授業改善での協働のあり方

授業評価アンケートの導入に際して

本年度もまた、様々な学校で新たに「授業評価&生徒意識アンケート」を導入いただくことになりました。改めて、御礼を申し上げます。各校の授業改善がこれまで以上に大きく進むよう、当オフィスも出来る限りを尽くして参る所存です。授業評価アンケートが目的とするところ、実施の方法やお届けする帳票の内容、加えて集計結果を授業改善にどうお役立ていただけるかなど、実施前にお伝えしておきたいことを以下の7項目にまとめてみ…

問いのあり方に焦点を置いた授業研究

以前の記事で、教室でしかできない学びを充実させるべく、授業は問いを軸に設計するのが好適と申し上げましたが、これを裏返して考えるとターゲットに設定した問いによって、授業の質/生徒がそこで学べることが大きく変わってしまうということです。先生方が集まって「より良い授業」を目指した研究や研修を行うとき、教え方や学ばせ方に焦点を置くケースが多いように思いますが、学力観が大きく変化した今、問いのあり方をテーマ…

優れた実践を見て言語化する(見取り稽古)

剣道や合気道では「見取り稽古」というのがあります。ほかの人の稽古や試合を見てその技術を学ぶことですが、単に上手な人の技術を真似るだけではありません。上手な人のやっていることを基準に、今の自分の技術を相対化して、より良くなるための課題を明確にすることで今後の練習に方向性や目標を見出すのが、この稽古が目的とするところです。先生方が授業改善への取り組みの中で行う「相互参観」は、言うならば教科学習指導にお…

共通教材を使用していても…効果測定と実践共有を着実に

複数の先生方が同じ教科書・副教材を使ってクラスを分担するケースは少なくありませんが、定期考査の共通化(評価の公平さを保つには不可欠です)に加えて、プリントやワークシートなども共有が図られているのに、教材の使い方などに担当者間で小さからぬ違いが生じていることが少なくありません。指導案の解釈にも差がありそうです。例えば、ワークシートを埋めさせるところでも、説明を聞かせるだけの先生もいれば、問い掛けて生…

教科間で行う、課題量の把握と調整(その3)

生徒が抱える課題の総量を適正範囲に収めるように調整するにしても、家庭学習にどのくらい時間を投じさせるべきなのか、合理的に導かれた目安値がないと、増やすか減らすかの判断もつきません。3年間あるいは6年間を見通した学習指導計画において「この時期にはこのくらいの時間を家庭学習に充てさせる」という目安をきちんとした根拠に基づいて決めたいところ。受験学年で単元進行と入試対策を並行することが多い理社に十分な時…

教科間で行う、課題量の把握と調整(その2)

教科間で調整を行いつつ、課題(予復習、宿題など)の総量を適切な範囲にキープするには、いくつかの数字を把握しておく必要があります。ひとつは「生徒一人ひとりが授業外の学習に充てている実際の時間」。一般的には「家庭学習時間」と呼ばれますが、放課後の自習室で勉強をする時間や通学の電車・バスで参考書を広げる時間なども含めるべきですので、呼称は「授業外学習時間」の方が適切かもしれません。これに加えて、各教科の…

教科間で行う、課題量の把握と調整(その1)

家庭学習にきちんと取り組ませるため、各教科が与える課題量を学年内で把握し、調整を図っている学校があります。こなしきれない量の課題(予習・復習、宿題)を生徒が抱えて履行率が下がる/仕上げが不十分になることがないように、逆に、やるべきことが見つからずに個々で取り組む学習活動が不十分になることがないように、というのがその意図するところです。 ある科目を担当する先生の「生徒の学力を伸ばそうとの熱意と善意」…

授業改善には授業デザインを先行させる

深く確かな学びを実現する授業を構成する要素には、話し方や板書、指示や説明、確認の取り方などの「伝達スキル」と、学習目標を共有したり、学んだことを使う場を整えたり、対話を通して学びを深めたりといった「授業のデザイン」の2つがあります。伝達スキルの多くは、個々の先生に内在するものであり、参観などを通じて優れた手法に触れたとしても、その場から自分のものとして自在に使いこなせるようになるとは限りません。生…

新しい生活様式のもとでの学習指導(まとめページ)

1 授業再開にむけて整えておきたい準備 1.1 授業再開にむけて整えておきたい準備(記事まとめ) 1.2 休校明けの授業を円滑に再始動する ・まずは、家庭学習の成果をしっかり確認 ・確認テストを行うか、単元課題で評価するか ・教室で学ばせることを絞り込んで授業を再計画 ・遠隔指導やICT活用のノウハウを継続開発 1.3 改めて迎える「新年度」の始動に当たって押さえたいこと ・教員間の「目線合わせ」…

臨時休校のリモート指導がきっかけで授業改善が加速?

