副作用を抑え、効能を最大化するルーブリック評価の運用
ここで改めて申し上げるまでもありませんが、新課程への移行に伴って「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3観点での学習評価が行われるようになります。文科省が示した指導要録(参考様式)にも、各教科・科目の観点別学習状況を記載する欄が設置されています。指導要録に、評定とともに観点別学習状況が「AAA」といった具合に記録として残る以上、評価結果に対する説明責任は、これまで以上に…
当オフィスは、各地の学校で授業力向上や教育改善・学校改革のお手伝いをしています。
ここで改めて申し上げるまでもありませんが、新課程への移行に伴って「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3観点での学習評価が行われるようになります。文科省が示した指導要録(参考様式)にも、各教科・科目の観点別学習状況を記載する欄が設置されています。指導要録に、評定とともに観点別学習状況が「AAA」といった具合に記録として残る以上、評価結果に対する説明責任は、これまで以上に…
以前の記事「 効果測定とスクラップ&ビルド(教育資源の最適配分)」 をお読みいただいた先生から、「効果測定や成果検証の必要性は十分にわかっているが、作業が増えることに負担感もあり、どうしても二の足を踏んでしまう」とのご感想を頂戴しました。確かに、指導の効果測定を行うには相応の手間がかかります。「足し算だけのビルド&ビルドから抜け出そう」との文脈なのに、そこに無駄な作業を新たに作るようでは、何を目指…
建学の精神や教育理念のもとで各学校は教育目標を定め、その達成のために教育活動を行っていますが、学校評価アンケートなどで生徒に「教育目標に掲げられた『目指すべき人物像』に近づけているか/近づけそうか」と聞いてみると、なかなか力強い答えが返ってきません。教育目標は「ただ掲げているもの」ではないはずですし、その達成には先生方のみならず、生徒自身にもコミットメントが期待されるところではないでしょうか。たい…
臨時休校、分散登校、短縮授業と、授業日数・指導時間の確保を困難にする要因がズラリと並ぶ中、日々の授業をより効率的で密度の高いものにするには教室の対面授業で行う学習活動を精選する必要があります。 ターゲットとなる問いを設定することは本時の主眼や指導の目標を明らかにするとともに、個人で出来ることと教室で行うべきことの選別にも有益であるというのが、昨日の記事の主旨でした。 そうしてデザインした授業の一つ…
新しい学力観への転換が図られる中で、学習指導の方法の工夫と開発が進んできました。新たな指導法を開発・発見すると、すぐに教室で試してみたくなりますが、ぐっと立ち止まって「評価はどうする?」と自問してみましょう。ここに来て、学習評価の改善も本格化な取り組みを始めた学校も少なからず見受けられるようになってきました。学習の「結果」と「プロセス」の双方について「到達点」と「変化量」を視点に把握する必要がある…
何らかの課題や問いを与えて生徒に取り組ませるとき、生徒が最初に作った答え(=単元やテーマを学ぶ前の段階で考え出せたこと)を保存しておき、それを学び終えて仕上げた答えと比べてみると、両者の違いに着目することで学びの成果を確認・可視化できるようになります。たとえ、答えに行きつかなかったとしても、書きかけの答案や題意を図に起こそうとしたときの痕跡もあるはずです。それをノートやワークシートから消してしまわ…
学習評価は多面的に行う必要があります。仮に成績が伸びていたとしても言われたことをただこなした結果であれば、先生が手を離した途端に学びを止めてしまうかもしれませんし、伸びている実感を欠いた生徒はその科目を学び続ける意欲を失いつつある可能性もあります。正しい学びの場を創出できているか、授業を中心とする教科学習指導がきちんと成果をあげているかを知る上で、チェックすべきことがらは多岐に亘ります。以下はその…
学校の裁量が拡大され、各地で特色ある教育活動が展開されるようになりました。単位制や総合学科は言うまでもなく、普通科でもコース制を取ったり、独自の教育プログラムを整備したりと様々な価値を打ち出そうとしています。それなのに、”外野”からは、やれ普通科は画一的だ、生徒の意欲が高まる内容になっていないといった批判が届きます。そうした批判をうち消せないでいることの背景には、各校が打ち…
先週、「授業に集中してる? 生徒の脳、活動量をセンサーで計測」という記事を朝日新聞で見つけました。東京大学と横須賀の三浦学苑高校が協働で行なっている実証実験です。脳の司令塔と言われる前頭前野の活動量を調べるセンサーを生徒のおでこに付けて、授業中に生徒の脳がどれだけ活発に働いているかをリアルタイムに把握するとのことです。 ❏ 脳の活動量がリアルタイムに測定できることの恩恵 先生の話を聞いているとき、…
探究活動や課題研究には代表者による成果発表がつきものですが、代表者や発表作品を選定した理由はきちんと言語化してレジュメや作品に添えて表示したいものです。発表や作品に触れた生徒に「なぜ選定されたのか」を知らしめることは、探究活動の目指すべきあり方を示すことに外ならず、それ自体が生徒に対するとても重要な指導だと思います。 ❏ 合理的な理由なしに代表作品を選ぶことで生じる問題 発表会や展示されているその…
新しい年を迎えて一週間が経ち、今日が始業式という学校も多いかと思います。昨年4月に高大接続改革入試初年度生となる新入生を迎えて既に9か月が経過したことになりますが、新しい学力観に沿った学ばせ方の転換はどこまで進んできたでしょうか。本年度の成果をきちんとたな卸しして次年度以降に継承するとともに、新しい取り組みの中に見出された課題をしっかり特定し解決を図る必要があります。今日から年度末まではこれに当て…
別稿「勘に頼らず、データに偏り過ぎず」でも書いた通り、新しい学力観に沿って学ばせ方の更新を測る必要がある中、新たに採り入れた手法はきちんと効果を測定し、成果を検証していく必要があります。教育資源の最適配分は学校経営の重要課題ですが、その判断を勘に頼るわけにもいきません。エビデンスに基づいた判断が求められます。また、効果測定は、理解者と賛同者を増やすためでもあります。どれほど強い信念を持って取り組ん…
効果測定を重ねながら、優良実践の抽出と共有を継続的に行っていけばそれぞれの先生方が持っておられた強みの集合体として、共通項を一定以上に含む「本校の授業のありかた」の具体的な姿が徐々に表れてくるのではないでしょうか。授業改善に向けた協働の中で、先生方が互いの実践から学び、指導効果の高い指導手法を共有していけば、学ばせ方・教え方における担当者による差は自ずと縮小に向かうはずです。これまで取り組んでなお…