学習方策(用語説明)

「学習方策」とは、生徒が身につけている、学習を進めるうえで必要な行動と思考の様式の総体であり、学習者としての自立を図る上での基盤を形成するものです。調べる、考える、話し合う、振り返って改善する方法と姿勢の獲得が、あらゆる学びの営みを支えます。
学習方策は、説明を聞くだけで身につくものではありません。課題等に取り組み、試行錯誤を重ねる過程の中で、少しずつ獲得が進むもの。取り組みを振り返り、うまくいかなかった点を洗い出し、修正していく経験の積み重ねで、学び方そのものが育っていきます。
教科固有の知識や技能を学ばせる過程で、学び方という「汎用スキル」を獲得させているかどうかが問われます。学ぶ姿を観察して、以下のような行動や姿勢の発現や伸長が見て取れるかどうかで、学習方策の獲得がきちんと進んでいるか、点検することが肝要です。

  • 情報の収集と整理: 課題の解決に必要な情報を自分で探し、理解し、使える形に整理している。
  • 課題への取り組み: わからない点を見つけて解消しながら、考えを組み立てて課題の解決に取り組んでいる。
  • 学習の調整/改善: 学習の成果を振り返って整理し、次に取り組む課題や改善点を自分で見つけている。

学びのステージが進み、学習内容や取り組みタスクが高度化するにつれて、そこで必要とされる学習方策もより高度なものになります。それを見越して、計画的・段階的に、その獲得を図っていきましょう。

生徒は、社会に出た後も必要に応じて学び続ける必要があります。知識や技術の更新が加速する中、学校で習ったことを覚えているだけでは、変化に対応できません。「より良く生きる」ためには、必要な情報を集めて知に編み、自ら学び直していく力が不可欠です(24504230)。
学年が上がり、学びのステージが進むと、理解などに躓く要因も多様化します。学習履歴の中で身についているものが生徒ごとに異なるからです。そうした場面を迎える前に、不明を解消する術を学ばせておかないと、いたずらに学びを止めさせてしまうことになります(9458)。
生徒一人ひとりが、学びの方法を身につけていないと、事前に課題を示して教室での対話に備えさせようとしても、個々に成果を積み上げられず、「調べたこと、考えたことを持ち寄ることでの、気づきの交換(思考の深化と拡張)」も機能しなくなってしまいます(15440)。
何かにトライして上手くいかなかったときに、原因を突き止め、修正して再挑戦する姿勢と方法(メタ認知、適応的学習力)を獲得していない生徒は、そこで学びを終えてしまいます。未達成という結果だけが残る状態では、学びへの自己効力感も低下します(1481024359)。

1.課題解決の経験を通して、学び方そのものを身につけさせる

学習方策は課題解決を通して身につくで書いた通り、知識を説明して理解させるだけでは学習方策は育ちません。知識を活用して課題に取り組ませ、試行錯誤を重ねる経験の中で、情報収集や思考の組み立て、不明の解消といった学び方を獲得させる必要があります。生徒が自力で取り組む機会を確保することが重要です。

2.振り返りを通して学び方を更新させる(学習の改善)

生徒は「振り返り」を効果的に行えているかでは、課題に取り組んだ後の振り返りを通して「より良い学びへの課題形成」を図らせる必要性を伝えました。うまくいかなかった原因を分析し、次の取り組み方を考える過程を通して、学習方策は更新されていきます。振り返りは学びのプロセスを分解して考えさせる形で行うことが肝要です。

3.目的意識や学習方策の獲得が進んだら少しずつ負荷を大きく

学習方策や目的意識に応じた負荷をしっかり掛けるでは、学び方が身につき、学ぶことへの自分の理由を持っている生徒には、より高いハードルを課す(=適正負荷を掛ける)必要があるとしました。タスクの完遂が容易過ぎては、「できていることの追認」で学びが終わります。少し背伸びをさせて、課題形成の材料をしっかりと蓄積させましょう。

4.評価とデータを活用して学習方策の獲得状況を把握する

学びの初期値を計測~授業デザインと効果測定のためにでは、学習方策の獲得を、生徒の主観だけでなく、学習活動を観察することやデータを活用して、より精緻に把握することを提案しました。学びの初期値を測定し、学習活動の改善と結びつけることで、指導と評価を一体化させながら学び方の獲得を促していきます。

5.探究活動への取り組み方(探究の方策)も全教科で育てる

総合学習/探究活動における「知識の活用」では、探究活動の進め方を学ばせ、その方策に習熟させることの必要性を伝えました。扱う内容はテーマによって違っても、探究の各フェイズで行うことや、その背後にある考え方は共通です。各教科で実践する「探究的な学び」の中で学ばせたことを、総合的な探究の時間で、実践・活用させましょう。
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教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一