今年は年度当初から、臨時休校中のリモート学習、学校再開後の分散登校と様々な障害がある中での教育活動が余儀なくされましたが、1学期の授業評価アンケートの結果を見ると、評価が下がるどころか、大きく授業改善が進んだことを窺わせるデータも散見されます。 学習効果をダイレクトに尋ねる「授業を通しての学力の向上や自分の進歩を実感できるか」という問いにも、肯定的な回答が昨年度以上に増えているケースも少なくありま…

知見の共有と実践の浸透をスムーズに

休校が続いたり再開しても分散登校が余儀なくされたりする中、制限の多い教育環境でも生徒の学びを止めないようにと各地の先生方が様々な工夫をなさっています。普段と同じスタイルで授業ができず、止むを得ず代替で投入した方法が期待以上にうまく機能し、「日常が戻った後も応用していきたい」と手応えを得たケースも少なくないようです。 ピンチを迎えて知恵を絞ることで、知の地平は大きく広がるようです。ここで生まれた知見…

課題(教材)のシェアから始める組織的授業改善

より良い授業の実現を図るには、習ったことを使ってみる機会(=授業を通じて獲得した知識や理解を用いて答えを導くべき問い)をしっかり用意する必要があり、それらが学習目標の理解や学びの仕上げに正しく利用できているか、生徒の学力向上感との間で散布図を描いてチェックしてみるべき、というのが一昨日と昨日の記事の趣旨です。 ❏ 紙の上に固定できることは議論の進めやすさ どのように授業を進めていくかは、教科の中で…

校種間連携で図る、授業改善と指導の最適設計

高大接続改革について耳目にする機会は多いですが、小中高の教育活動の異校種間接続についてはそれほどでもないように思います。生徒が小中高で学ぶ12年間にわたり、指導目標や学ばせ方などが連続性を以て段階的にきちんと配列されていることは、その間の教育活動の無駄や矛盾を取り除き、成果を最大化するための絶対要件です。学習指導要領の上で整合性のある学びが設計されていても、それぞれの校種の先生が現場での経験に照ら…

教科学習指導以外でも実現したい校種間連携

授業公開を機に行う小中校教員の意見交換、出前授業、考査問題やレポートの閲覧など、異校種間の連携を通じて授業の改善や指導計画の最適化を図る方法をご紹介してきましたが、もう一歩踏み込めるようなら検討してみたいのが、「考査問題の作成(=到達目標の設定)における協働」と「数年後の状態と照らした分析(コホート研究)」「総合的な学習/探究やキャリア教育の接続」です。いずれも、現場の先生の負荷が小さくありません…

下級学校の取り組みと成果を知る、参観以外の方法

校種間の学びを正しく接続するうえでの問題の一つは、下級学校が取り組んだ教育の成果を上級学校が正しく踏まえきれていないことにあるのではないかと思います。生徒が小中学校で体験してきた/達成してきたことを高校の先生方がこれまで以上に知る機会が必要と考えます。小中学校を訪ねて成果発表会や作品展示を見るたびに「こんなことまで出来るのか」と感心させられます。相互参観や研究協議、出前授業などを通して上級学校での…

異校種の生徒に教えてみることのメリット(出前授業)

授業改善を目的として小中高の校種間連携で行う取り組みには、授業公開+研究協議という形以外にも、別校種に出向いての「出前授業」というのもあります。小学生や中学生に現在の勉強の先にあるものを体験させ、学びへの意欲を高めるというのが本来の目的ですが、普段と違う校種の生徒に教える苦労の中に多くの気づきがあるものです。 2014/05/16 公開の記事をアップデートしました。 ❏ 出前授業を請け負うことでの…

授業公開と研究協議~指導に込めた意図の共有

校種間での学びの接続に大きな効果が期待できる「異校種間の先生が協働で行う授業研究」ですが、高校にとっては自校の教育活動への理解者と共感者を地域に増やす絶好の機会にもなり得ます。生徒募集の改善のみにならず、目指す教育を実現する土台作りにも繋がる活動ですので、場の創出・提供には積極的に取り組みたいものです。新たに開催を企画するとなると準備段階での負荷も小さくありません。研究授業や教員による相互参観など…

隣の校種での授業を知るのは、学びの接続の大前提

異校種の授業を参観する機会はどのくらいあるでしょうか。育てている生徒が進学後にどんな学びに挑むのかを知ることや、迎え入れた生徒がどんな学びを経験してきたかを知ることは、どんな力を獲得させるべきか、何を前提に指導を設計すべきかの判断の際に欠かせないものです。学習指導要領がこれまでにない大きな変更を受けた以上、お隣の校種で何をしているかは、改めて確認しておく必要があろうかと思います。中高一貫校なら中学…

先端研究で得られた知見を活かして授業改善

先週、「授業に集中してる? 生徒の脳、活動量をセンサーで計測」という記事を朝日新聞で見つけました。東京大学と横須賀の三浦学苑高校が協働で行なっている実証実験です。脳の司令塔と言われる前頭前野の活動量を調べるセンサーを生徒のおでこに付けて、授業中に生徒の脳がどれだけ活発に働いているかをリアルタイムに把握するとのことです。 ❏ 脳の活動量がリアルタイムに測定できることの恩恵 先生の話を聞いているとき、…

授業評価アンケートの集計が終わったら

生徒による授業評価アンケートは、授業改善に向けた課題形成とこれまでの改善行動の効果検証のために行うものですから、集計結果が良かったかどうかよりも、結果が出た後の個人/組織の行動の方が大切です。健康診断を受けて気になる数値があったのに生活改善をしないとエライことになるのと同じかもしれません。 ❏ 生徒は授業を受けて学力の向上を実感しているか 教科学習指導を評価し、妥当性を検証するときは、 成績の伸長…