思考力と表現力を養うには
学びにおけるインプット(input)とインテイク(intake)
思考力と表現力を養うには
予想と違う結果がでたときにこそ~実験などの場面で
理科の授業では「実験」が欠かせませんが、配られているワークシートを見ると「うまくいったとき、予想通りの結果が出たとき」だけを想定した書式になっていることが少なくないように思います。すべての実験が上手くいくとは限らず、ちょっとしたところで操作を誤っただけで、想定した結果にならないこともあれば、機器の扱いが拙いなどの理由で測定誤差が大きく出たりすることも少なくないはずです。こうした場面に遭遇したときの…
学びを深める、問いの立て方とその使い方
別稿「どんな問いを立てるかで授業デザインは決まる」でも申し上げたことですが、「問いの立て方」とその「使い方」は、授業を通した学びの大きさ(成果=深まりと広まり)を大きく左右します。問いを起点に展開する様々な学習活動を「深く広い学び」に結実させるには、どんな問いを用意するべきか、常に考える必要がありそうです。なお、用意した問いの使い方については、別稿に考えるところをまとめました。併せてご高覧下さい。…
教材としての好適性~「問い」の性能評価
どんな問いを授業の軸にするかで生徒が学べるものは異なり、問いの周辺にどんな学習活動を配列するか(=授業をデザインするか)で、獲得できる能力や資質も違ったものになるのは、別稿でも書いた通りです。 別の見方をすれば、様々な問いの一つひとつには、授業デザインの軸にどこまでなり得るものか、資質のようなものがあるということです。その評価を授業者の「感覚」だけに依らずに、ある程度の根拠を持って行えるようになる…
対話的な学びにおける”第4の相手”
対話は、課題を前に発動した思考を、他者との気づきの交換で拡張するための活動であるのは言うまでもありませんが、その相手は「共に学ぶ周囲の生徒」に限らないのは、「自力で学ぶ力を育むのに重要な、最初に選ぶ”対話の相手”」などの別稿でも既に申し上げてきた通りです。学びにおける対話と言えば、周囲の仲間(生徒)との間に行われるもの以外に、教科書や資料を読むことによる文字を介した先人との対話や、先生との問答や発…
学習方策は課題解決を通して身につく
生徒が立てた問いを起点に作り出す対話と学び
授業準備や導入フェイズの課題として「生徒に問いを立てさせる」ことや、教室でひと通りの学び終えたときに「質問を引き出す」ことの効果については、それぞれの記事でも触れた通りです。問いを立てさせるのも、質問を引き出すのも簡単なチャレンジではありませんが、「せっかく出てきた生徒の問いや質問をどう扱うか」にも、様々な工夫が考えられるところです。各地の先生方の取り組みと工夫を参考に、より良い方法を探していきた…
学びの深さ~どれだけ問いを重ねたか
学びや思考の深まりには、「結論を得るまでにどれだけの問いを重ねたか」というモノサシを当てることで測れる部分もあるように思えます。問いを立て、考え/調べ/話し合うたびに「なるほど、そうか」という気づきが生まれるもの。その積み重ねで生まれる「厚み」こそが、学びの「深さ」であると考えるのも、あながち的外れではなさそうです。習ったこと、教わったことを鵜呑みにして、覚え込んでいくだけの工程に「問い」は介在せ…
問いをテーマに授業を考える(まとめページ)
どんな問いを立てて授業をデザインするか(学習活動を配列するか)で生徒がそこで学べるもの/獲得できるものはまったく違ってきます。新課程への移行で学力観が大きく変わった今、 「生徒に何を問い、何を考えさせるか」 「授業の中で問いをどう使うか」 は、改めてじっくりと考えてみる必要があるのではないでしょうか。こうした考え方に基づいてこれまでに起こしてきた拙稿を一覧にまとめてみました。お時間の許すときにご高…
学びの場での「問いの活かし方」
学びの過程で「問い」が担う役割は極めて大きいものです。「思考」は問いに触れて初めて発動するものであり、適切な問いが設定されないところでは、思考力を鍛えることも評価することもできません。深い(=思考を十分に掘り下げた)学びの実現にも、問いを重ねることが不可欠。「学びの深さ」はどれだけ問いを重ねたかで決まります。また、単元の導入からまとめ(次に向けた新たな起点)に至るフェイズのすべてで、問いはそれぞれ…
非言語情報を言語化する力
与えられた資料から読み取った情報をもとに、思考を重ねた結果を言語化/表現する力は、今後ますます多くの場面で求められますが、資料は言語によるものだけに限りません。グラフ、データテーブルなどの数値をもとにしたものもあれば、イラストや地図なども含めた、ありとあらゆるタイプのものがその対象になりえます。各教科の教科書でも、本文以外のパートから得られる情報は膨大。それらを材料に、「非言語情報」を効果的にハン…
改めて考えてみる「問いを立てる」ということ
このブログでもたびたび「問いを立てる」という言葉を使ってきましたが、改めてその意味するところを考えてみたいと思います。単純に「なんだろう」「どうなっているのだろう」と疑問や興味を持つ段階から、「疑問の正体を特定し、共有可能な表現でその本質を表現する」という過程を経てようやく「問いを立てる/起こす」に至ります。目の前の事物を注意深く観察したり、資料などを注意深く読んだりしないと、起点の「なんだろう」…
AIの時代だからこそ「問いを立てる力」
AIは、以前から身近なところでも活用されており、生活を便利にしてくれていますが、知的作業の道具(相棒?)としての存在感を強めたのは、ChatGPTの登場(2022年11月)を機にでしょう。以来、学習の場でも、生徒や学生が物事を調べたり、考えたりするのに使って当然、なくてはならない道具としての立場を手に入れました。こうした技術の進歩と道具の変化の中で、生徒や学生(に限らず、社会人も含むあらゆる立場の…
導入フェイズで仮の答えを作らせることの効果
別稿「導入フェイズの目的と方法」で書いた通りですが、学びを始めるタイミングで生徒に「本時の学習で目指すところ」を明確に認識させておくことには、様々なメリットがあります。頑張りに方向性が得られ、振り返りに基準を持てることに加え、ゴールと結びつけた情報(説明など)の理解と整理が、「知への構成」を容易にする(=理解力の底上げを図る)ことなどはその主なところです。目指すことの提示には、「(学び終えて)解く…
意図したことを正しく表現する方法を学ばせる
思考力・判断力・表現力が重視され、主体的に学ぶ姿勢が求められるようになる中、生徒が自ら考えたことを発表する場面が増えてきました。 探究型学習の成果発表会などはその最たる例でしょうが、高大接続改革以降の入試では「証明する方法を説明する」「解決策を考え周囲の理解と共感を得る」といった言語活動の要素を含む問題が登場しています。意図したことを正しく表現するための土台は、日々の学習を通して獲得させた言語、情…
論理的思考と批判的思考
失敗から正しく学べているか
結論を出さずに終える授業
授業の終わりは「今日の授業の内容をまとめて」というのが定番のスタイルかもしれませんが、ちょっと発想を変えて、問いに答えを出さずに次の授業につなぐというやり方はいかがでしょうか。授業を「復習→導入→展開→演習→まとめ」という固定的な構成で考える必要はありません。結論を与えてしまうことで学びや思考を締め括らず、問いをオープンにしたままま授業を終えることが、生徒に考え続けさせることにつながることだってあ…