学ぶ理由/自立した学習者

第3期教育振興基本計画と"総合的な探究の時間"

先日パブリックコメントの募集が終了した第3期教育振興基本計画の策定に向けた基本的な考え方では、今後の教育政策に関する基本的な方針として以下の5つを挙げています。   ❏ 探究活動・課題研究などに期待されるところ このうち、学校の中での教育活動が実現への役割を期待されているのは、1.と2.でしょうか。そこに含まれる「夢と自信を持ち」「可能性に挑戦する」「社会の持続的な発展を牽引」といった文言は、その…

学ぶことへの自分の理由と負荷への耐性

教材や課題の難易度には、学力の伸びを最大化する「適正範囲」がありますが、生徒が「その科目を学ぶことへの自分の理由」を持っているかどうかで、適正範囲そのものが変化します。授業評価アンケートにおける、 自分なりの課題意識をもって授業に参加しているか 教材・課題の難易度はあなたにとって、(難しい~易しい) この授業を受けて学力や技能の向上を実感できるか という3つの質問への回答を解析してみました。 ❏ …

学習時間の目標値と達成管理の方法 #INDEX

高大接続改革を機に、新しい学力観に沿った学ばせ方への転換を図る必要があります。どの学校でも、指導計画の見直しや授業デザインの研究が意欲的に進められているものと拝察しますが、その中で、学ばせ方の転換で家庭学習の充実が求められることへの十分な意識が必要です。教室の中で、対話的で深い学びを実現するには、生徒の側での授業準備はこれまで以上に重要性を増しますし、そこで深めた学びをより確かなものとし、広がりを…

学習時間の目標値と達成管理の方法(その2)

家庭学習の習慣形成や授業外学習の延伸を図るのは、学力の向上という目的のための手段です。ここでいう学力は、テストの成績などに現れる結果学力も指しますが、タスクマネジメントなども含んだ広い意味での「学ぶ力」のことです。 高大接続改革を前に教室での学ばせ方が変わる以上、家庭学習が果たす役割も変わります。教室を離れてじっくりと考えたり、課題を仕上げたりすることに十分な時間を当てられるかはとても重要です。 …

新しい学力観に沿った学ばせ方への転換

高大接続改革以降の入試では、「テクストを読み、そこで理解したことをもとに思考し、その結果を表現する力」 が重要視されます。 教科書や資料に書かれていることを理解する場面で先生が不用意に肩代わりしてはいけませんし、正解に至る工程を丁寧に解説して納得させるだけでは足りないものがあります。また、発言がなかなか出ない/思考が膨らまないとき に採るべき方法も確立しておかなければなりません。 ❏…

学びの広さと深さ

昨日の記事「進学前に改めて考えさせたい、大学で学ぶことの意味」でも書きましたが、自分が興味があることだけを掘り下げて学ぶのではなく、選り好みせずに広く学ぶことも重要だと思います。 様々な専門を持つ方と触れ合うことでの気づきもあれば、単位を揃えるためにやむなく履修した授業で偶然みつけた「自分の専門・興味と、他の領域の関係性」などもあるはずです。 ❏ 広く学ぶことのイメージ 各教科・科目の内容を学び始…

生徒が自分で気づける機会を作る

教科学習指導で、その科目に固有の知識や技能を獲得させようとする場合、一つひとつ丁寧に説明して理解させる、いわゆる「教える」というアプローチのほかに、作業をさせたり、問いかけて考えさせたりする中で「生徒自身に気づかせる」というアプローチがあります。思考は一定の知識がなければ成立しませんので、「しっかり教える」ことも大事であり、その責任から逃れることはできませんが、生徒が自分で気づけるようにしていくこ…

ルーブリック評価の作成と運用

ポートフォリオと並び、次期学習指導要領で導入が検討されている評価ツールの一つが「ルーブリック」です。基本形は、観点ごとに段階的な到達状況を配置したマトリクスに各々の規準を書き込んだものであり、目標準拠評価(絶対評価)の一つです。あまり馴染みのないせいか、導入を終えて本格的な運用に踏み込んだ学校はまだ少数派。今からスタートして実運用を経てブラッシュアップしておけば、2020年には他校への大きなアドバ…