高大接続改革に最初に挑む学年を迎え入れ、新しい学力観に沿った学ばせ方への転換が図られていますが、その次に控えるのは、本丸である新学習指導要領への移行です。
2022年から始まる高校の新課程に学校としてどう対応するかを明確に示すことは、生徒募集戦略上の重要な課題です。新課程初年度生がすでに小学校6年生になっていることを考えると、まだ丸3年以上も先のこととのんびり構えているわけにはいきません。
中高一貫校を選ぶか、公立中学で3年を過ごして高校受験で勝負するかを考えている将来の受験生に、学校がどのような教育の実現を目指し、新課程にどう対応するかを示せるかどうかが問われています。
この局面で表明した意思は、現小6が高校を卒業する7年後まで有効な約束です。しっかりしたグランドデザインを描き、長期的戦略のもとで新課程の下での学校づくりを進めていかなければなりません。
本シリーズの記事が、本年度をスタートとする「選ばれる学校であり続けるための広報戦略」を考えてみるきっかけになれば幸いです。
グランドデザインが必要な理由
個々のメッセージを結び付けわかりやすくする
話を見聞きした人が第三者に伝えられるシンプルさ
建学の精神、校訓に現代的な定義を与え直す好機
生徒募集を通じて入学前の生徒と交わした約束の有効期限
開校から積み上げてきたものの先に何を描くか
先行させた取り組みの効果検証&ブラッシュアップ
新たな取組の効果を測定する準備はできているか
新たな教育活動を採り入れる前の状態を把握
効果を確かめ、改善課題の形成と優良実践の抽出へ
意欲的な取り組みこそ、効果をデータで示すべき
目新しい取組を並べるだけでは広報にならない
日々の教育活動を通じた生徒の成長を効果的に提示
教員の資質向上への取り組みも伝えるべき
学校の教育姿勢に共感する生徒が作るコミュニティ
多様な教育活動はときに”ノイズ”としてふるまう
個々の教育機会が目指すものの位置づけを見直す
獲得を目指す能力・資質と教育活動の関連をマトリクスで
教育活動の効果測定を学校方法に利用する
ノイズになりえるものは”見せない”という広報戦略
広報とは、認知と理解を経て共感を得るための活動
最初のハードルを越えるには、第三者を介したアプローチ
シンプルで価値ある情報を1枚にまとめてプレゼン
トップページからグランドデザインに直行できるか
ライバル校と協働で発信するメッセージ
不出願者の回答にこそ「選ばれなかった理由」がある
説明会来訪者と入学決定者の回答データの差分から
メッセージが心をつかんだか確かめる
来訪者のニーズをその場でつかむアンケート
寄せられた声に答え、次のメッセージを編む
■ 本シリーズの中でご紹介した関連記事:
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教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一