週末に大学入学共通テストの試行調査(プレテスト)が行われました。新聞などで報道が出ていますが、出題内容や記述問題の採点基準は、早めに目を通しておきたいところです。求められる学力観の変化を捉えて教室での学ばせ方の転換を図るのに早すぎるということはありません。
大学入学共通テスト平成30年度試行調査_問題、正解等
私自身、まだ一部の問題しか解き終えていませんが、膨大なテクストを素早く読み取り、情報を集約する力が強く求められていることに変わりはないようです。
朝日新聞11/10朝刊の記事で紹介されていた、
- 資料を読み取る力があり、状況把握ができれば解ける
- 問われたのは国語力だと思った。普通の政治・経済だったら、知識でこれは違うなとすぐわかるけど、それだけでは解けない
という受験生の感想はまさに当たっていると思いました。
また、読解力は問題の本文や資料を読むとき以外にも、かなりのものが求められそうです。設問条件がきちんと読めるか、採点基準を理解して正しく適用できるかも、これまでにない水準で求められることを、今のうちから生徒にも覚悟させておいたほうが良いかもしれません。
大学入試センターがせっかく用意してくれた動画がありますので、一度見せておいても良いかもしれません。
記述式問題における解答結果の確認手順の説明動画
今朝の6時の段階では、視聴回数はまだ6,567に過ぎず、あまり利用されていませんね。勿体ない気がします。
以下は、国語の第1問 問3の設問文を転載したものです。生徒によっては設問の指示そのものを理解できない可能性もありそうです。
「ヒトの指差し」と指示語についても考えたまことさんは、次の【資料】を見つけ、傍線部「指さされたものが、話し手が示したいものと同一視できないケース」があることを知った。まことさんは、「話し手が地図上の地点を指さす」行為もこのケースに当てはまることに気付き、【文章Ⅰ】と【文章Ⅱ】に記された「指差し」の特徴から、なぜ「同一視できないケース」でも「話し手が示したいもの」を理解できるのかについての考えをまとめることにした。まことさんは、どのようにまとめたと考えられるか。後の…を満たすように書け。
資料省略
二つの文に分けて、全体を八十字以上、百二十字以内で書くこと(句読点を含む)。
一文目は、「話し手が地図上の地点を指さす」行為が「指さされたものが、話し手が示したいものと同一視できないケース」であることを、【資料】に示されたメニューの例に当てはめて書くこと。
二文目は、聞き手が「話し手が示したいもの」を理解できる理由について書くこと。ただし、話し手と聞き手が地図の読み方について共通の理解をもっているという前提は書かなくてよい。
二文目は、「それが理解できるのは」で書き始め、「からである。」という文末で結ぶこと。
普段から、課題の指示や手順の説明が書かれたものを自力で読ませておかないと、鉛筆をもって下書きに入る前で躓いてしまいそうですね。
一方、以下は、国語の正解等に掲載されている正解条件と「総合評価」を算出するための表に解説のために例をつけたものです。ささっと読んで理解するのは、生徒にとって低くないハードルだと思います。
この基準や換算表に照らして正しく自己採点ができなことには、出願校選定を誤る可能性もありますし、何よりも、普段の勉強でも自分の答案を正しく評価できない以上、表現力を高める努力の方向性も得られなくなってしまいます。
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