授業改善での協働のあり方

出題内容から窺う、大学の教育姿勢

別稿「出題研究を通して”問い方”を学ぶ」では、新しい学力観に沿った問い方を学ぶのに好適な教材を、高大接続改革以降の大学入試問題から探しましょうとのご提案をいたしましたが、出題研究を通して「各大学の教育姿勢」を窺い知ることも同時にできるはずです。特徴的な出題の背後には、それを選択した理由があるはず。大学ホームページ等に記されたカリキュラム・ポリシー、ディプロマ・ポリシーと関連…

自分撮りのススメ~自分の授業を客観的にみる

別稿で申し上げた通り、授業を改善しようと思ったら、伝達スキルより授業デザインに焦点をおいて、その改善を先行させた方が改善の効果が短期間で現れますが、話し方・伝え方、強調の方法などに問題を抱えているなら、その解消も先送りするわけにはいきません。 授業デザインは、構成要素の大半が言語化できる外在知ですので、校内/教科内にある優れた実践から学びやすいもの。高い評価を得た授業でのやり方を知れば、まったく同…

授業改善を加速するための共通言語(用語集)

より良い授業の実現を目指した先生方の協働(学校全体での/学校を跨いだ授業改善)を進めるときに大切なことの一つに、「授業や学習を語る共通言語」の存在があります。当然ながら、学習指導要領で用いられている言葉の数々もそこに含まれますが、それだけではありません。日々の授業研究の中で、一定以上の頻度で使われていながら、きちんと定義されていない言葉も少なくないかと思います。概念を共有できる言語がなければ、噛み…

授業改善の方向性は合っているか?(チェックリスト)

現行課程において、知識・理解の着実な形成に加え、基礎力(=言語、数量、情報の各スキル)や、思考力(狭義の問題解決力に限らず、問題発見力、メタ認知・適応的学習力なども含む)などの獲得が、これまで以上に求められているのは、これまでの別稿でも書いてきた通りです。 日々の教室での「学ばせ方」にも、こうした「新しい学力観」に沿うことが求められ、その方向で授業改善も進んでいるはずです。さらに歩を進める前に一度…

効果測定は、理解者と賛同者を増やすため

以前の記事「 効果測定とスクラップ&ビルド(教育資源の最適配分)」 をお読みいただいた先生から、「効果測定や成果検証の必要性は十分にわかっているが、作業が増えることに負担感もあり、どうしても二の足を踏んでしまう」とのご感想を頂戴しました。確かに、指導の効果測定を行うには相応の手間がかかります。「足し算だけのビルド&ビルドから抜け出そう」との文脈なのに、そこに無駄な作業を新たに作るのでは、何を目指し…

授業改善での協働のあり方

1 授業を観る、授業を観てもらう 1.1 優れた実践を見て言語化する(見取り稽古) ★1.2 生徒を中心に授業を観る(その1)、(その2)1.3 授業を観てもらう「チャンス」を活かす1.4 自分撮りのススメ~自分の授業を客観的にみる1.5 教科会に期待される役割~ちゃんと機能していますか? ★ 2 組織的授業改善の土台: データを使った効果測定 2.0 組織的授業改善の土台: データを使った効果測…

優良実践の共有をシンプルなグループワークで

授業評価アンケートの集計結果は、先生方一人ひとりの振り返りの材料としてだけでなく、校内に存在している優れた実践を掘り起こし、共有するためのきっかけを作る材料でもあります。しかし実際には、手元に届いた集計結果を眺め、(ときに)分析担当者からのコメントを読む/聞くところで終わっているケースが少なくないかと思います。さらに一歩踏み込み、集計結果に基づき「より良い授業を実現するための共有知を創り出す場」を…

教科の枠を超えて「学び」を語るために

以前に増して「思考させる授業」や「探究的な学び」が求められる中、私たちが目指すべきは、単なる知識伝達を超えた授業デザインです。探究活動やPBLに取り組む機会が増える中、狙いの中心に据えるべき対象は、単元固有の知識や理解の形成と並行して(=それを手段に)獲得を目指す「さまざまな能力や資質」へと変わってきています。 各学校が打ち出している「特色ある教育活動」もまた、既存の教科の学びに「後付け」しただけ…

授業評価の結果をより良い学びに活かす~大学編

大学で実施される授業評価アンケートは、学生の学びの質を向上させるための重要な手段の一つです。しかし、アンケート結果が単に公表されるだけで、授業改善に繋がっていないケースも少なくないようです。授業評価が意味を持ち得るのは、単なる数値の比較に終わらず、教育の質向上に繋がってこそ。本稿では、評価結果が適切に活用されない理由から、その解釈や授業改善に向けて踏むべき手順まで考えてみます。 ❏ 授業評価が活か…

教育手法開発・指導法改善への計画は万全?

