板書の技術(その3)
授業展開の各場面での板書とそこで学ばせるもの 前々稿、前稿と、深く確かな学びに板書が欠かせない理由や、適切な板書がもたらしてくれる副次的な効果について考えてきましたが、今回は導入、展開、演習、まとめ、振り返りという授業展開の各フェイズにおける板書の有効な活用について考えてみようと思います。板書だけ整えても授業が成立するわけではありませんが、上手に使うと中々の効果があるのが板書だと、起草しながら改め…

当オフィスは、各地の学校で授業力向上や教育改善・学校改革のお手伝いをしています。
授業展開の各場面での板書とそこで学ばせるもの 前々稿、前稿と、深く確かな学びに板書が欠かせない理由や、適切な板書がもたらしてくれる副次的な効果について考えてきましたが、今回は導入、展開、演習、まとめ、振り返りという授業展開の各フェイズにおける板書の有効な活用について考えてみようと思います。板書だけ整えても授業が成立するわけではありませんが、上手に使うと中々の効果があるのが板書だと、起草しながら改め…
伝えるべきものを効率的に確実に伝えるために 知識や理解を形成することは考えるための道具を揃えることであり、それらを用いる「思考や判断」「課題の形成と解決」の土台を作ることに外ならず、決してないがしろにはできません。しかしながら、学習内容を学びながら様々な能力や資質を獲得するための学習活動にもしっかり取り組ませようとすれば、教えること(知識の伝達)に当てられる時間は自ずと減少しますので、より効率的な…
臨時休校や分散登校が続くで、ICTの利用が一気に進んだように見受けられます。校内のWi-Fiも整備が加速しそうですので、利用環境は今後ますます改善していくものと思われます。タブレットやスマホを使って小テストやアンケート、意見集約などを行う機会も増えています。ICTを用いた小テストは回答した瞬間に採点が完了し結果を表示できるため生徒の理解度がリアルタイムで把握できます。賛否が分かれる問題で生徒の意見…
大切な事柄をしっかり伝え、きちんと覚えてもらおうと、日々の教室の中では様々な強調の方法が工夫されていますが、方法を誤ると、狙った効果が得られなくなるのみならず、ポイントを埋もれさせたり、知識を断片化させたりと望まない効果(副作用)を招きかねません。 方法が正しいかどうかは、目的との整合性、つまり目的の実現にどれだけ効果的に寄与できるかです。 強調することの目的を、意識をきちんと向けさせ、強い印象と…
シリーズの最後にあたり、伝達技術としての強調のコツについて考えてみます。既にご理解いただけている通り、プレゼンテーションの技術を駆使するだけでは「生徒の認識から漏れることなく強く印象を刻む」という本来の目的を果たし得ないものになりかねません。それぞれの技術を使う上でのポイントを抑え、効果的に利用したいところです。 2014/10/21 公開の記事を再アップデートしました。 ❏ 大事なところほど、ゆ…
強調の目的が「目立たせることで、意識や記憶からこぼれることを防ぐこと」であるとすれば、教科書・プリントの重要ポイントにマーカーを塗らせることや、確認テストを行って覚える機会を増やすことも、広義には「強調の一種」ということになります。いずれも広く使われている方法で、生徒も小学校以来の習慣の一つとして自然に受け入れていますが、使い方を間違えると強調の効果が薄まるばかりか、知識の断片化を加速させてしまう…
強調は、印象と記憶を刻み込むために行う行為です。重要度に応じたエネルギーを学習者に使わせているか、常に意識して点検しておく必要がありそうです。公式っぽく書き出してみると、こんな感じでしょうか。 学習項目ごとの重要度∽生徒に投じさせるエネルギー 反復という手段を用いた強調(印象強化/記憶への刻み込み)の方法について、日々の授業の中で試せることを考えてみたいと思います。 2014/10/17 公開の記…
教室に限らず、何かを伝えようとしているとき、ポイントとなる部分に焦点を当てるための強調を、発信者/授業者は意図的にあるいは無意識のうちに行っているものです。しかしながら、意図や方法を誤った強調が、却って生徒を退屈させ、わかりにくさの原因になっていることもあります。何のために強調するのか、何に焦点を当てるべきか、どのような方法が最適なのか、いちど立ち止まって考えてみる必要がありそうです。 2014/…
教科・科目を教育課程表に最適配置するだけでは、残念ながらカリキュラムを作ったことになりません。カリキュラムとは、各教科の内容を学習しつつ、様々な能力・資質を獲得させるという目的を達成するために作るものであり、その目標達成のために設計、実行、検証、修正を重ねる循環的・継続的な活動をカリキュラム・マネジメントと呼びます。新課程の土台となったのは「21世紀型能力」という新しい学力観です。これを改めて理解…
各教科の内容をしっかり学習させつつ、21世紀型能力を構成する様々な能力・資質を獲得させるべく練り上げられたせっかくのカリキュラムも必要な科目を必要な生徒が正しく選択して履修してくれないことには、本来備えている性能を十分に発揮できません。嫌いな科目を避けたり、受験情報誌などが示すモデルパターンを鵜呑みにしたりの履修科目選択では、いざ出願校を選ぶときになって落とし穴に入り込んでいることに気づいたり、進…
学習評価は多様なツールを組み合わせて多面的・総合的に行わなければなりませんが、そこで用いる様々なツールの内、授業評価アンケートが測定を担うのは、「学習の主体である生徒の認識」についてです。とりわけ、確実に把握しておきたいのは「授業を受けて、学力の向上や自分の進歩を実感できているか」です。この質問にYESと答えた生徒は、その科目を学ぶことへの自己効力感を保ち、興味関心膨らませることがデータで明らかに…
学校に限らず組織経営にはスピード感が大事だと言われますが、矢継ぎ早に手立てを講じながら、その一つひとつの実行が疎かになっては何にもなりません。スピードと着実性を両立させる必要があります。対策の打ち出しだけはスピード感があるのに、肝心の実行フェイズでブレーキが掛かり、頓挫しては何にもなりません。 新型コロナの感染拡大が始まってから状況が刻々と変化する中で、各校はそれぞれの対策を講じていますが、多くの…
新型コロナが教育現場を取り巻く環境にもたらした様々な変化に、生徒や保護者は大きな不安を抱えています。緊急事態宣言が解除され、一時の切迫した状態は脱したかのように思われますが、今後も状況は刻々と変化するでしょうし、そのたびに新たな不安が生まれます。 その不安に対して、自分が/我が子が通う学校がどんな答え/解決策を提示してくれるか、生徒と保護者は強い関心と期待を向けています。 ❏ 学校が導いた解をタイ…
臨時休校が終わり、学校が再開されました。新しい生活様式への転換が求められる中、昨年度末に描いていた2020年の学校像にも大きな変更が余儀なくされたと思いますが、そんな状況だからこそ、改めて「様々な制限がある中でどんな学校を目指すのか」「どうやって新しい学力観での学びを実現していくか」を示す必要があると考えます。校内外のステークホルダーも多くの不安を抱えています。この先にある新たな学校像/目指すべき…