学びを軸にICT活用を考える#3 「対話」の場面

ICTを活用すべきシーンには、前々稿の「伝達」、前稿の「調査」に加えて「対話の場面」があります。「対話的な学び」に期待されるところの大きさは、ここで改めて申し上げるまでもありませんが、生徒が互いに顔を突き合わせて行うものだけが対話ではありません。対面以外の環境で実現する対話的な学びだってあり得ます。他の生徒が作り上げた「答え」を見て得た気づきをもとに、改めて自分の答えを作り直してみることもまた、間…

学びを軸にICT活用を考える#2 「調査」の場面

前稿では、ICTの活用シーンのうち「伝達」を目的とする場面について考えるところをまとめました。本日は、必要な情報を(信ぴょう性を確かめながら)集める「調査」のフェイズについて考えます。学びを進めながら、情報を集め、知に編む作業はICTを活用することで拡張が容易。もっと言えば、ICTなしには出来ることが限定されてしまいます。日々拡大するインターネットという「超巨大図書館」を上手に/正しく活用させて情…

学びを軸にICT活用を考える#1 「伝達」の場面

ICTを活用する場は様々ですが、その一つは、生徒の学習活動に必要な道具・材料(知識など)を効率よく「伝達」しようとする場面です。これ以外にも「調査」や「対話」の場面もありますが、これらについては次稿以降で順に触れていきます。どのクラスに対しても確実に提示し、獲得させなければならないことを予めスライドにまとめておくだけで、先生が教室で板書する時間と手間が省けます。浮いた時間は生徒の学習活動に割り当て…

講演会やセミナーを主催される方々のご苦労を改めて

この夏もまた、あちらこちらのセミナーや講演会などに参加させていただき、大いに勉強させていただきました。刺激的なお話を方々でお聞きすることができ、これからやるべきことがまた少し見えてきた気がいたします。こんなところで何ですが、改めて心より御礼を申し上げます。 オンラインでの開催が多く、運営の皆様には例年とは違ったご苦労も多かったと思いますし、講演された先生方にも参加者の反応が読めない中で、不特定多数…

手を使って書き写すことの大切さ

タブレットPCが導入されている教室もどんどん増えています。黒板に書かれたものを生徒がノートに書き写す光景が、教室で見られなくなる時代も遠からずやってくるかもしれません。そんな時代に逆行することを申し上げるようで恐縮ですが、手を使って書き写すことの大切さを、もう一度改めて知るべきではないかと考えています。 2016/03/14 公開の記事をアップデートしました。 ❏ 映示して見せたものも、ちゃんと観…

副作用を抑え、効能を最大化するルーブリック評価の運用

ここで改めて申し上げるまでもありませんが、新課程への移行に伴って「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3観点での学習評価が行われるようになります。文科省が示した指導要録(参考様式)にも、各教科・科目の観点別学習状況を記載する欄が設置されています。指導要録に、評定とともに観点別学習状況が「AAA」といった具合に記録として残る以上、評価結果に対する説明責任は、これまで以上に…

先輩たちの研究成果に対して立てる「問い」

探究活動に取り組ませるとき、最も重要でありながら、上手くいかないことが多いのが「研究テーマの設定」「問いの立て方」だと思います。導入指導で探究活動が目的とするところをしっかり理解させておかないと、探究の手順をきちんと踏まえることもできず、自分と社会の接点を探すことにもつながらない、興味本位に走った「趣味・道楽の延長」を抜け出せていないテーマを設けてしまう生徒も出てきます。探究を通して答えを見つける…

複数テクストの比較で試す「読解力」

大学入試問題では、複数のテクストを取り上げた問題が見られるようになり、注目を集めています。今年の大学入学共通テストの国語でも小説の本文と併せて、当時の新聞に掲載された批評が資料として与えられ、両者を読み比べて答えを導く問題がありました。他教科の問題でもどのデータに当たるべきかを考えさせたりする設問が登場しています。 ❏ 新課程が求める「学ばせ方」を実現するために PISAの読解力定義には2018年…

クイズで導入、教科書への落とし込みで仕上げ

2019年に出版されてベストセラーになった『FACTFULNESS(ファクトフルネス)』では、その冒頭に簡単ながら、答えがちょっと意外なクイズが 13 個用意されています。例えば、こんな問題です。 自然災害で毎年亡くなる人の数は過去100年でどう変化したか。{2倍以上になった/あまり変わっていない/半分以下になった} 単純な三択問題ですので、まったく手掛かりなしに当てずっぽうで答えたとしても33%…

探究活動・課題研究と手段科目としての英語学習

夏休みの宿題では昔からの「定番」になっているものの一つに、英語のサイドリーダーがありますが、「時間の余裕があるときに、まとまった量の英文を読むこと」の意義は、学力観や学習指導を通して目指すところが変わってくる中で、以前とは捉え方を変えるべきかもしれません。そもそも、生徒の夏休みは、体験学習や課題研究/探究活動、大学訪問と様々なコンテンツやイベントが積み込まれる中で、「時間の余裕」があるものではなく…