新年度からの生活・学習・進路の指導計画は順調に固まりつつあると思いますが、もう一つ計画を起こしておきたいのは、「教育活動の成果をどう測りつつ、教育手法の開発や指導法の改善を進めていくか」です。新しい学力観の下、様々な取り組みが積み重ねられている中、万が一にも「やりっぱなし」の部分があっては、徒な試行錯誤に生徒を巻き込むばかりですし、先生方にとっても、投じたエネルギーに見合った効果が実感として得られ…

改善が遅れた授業のキャッチアップを支える

授業評価アンケートの集計結果や、模試や外部検定のデータを拝見していると、改善を重ねてより良い指導を実現している授業/先生/クラスがある一方で、キャッチアップが必要なのに改善が遅れてしまうケースも少なからず見られます。これをそのままにしては、改善が進まない先生ご自身もお困りでしょうし、そこで学んでいる生徒にも小さからぬ不利益が及びます。自校に通うすべての生徒に「より良い学び」を約束するために、改善が…

実践報告に触れての気づきを言語化することの効果

より良い授業の実現を目指し、全国各地で様々な指導法研究や実践報告が行われています。ご参加の先生方からの意欲的な提案や報告にいつも大きな刺激をいただき、たいへん勉強になります。 各地の先生方が、それぞれの置かれた状況の中で「あるべき学びの姿」を考え続けて生み出してきたアイデアの数々は、それに触れた人が授業をデザインするときの手札を増やし、それを使ってさらに工夫を重ねた実践はまた別の機会で報告され、別…

優良実践に触れたのに改善が進まないのは?

模試や外部検定などのテスト、ルーブリックを用いた活動評価、さらには生徒による授業評価アンケートの結果などから、優れた実践(=有為な学びに大きく寄与した指導)の所在を特定し、それを共有することが組織的な授業改善を進めるときの「基本」です。共有したものは、先生方の協働で更なるブラッシュアップを図ったり、他の手法と組み合わせたりして、より大きな成果が見込めるものに仕立て直していきたいところです。 しかし…

分業で行う出題研究のフィルタリング #INDEX

授業内外に用いる課題に、生徒が志望する/目標とする大学群の入試出題から選び出した良問を用いることで、様々な効果が得られます。今学んでいることが、どのような問われ方をするのかを知れば、学び方にも方向性が得られますし、解けたことで、自分の進路希望が「努力で届く範囲」にあると感じることからの好影響も小さくありません。過去問から好適な問題を選び出して授業に用いるためには、出題研究の充実が欠かせませんが、先…

分業で行う出題研究のフィルタリング(その6)

指導と評価に、良問を効果的に活用するには 出題研究を行い、そこから選び出した良問を学習指導に役立てる機会と方法には様々なものがあります。授業の課題/教材として活用すること以外にも、定期考査や実力テストの出題に転用したり、高い学力を備える生徒の意欲に応える任意課題としたりするケースなどもあります。いずれの場合でも、生徒に与える前に欠かさず行いたいことは、前稿でもふれた「生徒側のレディネスを確認するこ…

分業で行う出題研究のフィルタリング(その5)

選び出した良問は、指導カレンダーにきちんと配置 先生方の分業と協働によるフィルタリングを通じてせっかく選び出した良問ですから、きちんと指導カレンダー上に配置して、授業内外の課題として活用していきましょう。眠らせておいても意味はありません。その際、教科書などに沿って進行する単元と、出題の中心テーマが一致するものを機械的に配置していけば良いというものではありません。その問題/課題を使って、どんな能力(…

分業で行う出題研究のフィルタリング(その4)

作業全体の効率を高めるための手順(進め方) 生徒の進路希望の分布などに基づき出題研究の対象とする範囲(大学や学部)を決めたら、各々に担当を割り振って、第一段階の審査(価値の低い問題を予め除外するフィルタリング作業)に取り掛かりましょう。個々の授業/単元での授業のデザイン(指導計画の中への「良問」の配列とその使い方)の検討に十分な時間を確保できるように、如上の第一フェイズまではできるだけスピーディー…

分業で行う出題研究のフィルタリング(その3)

良問/悪問の選別は仲間と手分けして効率的に 様々な学力要素(知識や理解のみならず、21世紀型能力で言うところの「基礎力」や「思考力」を構成する能力群も含めて)をしっかり測定できる「良問」をどれだけストックできているかは、学習指導の効果を大きく分けます。それらを軸にした授業デザインは、新しい学力観の下での指導を可能にしますし、テスト問題として課せば、学力の向上過程を捉え、ここから何をどう学んでいくべ…

分業で行う出題研究のフィルタリング(その2)

出題の要求を知り、それを満たす活動を配列する 生徒が進路希望先として挙げる大学群の出題例を授業内外の課題とすることには、様々な効果(前稿を参照)が期待できますが、ただ持ち込むだけでは弊害の方が大きくなるリスクがあります。教室に持ち込む前に問題を十分に吟味し、その要求をしっかり把握し、それらを満たせるだけの授業をデザインしておかなければなりません。ときには、出題に加工を施すなどの対処が必要なこともあ…

分業で行う出題研究のフィルタリング(その1)

出題研究は授業作りの起点/土台を整える活動 出題研究は、授業デザインの土台作りです。教科書を使って教えている内容が、どのように問われ、どのように使う(=生きて働かせる)ことが求められるかを知ることは、教材の解釈に確固たる視点を持つ(学力観を更新する)上で欠かせませんし、「授業を通じて理解させたことを用いて解決する好適な問いや課題」を収集する場としても不可欠です。 2014/08/28 公開の記事を…