授業の中で思考力を鍛える
新しい学力観の下で、思考力を鍛えることの必要性への認識はますます高まってきています。なかなかすっきりした定義が難しい「思考力」ですが、「分析的な思考力」と「統合的な思考力」に大きく分けて考えるようにするとストンと落ちることが多いように思います。 分析的な思考力 与えられた問題を分析的に理解する力 統合的な思考力 複数の情報を統合して新しい考えに編む力 テクストを読んで理解したうえで、その中に問いを…
当オフィスは、各地の学校で授業力向上や教育改善・学校改革のお手伝いをしています。
新しい学力観の下で、思考力を鍛えることの必要性への認識はますます高まってきています。なかなかすっきりした定義が難しい「思考力」ですが、「分析的な思考力」と「統合的な思考力」に大きく分けて考えるようにするとストンと落ちることが多いように思います。 分析的な思考力 与えられた問題を分析的に理解する力 統合的な思考力 複数の情報を統合して新しい考えに編む力 テクストを読んで理解したうえで、その中に問いを…
新課程への移行に先駆け、新しい学力観を取り入れた出題も、意欲的な大学・学部では既に見られるようになっています。いよいよ新テストも始まりますので、これから暫くは、大学入試問題ウォッチに例年以上の力を入れて、新しい学力観の下での学ばせ方を模索しましょう。出題研究を通して”問い方”を学ぶ ことは、先生方ご自身の持つ学力観を更新するのに代えがたい機会のひとつですし、「問いの立て方と…
別稿「どんな問いを立てるかで授業デザインは決まる」でも申し上げたことですが、「問いの立て方」とその「使い方」は、授業を通した学びの成果(深まりと広まり)を大きく左右します。問いを起点に展開する様々な学習活動が、生徒一人ひとりの学びをより深く広いもの、確かなものにするには、どんな問いを立てるのが良いのか、時には立ち止まって考えてみるのも良さそうです。より良い授業を目指す気持ちはすべての先生に共通する…
生徒が問題演習を行ったり、実験や話し合いに取り組んでいたりするときに、先生方が机間指導をしながら生徒の質問に答えるシーンは日々の授業で頻繁に見かけるものです。わからないことがあったら訊くようにと声をかけ、出てきた質問のひとつひとつに丁寧に答えていくのは、親身になって生徒を指導している姿そのものにも見えますが、よくよく考えてみると、「質問に丁寧に答える」という対処だけでは様々な問題があるようにも思え…
生徒にとって新しい単元を学ぶのは、歩いたことのない道を歩き、訪ねたことのない目的地を目指すようなもの。歩き方にも色々とあります。以下の3つのシチュエーションを思い浮かべてみてください。 先導する先生にくっついて、先生が決めたルートをただ歩く。 ゴールまで歩き終えたら、通ってきた道を地図上で確認する。 事前にゴールまでのルートを考え、地図で確認しながら歩く。 次回のチャレンジでもちゃんとゴールに辿り…
答えが一つに決まらない問題は、生徒が社会に出て多々直面するものであり、教室の中でもそれらへのアプローチを学ばせる必要があるのは明らかです。解内在型の問いがメインだった従来の教科学習では、立場によって賛否が分かれる問題や解法が未確立の問題を扱うのはどちらかと言えばレアでしたが、今後は教室で扱うケースも増えていくはずです。様々な見方で問題の把握を試み、原因や解決策を考えていくことになりますが、そこで欠…
教科・科目に固有の考え方を理解させ、それに基づき物事を正しい見方で捉えられるようにさせることは、教科・科目を学ばせる最大の目的のひとつだと思いますし、そうなれたとの実感は生徒がその先に学びを進めていく上で大きな動機になると思います。科目への自己効力感も高め、興味も大きく広げさせるでしょうし、今まで興味を持つことがなかったことに面白みを感じ、関心を向けられるようになったら、そこから先の成長には大きな…
思考力・判断力・表現力が重視され、主体的に学ぶ姿勢が求めれるようになる中、生徒が自ら考えたことを発表する場面が増えてきました。 探究型学習の成果発表会などはその最たる例でしょうが、高大接続改革を機に「証明する方法を説明する」「解決策を考え周囲の理解と共感を得る」という言語活動の要素を含む問題が登場するなど、日々の教科学習指導の中でも「自らの考えに適切な表現を与える力」を獲得させる必要が高まってきて…
教科学習指導の目的は、各科目に固有の知識や理解を形成することに止まらず、その教科・科目の学び方を身につけさせることや、論理的に物事を観察し、思考を積み重ねる方法を学ばせることにもあります。前者には、「学習方策は課題解決を通して身につく」「自ら学び続けられる生徒を育てる」という姿勢で授業に臨む必要がありますが、後者には、先生からの問い掛けを起点にした問答を重ねることが最も有効な手段の一つであると考え…
問答を通じた論理性・思考力の涵養は、すべての科目を選ぶことなく学ばせられる高校のうちにこそ推し進めたいところ。様々なジャンルを対象に思考の訓練を重ねた方が、より汎用性の高い力が得られます。しかしながら、生徒の思考を引き出しながら問いを重ねようと、ただ発問を増やしてみても、生徒の反応が鈍いままというケースも少なくありません。「正解を言い当てることではなく、自分の考えを言葉にすること自体が求められてい…
生徒に論理性や思考法を身につけさせる最上の方策の一つは、先生との問答(対話)です。問いを投げかけ思考させ、考えたところを言葉にさせることで、思考そのものやその土台となる観察の欠落に気づくことができます。外からの問いによって、それまでの考えを相対化させることは、より合理的な答えに近づくために欠かせないものだと思います。 2015/04/22 公開の記事をアップデートしました。 ❏ 考え方そのものを身…
共通一次やセンター試験の出題には、できるだけ高校現場の邪魔をしないようにとの配慮が感じられましたが、2年後に迫る新テストは一転して、大学の教育の在り方のイメージのもと「これからの高校教育はこうあるべき」との方向性を明確に示そうとしています。 これまで幾度もチャレンジしてきた高等教育と中等教育の改革により確実な効果を生み出そうと、大学教育と高校教育の接点である大学入試に手を入れたこと自体にも強い覚悟…