探究活動や課題研究と成果発表会(まとめと追記)

課題研究や探究活動の成果発表会は、生徒一人ひとりが取り組んできたことを互いに知り、相互に新たな刺激を得る「相互啓発」の機会としてとても大切だと思います。先輩の発表を見た後輩たちも大いに刺激を受け、自分たちも頑張ろうとの思いを持ってくれるはず。
こうして受け継がれていく成果と刺激は、やがて学校に「文化」を創り出していきます。さて、その成果発表会ですが、押さえるべきところをきちんと押さえないと、形だけのものになってしまったり、受け継がれるべき「文化」を歪めてしまったりするリスクがあります。
とりわけ「発表者の選出」や「講評の受け止め方」は、活動全体を振り返る中で改めて得られる学びや、後輩に伝わる刺激を全く違うものにしてしまう可能性のある、極めて大事なところだと思います。

2016/10/11 公開の「まとめページ」を再アップデートしました。

成果発表会の“成果”(その1)

成果発表会で目指した教育成果は何か?
探究の方策/アプローチを互いに学び合う場として
先輩が明らかにした先を見たい気持ちも学びの動機に

成果発表の“成果”(その2)

探究活動の目指すところと取り組み方を示せているか
成果を発表する生徒をどう選ぶか
相対化と比較のスキルで、発表から学べるものを大きく
メモをとる姿勢と質問を交わして互いの思考を深める力

成果発表会は、先生方が指導を振り返る機会

成果発表は締めくくりではなく、新たなスタート
講評者からの助言を、次の行動に結び付ける”聴く姿勢”
指導者の視点で、発表への講評に耳を傾ける

良いものを選んで重点的に~探究活動の成果発表

すべての成果品を同等に扱うことにメリットはない
評価した結果の違いを、表示方式にも反映させる
成果発表会は学校の教育力を評価される機会
発表作品の選出は、探究活動の評価基準に沿って

選定理由の言語化を~探究活動の成果発表会

合理的な理由なしに代表作品を選ぶことで生じる問題
選定理由そのものを教員間で突き合わせる
選定理由を言語化することで改善課題が見えてくる
探究活動を評価するルーブリックは整っているか
適切な評価・選定で、探究活動の成果を確かなものに

プレゼンテーション/成果発表を機につくる成長の場

プレゼンの準備や体験で成長への刺激を得ても…
相対化、振り返り、課題形成を経た再チャレンジ
発表者がより多くのフィードバックを得られるように
リフレクション・ログに成長への決意が読み取れるか

既卒生が残した「成果」を教材に~探究活動の導入指導

先輩たちの作品を比較しながら評価させてみる
生徒間での気づきの交換で、観察をより広く・深く
観察の視点は、探究の方策とテーマの選択

先輩たちの研究成果に対して立てる「問い」

準備もなしにはテーマも決まらず、問いも立たない
先輩たちが作った答えは、反証を試みる好適な対象

■関連記事:

  1. 探究型学習(課題研究等)の成果をどう測るか
  2. 生徒は評価者としてどこまで成長しているか
  3. 特色ある教育プログラムへの生徒の取り組み状況は?
  4. 探究活動の効果測定アンケート
  5. 高大連携や進路関連のイベントに外部人材を活用(全3編)
  6. 進路関連行事に向けた企画・準備・事前指導

成果発表会には、大学に進み/仕事に就いて研究や実践に頑張っている卒業生にも足を運んでもらいたいところです。研究やビジネスの最前線で日々奮闘する卒業生たちは、先生方とはまた違った視点で、後輩たちの頑張りに助言やエールを送ってくれます。こうした「斜めの関係」がふくらめば、課題研究・探究活動から生まれる「新たな学校の文化」もより強固で豊かなものになっていくのではないでしょうか。


内外の理解・協力を得るためにもきちんと効果測定

探究型学習(課題研究等)の成果をどう測るか

探究活動を通じて、生徒は様々な「目に見えない学力」を獲得しています。興味の先に見出す「学ぶことへの自分の理由」や、それが具体化した「進路意識」などもそうですし、解が特定されていない課題を解決するときのスキームやそれらに取り組むときの姿勢なども含まれます。
指導に当たられる先生方のご苦労は並大抵のものではありませんが、探究活動には投資をはるかに超えた大きな成果が期待できます。成果検証を確実に行い、校内外に理解者と協力者を増やしていくことが、探究型学習/課題研究を学校に根付かせていく上で欠かせません。
探究に必要なスキルと姿勢を書き出して行動評価の規準として用いることで、活動を通じた生徒の成長の度合を定量的に捉えましょう。
成果発表の直後や卒業して暫くたったタイミングで、探究を経験した生徒にアンケートを行い、学習者・研究者としての自分の成長をどう感じているかも調べてみたいところ。直ぐには実感するものがなくても、記憶に残った「原体験」が後で形になることも少なくないはずです。

教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一

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