの。教科書以外の教材群(副教材やプリント)が「これでもか!」といわんばかりに膨らんでいく傾向があります。目標大学の合格には、これもやらなければ、あっちも削れないと思えてしまいがちですが、その熱意(あるいは不安)に押されて、容量超過を常態化させては、学びに向かう姿勢にも好ましくない影響があります。そもそも、荷物を増…

記憶に格納する知識、外部参照する知識 #INDEX

新課程への移行に際し、「学習べき内容は削減せず、その理解の質を高めること」が強く打ちだされていました。従来と同じ指導時間の枠に、思考・判断・表現の各要素を織り込み、主体性・多様性・協働性を身につける場を設けながらも、学習内容は減らさないということです。新課程移行後も、学ばせることの多さが足枷となってか、新しい学力観が求める学ばせ方(=各単元の内容を学ぶ中で、様々な能力や資質の獲得を図る)への転換が…

記憶に格納する知識、外部参照する知識(その2)

脱ゆとり路線を維持しつつ、主体的、対話的で深い学びを実現し、思考力・判断力・表現力とともに主体性・多様性・協働性を獲得させるという課題に、これ以上授業時間を増やす余地がないという状況下で挑むには、「何をどこで学ばせるのか」を戦略的に判断する必要があります。 といった対策を組み合わせることになりますが、3. を実現するカギのひとつが、「記憶に格納する知識と外部参照する知識の線引き」です。 2016/…

記憶に格納する知識、外部参照する知識(その1)

教育の強靭(じん)化に向けてと題する文部科学大臣メッセージが発信されたのは平成28年(2016年)5月のこと。各方面からの「討論や発表などを増やすことが結果的に覚える知識量の減少につながる」という懸念に対して「脱ゆとり」路線の再確認を行う必要がありました。そこでは、「人工知能(AI)の進化など情報化・グローバル化が急激に進展する不透明な時代をたくましく、しなやかに生きていく人材を育てる」という主旨…

参照型教材を徹底して使い倒す#INDEX

教科書の配列に沿って各単元を学んでいくのと、副教材を使って別ルートで知識の拡充を図るのを並行させるのは好適な戦略とは言えません。主教材を軸に学びを進め、わからないこと/知らないことに出会うたびに参照型教材のページを開かせ、生徒が自力で必要な知識と理解を得るようにさせることが大切です。学期が進むにつれて、参照型教材が使い込まれ、書き込みが増えてきたら、生徒はその科目の知識と理解とともに、学び方を身に…

参照型教材を徹底して使い倒す(その5)

問いを起点に理解の軸を形成、知識拡充はその後で 演習(拡張)期、受験(仕上げ)期を待たずに、導入期のうちに基本事項を網羅的に学ばせることには、前稿までの考察の通り、あまり大きなメリットはなさそうです。必要な知識を最初に仕込み切ってしまうという戦略には、「教えられたこと」と「覚えたこと」のギャップを拡大し、生徒にゴールを遠くに感じさせてしまうリスクの方が大きいのではないでしょうか。 2015/10/…

参照型教材を徹底して使い倒す(その4)

ステージごとの学習者特性の違いを踏まえて 学習はその場で完結するものではありません。次のステップに進むための準備(レディネス)を整えることも重要な指導目標の一つです。既習単元の知識がその先の内容を理解するための前提になることは当然ですが、ある単元を学ぶことで身につけた学び方もまた、次以降の単元を学んでいくときの重要な土台になります。不明点があるとき、先生が教えてくれるのを待つのではなく、参照型教材…

参照型教材を徹底して使い倒す(その3)

導入期から仕上げ期に向かう流れで考える「使い方」 前の記事では、参照型教材(いわゆる参考書だけでなく用語集や例文集も含まれます))を常に手元に置かせ、頻繁に使わせることで得られるメリットを考えました。文章を読んだり問題を解いたりしながら、機会ある度にページを開いて使い倒してきた参照型教材は、いつしか生徒にとって「学習を進めるときの大きな拠り所」になっているはずです。使いながら書き込まれたメモは、以…