進路希望を作るまでの活動を確かめる#INDEX

生徒一人ひとりの進路希望を把握することは大切ですが、それ以上に着目すべきは、進路意識を形成し、進路希望を具体化するまでに生徒一人ひとりが踏むべきプロセスをきちんと踏んでいるかどうかを確かめることではないでしょうか。「自らの選択の結果に向き合える状態」に生徒を導くことは大切であり、そのためにも如上の確認は欠かせません。
進路希望調査を行うときの注意、大学選びの前に行う学部・学科研究の新しいアプローチ、進路意識が形成される状態を質すとともに生徒に内省を促すことの3つを切り口に、考えるところをまとめました。

2017/04/13 公開の記事インデックスをアップデートしました。

とりあえずの選択を看過しては、生徒自身にも益はないはずです。その後の可能性を狭めたり、難局に臨んで頑張り切れなくなったりします。
学ぶことへの自分の理由を明確に持った生徒は、進路希望実現に頑張りを見せてくれますし、大学に進学した後に目的を見失ってしまうリスクも小さいはずです。
進路選択を通じて、「選択の力」を身につけ、「努力して達成した先に新たな興味が生まれることを学んだ生徒は、次のステージに進んだ時も新たな興味と目標を見つけ出し続けることができると思います。

進路希望を実現する上でも、「志望理由書」や「学習計画書」が入学希望者選抜で重きが置かれるようになる以上、きちんとプロセスを踏んだ生徒とそうでない生徒とでは大きな違いが生じます。
#03でご紹介したようなアンケートで観測を続けておけば、より良い(=明確な目的を持ち、熟慮を重ねた)選択のために生徒一人ひとりが今何をすべきかを特定する材料も得られ、面談指導もより有意義に行えるはず。集団としての傾向を掴めば、進路指導計画の改善にも役立てられると考えます。

#01 進路希望を調べるときは、前段階の確認も併せて

・選択の結果を訊くなら、選択のプロセスの前段階も
・志望を表明させることで意識を固定してしまうリスク
・伸びている実感に乏しいときに進路希望を訊くと…
・訊くべき事柄には順序や段階性がある

 関連記事:

 ・探究型学習を使った進路指導(全5編)

 ・どこまで伸びるか見立てる(進路希望の維持:続編)

 ・諦めない心は諦めたくないものを見つけた人に

 ・探究活動と進路指導でポートフォリオに残すログ

#02 学部・学科調べに、学問探究という入り口も

学問の細分化と学際の拡大で、学科は3,000近くに及ぶ
従来の発想・方法では、興味に合致する学科を探せない
学会名鑑やJ-GROBALも上手に活用して
様々な研究、取り組みを知り、進路意識を作る

 関連記事:

 ・授業を通して21世紀型能力は育めているか

 ・社会が取り組む課題を軸にした学部・学科研究

 ・探究活動の舞台としての地域連携

 ・資料を与えて読ませる/探させる、そしてその先に

#03 進路意識形成について意識を質し、内省を促す

・興味を起点に、理解を深め広げる活動を経ているか
・興味の先には、学んだことを通じた社会との接点
・興味が広がる世界と、学問との繋がりを探る部分は?
・踏むべき手順をきちんと踏めば、実現への意欲も高まる

 関連記事:

 ・目標を持った状態で巣立たせる

 ・大学に進んでから燃え尽きさせないために

 ・卒業を前に改めて考える、大学に進んで学ぶ理由

■その他の関連記事:

  1. 伸びている実感が、挑む意欲を支える
  2. 志望理由を言葉にしてみる~ゼロ学期の始まりに
  3. 履修科目選択と進路希望調査(志望理由の確認)

教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一

この記事へのトラックバック

進路意識形成を支える指導Excerpt: 1 興味を追いかけ、しなやかに選択を重ねる1.1 キャリアは選ぶものではなく重ねるもの 1.2 カッコつきの“キャリア教育の充実!”に思うところ 1.3 起業家教育について考えるところ 2 進路指導で育む“選択の力”2.1 進路指導で育む“選択の力”(その1) 2.2 進路指導で育む“選択の力” (その2)
Weblog: 現場で頑張る先生方を応援します!
racked: 2017-04-19 07:10:16
面談指導を成功させる#INDEXExcerpt: 10月を迎えると、次年度の履修科目選択を控えた2年生、受験に向けて走り出し、学習法や出願校選択に悩む3年生と、様々な場面と目的で面談指導が盛んに盛んに行われることと思います。
Weblog: 現場で頑張る先生方を応援します!
racked: 2018-09-18 05:32:39
勘に頼らず、データに偏り過ぎずExcerpt: 次期学習指導要領が求める新しい学力を養っていくには、これまでとは違った指導方法が必要になるのは言うまでもありませんが、その改善と確立に向かうには、指導の効果測定や教育活動の成果検証にもっと目を向けるべきではないかと感じています。
Weblog: 現場で頑張る先生方を応援します!
racked: 2018-11-15 04:31:59