月: 2025年3月

板書の技術、教具の使い方

1 板書の技術 1.0 板書の技術(序)1.1 (その1)深く確かな学びの実現に適切な板書は不可欠1.2 (その2)伝えるべきものを効率的に確実に伝えるために1.3 (その3)授業展開の各場面での板書とそこで学ばせるもの1.4 (その4)板書を辿り直して、学びの振り返り1.5 (その5)生徒のノートに残ったときをイメージして1.6 (その6)板書を補完するツールとしてのプリント1.7 (その7)生…

進路希望の具体化と実現へ

1 選択の機会ひとつひとつに備えさせる 1.1 大きな分岐に臨ませるまでに行うべき指導 ★ Updated!1.2 先に控える選択の機会をいつ認識させるか1.3 進路の手引きは冊子よりもファイリング形式で ★1.4 準備が整わないうちに選択を迫っていないか Updated! 2 進路希望の実現をあきらめさせない 2.1 どこまで伸びるか見立てる2.2 第一志望をあきらめさせない指導2.3 受験期は…

学級経営、生徒意識の把握

1 互いの学びを支え合う集団を作る 1.1 教科学習指導の土台はホームルーム経営 ★1.2 ホームルームの年間実施計画 ★ Updated!1.3 互恵意識で結ぶ学びのコミュニティ1.4 グループワークで作る学びへの積極姿勢1.5 生徒が互いの頑張りを支え合う集団作り1.6 進路意識の高揚を目的とした講演会の企画1.7 多様な生徒で構成する学びのコミュニティ ★ 2 環境整備、係の仕事、トッカツへ…

学校評価、学校広報

1 学校評価アンケートをどう活用するか 1.0 学校評価アンケートをどう活用するか(序)1.1 意図は伝わっているか、成果はあがっているか1.2 より良く知ってもらい理解と共感を得るために1.3 効果を確かめ、教育リソースの最適配分を実現する1.4 学校改革・教育改善を進めるときの羅針盤として1.5 教育目標や指導方針をちゃんと伝える ★1.6 学校評価結果の十分な活用のための実施スケジュール ★…

大人数授業での質問対応の工夫[大学編]

中高と違い、大学では比較的大人数で行う授業が(昔ほどではないとしても)少なくありません。学生が多ければ、一人ひとりの疑問や「わからないこと」に丁寧に向き合うのは自ずと難しくなりますが、そうした疑問やつまずきを察知できなければ、学びは確かなものになりません。学生が言語化した疑問は、その先の学びを押し広げる入り口です。口頭での発言以外にも質問フォームへの投稿などの形も取れます。しっかりとその場を作り、…

教育のデジタル化~しっかり考え、正しくかじ取り

先日、新聞である記事を読みました。​内容は、デジタル導入の教育先進国で成績低下や心身の不調が顕在化しているというもの。フィンランドでは紙の教科書復活を「歓迎」する動きがあるとのことです。デジタル教科書の普及が進む中、これまで難しかったこと(例えば学びの個別最適化など)にも可能性が広がっていますが、「使えて便利」と飛びつくだけでは、気づかないところに歪みを作るリスクもあります。教育的な目的(=どんな…

成果より、プロセスに焦点を~探究活動の評価

高校生の探究活動で評価の対象とすべきは、所謂「成果」(論文やポスター、口頭発表といった最終的なアウトプット)ではなく、「探究のプロセスをきちんと体験したか、そこから十分な学びを得たか(=所期の能力・資質を育めたか)」に焦点を当てて行うべきだと考えます。 今のところ、このような視点で「総合的な探究の時間」における評価を設計している学校は多くありません。評価は学びの方向を修正し、目標達成をより確実にす…

探究活動、課題研究

1 横断的・体験的な調べ学習の先にある探究活動 1.1 調べたことの先に~新たな知と当事者としての関わり ・資料を与えて読ませる/探させる、そしてその先に ・探究活動の課題~調べ学習との境界と進路への接点1.2 探究活動の目的から考えるテーマ選び ★ Updated! ・探究テーマに偏りは生じていないか ・知りたいから始める探究テーマ選び1.3 中学での経験を踏まえて考える「高校での探究活動」 2…

探究活動や課題研究と成果発表会(まとめと追記)

