予習は、授業準備を通じて前回までの授業で学ばせたことを実地に練習させる機会です。せっかく学び方や取り組み方を学ばせたのに生徒自身に行わせず、いつまでも先生が肩代わりしているようでは、生徒はその方法に習熟する機会を得られません。
復習にも様々な目的がありますが、当然ながら、「忘れないように習ったことを繰り返す」ことだけがその目的ではありません。より広く視野を持ち、適切な指示と指導ができているか常に振り返りましょう。
予習・復習とも、「指導を通じてレディネスを整えて(=出来る状態にして)から生徒にタスクを与える」というのが鉄則です。
例えば、辞書の引き方を知らない生徒に「知らない語句を調べてくること」を求めては、きちんと調べられる状態にある生徒との授業準備に差が開くばかり。教室に持ち込む「学力差」を実際以上に拡大してしまいかねません。cf. クラス内で生じた学力・学欲差への対処法
授業で学んだことの理解を前提とした課題を与えるにしても、必要な知識、手順への習熟、参照手段の活用などが十分でなければ、「やろうと思ってもできない」はず。これらは、教室を出る前に確認しておく必要があります。cf. 課題解決の場を整えたら、挑ませる前に理解の確認
2015/04/20 に公開したシリーズを再アップデートしました。
新しい学力観にそった学ばせ方、予復習の方法へ
予習は、授業で学んだ方法を試して身につける場
予習に課すことができる様々なタスクと事前指導
教えた方法を正しく適用できたか、きちんと点検
指定した方法は学力や学欲の向上に寄与しているか
習ったことを忘れないようにするには反復+活用
授業を終えるときの振り返りが復習/再記銘の1回目
まとめ直しの作業を通じた知識の整理と理解の統合
学んだことを用いて解決する課題を与え、仕上げさせる
興味を起点に知の水平を広げ、探究で深めさせる
小テストだのみで予復習の履行率を上げようとしても…
出来ないからやってこない、という生徒側の事情
やりがいのあるタスク、頑張りを評価してもらえる機会
やらないと困る状況~チームへの貢献という要素
タスク管理のスキルを学ばせ、時間を有効に使わせる
課題にきちんと取り組めて達成感を得た生徒は次の学びへのモチベーションを高め、逆に、歯が立たなかった生徒は「できなかった」というネガティブな経験を積み重ね、学びから遠ざかる姿勢を強めます。
ちょっとした配慮の欠落が、クラス内の学力/学欲差を大きくしていくと同時に、授業準備の差を大きくすることで、生徒が互いの成果を持ち寄ることでの相互啓発も働きにくくなるはず。予習や復習等のタスクを与える/選ぶときには、こうしたリスクを忘れないようにしましょう。
■関連記事
- 宿題を課すときに(再考)
- その宿題、本当に必要ですか?(全3編)
- 荷物を増やしても、学びが膨らむとは限らない
- 学ばせ方の転換で、家庭学習の充実が求められる
- 宿題をやってこない生徒への対応
- 小テストをもっと効果的に(前・後編)
- 予習・復習、課題のあり方(ジャンル別記事インデックス)
教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一