補習・講習の目的再確認~どんな変化を期待するのか

1学期も終盤を迎えました。夏休みを前に期末試験の準備などご多忙の日々と存じます。終業式後も、補習や講習がすぐに始まり、行事の引率や部活動と相まってスケジュールはびっしりだと思います。さて、その補習・講習ですが、様々なタイプがあります。例えば、 などでしょうか。当然ながら、講座ごとに「目的」があるはずです。せっかく時間と労力を投じて行う補習・講習ですから、きちんと目的を達したいものです。講座で何を扱…

生徒が解法を考える機会(解に至る工程を自力で辿る)

講義座学系の教科で「授業を通じて学力の向上や自分の進歩を実感できるか(学習効果)」に対し大きな寄与度を持つ項目の一つに「習ったことを使って課題解決に取り組む機会(活用機会)」があります。しかしながら、習ったことを使って課題解決に取り組む機会を整えている度合いは、個々の授業で「かなりまちまち」というのが現実の様子。教科による違い(有利・不利)もありますが、データを見る限り、先生方の「学ばせ方」で生じ…

主体的・対話的で深い学びをデータから考える

主体的・対話的で深い学びの実現に向けて、生徒が自ら(=主体的に)学びに取り組むための学習活動/アクティビティを用意し、課題解決に向けた協働の中での生徒同士の話し合い(対話)を増やすなど、先生方は日々の授業に工夫を重ねておられることと拝察いたします。そうした工夫を積み重ねる中でこそ、指導改善の成果は定期的に/しっかりと確かめていく必要があろうかと思います。生徒が対話に参加する場面をどれだけ作り出した…

学習効果に直結する活動性、それを支える視覚情報

授業内での活動性を高めることが学習効果の実感に直結することは、これまでの記事でもお伝えしてきましたが、一見したところ授業内活動とは何の関係もないように思える「わかりやすく整理された板書や資料」が、活動性の向上に大きく貢献していることを示すデータがあります。 2018/07/30 公開の記事をアップデートしました。 ❏ 充足感のある授業内活動は学習効果に直結する 授業内の活動性を高め、それを通して生…

課題解決を伴わない知識獲得は… #INDEX

新課程におけるカリキュラムマネジメントでは、各単元の内容(コンテンツ)を学ばせることを手段に、21世紀の社会を生き抜くために必要な能力・資質(コンピテンシー)を育むという目的を達成していくとの発想を持つことが求められます。実際のカリキュラム編成や指導計画立案においては、各単元の学習内容を縦軸(行)に、育むべき能力・資質を横軸(列)に配したマトリクスを想定し、行と列の交点にある各セルに適切な学習活動…

課題解決を伴わない知識獲得は…(解決策考察編)

前稿で検証してみた通り、獲得した知識を用いた課題解決(=知識の活用)を体験する場を授業内外にきちんと整えておかないと、「わかりやすい説明」と「丁寧な確認」を通じて知識の獲得を確かなものにしても学力の向上をしっかり実感できる授業は実現しにくいようです。限りある授業時間を上手く配分して、知識の確実な獲得・体系化とそれらを生きて働くものとして活用する力(=思考力)を養うトレーニングとのバランスを取るため…

課題解決を伴わない知識獲得は…(データ検証編)

だいぶ古いお話で恐縮ですが、平成28年に文部科学大臣名で発信されたメッセージ「教育の強靭化に向けて」では、学ぶことがら(知識や技能)は減らさず、思考力・判断力・表現力をこれまで以上に鍛えるという方針が示されました。当時、「ただでさえ不足気味の授業時間の中で、教えるべきことをきちんと教えた上で、思考力・判断力・表現力を鍛える指導まではとても手が回らない」というご感想や戸惑いが多く聞かれたのを覚えてい…

理解確認と活用機会はバランスを取って

授業評価アンケートの結果をみると、理解確認と活用機会のバランスを欠く授業が少なくないことがわかります。下図は、授業評価アンケートをご利用いただいた学校でのデータで作成したものですが、理解確認と活用機会の双方が一定以上の水準に達している授業は全体の一部です。 2015/07/14 公開の記事をアップデートしました。 ❏ 覚えることに偏らず、活用の前提もしっかり整える 理解確認と活用機会の双方を高い次…

理解の確認を怠ると…

授業評価アンケートなどで、「先生は、生徒の理解や状態を確かめながら授業を進めてくれていますか」と尋ねてみたときに、すべての生徒がYESと答えてくれる状態を維持することはとても大事なことですが、実現するのはそうそう簡単なことではなさそうです。実際のデータを見ると、下図の通り、肯定的な回答が9割を占める換算得点75ポイントに到達していない授業もかなりの割合を占めています。 2016/08/24 公開の…

新課程の枠組みで考える「知情意」

3年後に登場する新一万円紙幣に肖像が刻まれることになり、大河ドラマ「青天を衝け」も放送されるなど、渋沢栄一はちょっとした時の人になっています。この4月に放送された「100分 de 名著」を視聴したのをきっかけに「論語と算盤」(角川ソフィア文庫)を読んでみました。なかなか読みごたえのある一冊ですが、中でも第3章「常識と習慣」に触れられている「智情意」は、多くの学校で教育目標の記述に用いられており、考…