2学期が始まって半月です。学校行事が一巡すると、次年度の履修科目選択を控えた2年、進路希望の実現に頑張る3年生を始め、様々な生徒との面談の場が待っていることかと思います。
面談指導が成功するかどうかは、落ち着いて面談に臨める時期や環境、先生と生徒との間に構築された信頼関係など、挙げればキリがない様々な要因に左右されますが、面談の本番に臨むに当たり少なくとも、
- その面談を経てどんな状態に生徒を到達させたいか明確にイメージできていること
- その到達状態に照らして、生徒が今どんな位置にいるのか判断できるだけの材料を事前に揃えておくこと
という2つの要件は満たしておく必要があります。同時に生徒にも自身の現状と課題を改めて認識させておきたいところです。
こうした準備なしに面談に臨んでも、状況を何となく掴んだところで時間切れになることもしばしばです。突っ込んだ話ができず、差し伸べられるはずの手が出せなかったとしたら後で悔やまれてなりません。
また、面談を終えた後の「気づきの整理」「課題の具体化と実行計画への落とし込み」にもきちんと取り組ませる必要があります。
先生方の側でも、面談を経た生徒の成長(=行動や考えの変化)の様子をきちんと把握し、効果を測定した上で、次の機会に向けた面談スキルの向上/指導法の確立を目指した活動への展開が求められます。
2015/10/02 に公開したINDEXとシリーズの記事全編を更新しました。
#01 事前準備と面談前指導
対話を通じて図る、相互理解と課題形成
面談を通じてどんな状態を目指すのか~目標の確認
生活・学習・進路の3観点での記述する段階的到達目標
個々の課題は様々な立場での観察を集約して把握
面談前の指導で、生徒の内省を深めさせておく
数か月先まで見渡して日々の生活を送れているか
#02 気づきを整理し記録させる
持ち越す課題を洗い出し、生徒自身に整理させる
面談記録は生徒自身に起草させてみる
面談前に記入させた調査票に加筆させ、変化を把握
振り返りを経た面談記録の蓄積がポートフォリオに
面談記録の起草が、冷静になって考える時間を作る
#03 事前アンケートで状況把握
進路意識は段階を踏んで形成されてきているか
各フェイズの重点目標の達成度を自省させる質問文
アンケートの質問設計はグランドデザインに添って
母集団の回答分布に照らして個人の課題を特定
様々な資料を併用して総合的に状況を把握する
#04 面談スキル向上への協働
効果測定をきっちり行い、好適実践の把握を
指導の前後での変化量から効果を推定する
進路指導計画を見直したときは特に重点的に
集計方法の工夫に加えて、面談票やアンケートの更新も
解析結果に基づき不要な項目を除外することから
進路指導の目的のひとつは選択の力を養うこと
生徒自身が考えるところを言葉にさせることに注力
その場で結論を出さずに、気づきを整理させてから
正解を示さなければいけないという発想から離れる
自分で選んだことだからこそ、結果に向き合える
生徒の不安には、理解と共感をしても一緒に流されない
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- 先生方との相談で、周囲からの刺激を上手に消化
教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一