課題研究や探究活動の成果発表会は、生徒一人ひとりが取り組んできたことを互いに知り、相互に新たな刺激を得る「相互啓発」の機会としてとても大切だと思います。先輩たちの発表を見た後輩学年も大いに刺激を受け、自分たちも頑張ろうとの思いを持ってくれるはず。こうして受け継がれていく成果と刺激が、やがては学校に「文化」になります。さて、その成果発表会ですが、押さえるべきところをきちんと押さえないと、形だけのもの…

メルマガが正しく届かない場合

いつも当ブログをご愛読いただき、ありがとうございます。現在、一部のメールサービス(ドコモメールなど)で、当オフィスからのメルマガが正しく受信できない事象が発生しています。 メールの「なりすまし対策認証(送信ドメイン認証)」が厳格化されたことの影響によるものです。現在、当メルマガの配信サーバー側の対応を進めております。しばらくの間、ご不便をおかけいたしますが、何卒ご理解のほどよろしくお願いいたします…

探究活動の目的から考えるテーマ選び

探究活動の目的は、未解決の課題を見つけ、その解決に挑むことで「新たな知を創造する方法と姿勢」を身につけることにあります。さらに、それらの課題に自分はどう向き合い、関わっていくのかを考える機会であり、その中で生徒は、21世紀型能力の「実践力」を養い、とりわけ「持続可能な未来への責任」という資質を獲得します。教育の主目的は「社会に適応させるための訓練」から「社会の課題に取り組み、より良い社会を創る人材…

探究活動の改善を図る「評価と振り返り」

探究活動の成果発表会は、生徒にとって貴重な学びの場です。他の生徒が重ねた努力の成果に触れて自らの取り組みを相対化してみることは適格な振り返りへの第一歩。多くの時間をかけた学びの成果をより深く、確かなものにできるかどうかを分ける重大な局面です。 代表者による発表に触れて、その良い所を理由とともに明確に掴めてこそ、同学年の生徒は自分の取り組みの成果と過程を振り返る際の「彼我の違い」に気づき、後輩学年は…

探究活動と進路指導でポートフォリオに残すログ

自らの学び(成果と過程)を振り返り、成長や進捗を確認しつつ、次に向けた課題を明確にすること(所謂「進捗と改善課題を捉えた学び」の実現)の重要性には、これまでも様々な記事で触れてきました。 教科学習の中では「主体的に学ぶ姿勢を育む」ために欠かせませんが、探究活動や進路意識を形成する学びの中でも重要な指導の一部です。それぞれの指導場面で、「ポートフォリオに残されたログをどう活用するのか、そのためにどん…

探究のプロセスを経た「問いの深化」

探究活動の評価では、成果物(論文やポスター、口頭発表など)の完成度や新規性に焦点が置きがちですが、探究のプロセスを経て、どんな能力や資質、スキルを獲得したかにもモノサシをきちんと当てましょう。きちんとプロセスを踏んだ探究活動なら、最初に立てた問いは、調べたり、考えたり、フィードバックを受けたりする中で、新たな様相を得てバージョンアップしていくはず。探究の過程が進む中で問いがどれだけ深化したかを見て…

授業評価の結果をより良い学びに活かす~大学編

大学で実施される授業評価アンケートは、学生の学びの質を向上させるための重要な手段の一つです。しかし、アンケート結果が単に公表されるだけで、授業改善に繋がっていないケースも少なくないようです。授業評価が意味を持ち得るのは、単なる数値の比較に終わらず、教育の質向上に繋がってこそ。本稿では、評価結果が適切に活用されない理由から、その解釈や授業改善に向けて踏むべき手順まで考えてみます。 ❏ 授業評価が活か…

進路意識形成を支える指導

1 興味を追いかけ、しなやかに選択を重ねる 1.1 キャリアは選ぶものではなく重ねるもの ★ ・最短の進路がベストにあらず1.2 進路を選択する中での「自分を知る」をどう考えるか ★1.3 自分事としての目標か~達成への行動を考える前に New!1.4 調べたことの先に~新たな知と当事者としての関わり1.5 カッコつきの“キャリア教育の充実!”に思うところ1.6 ゴールを決めて最短距離?(全3編)…

モチベーション理論を授業にどう活かす?

たまたまですが、去年あたりから、学習意欲の向上を図るのに有効な指導法はないかといったご相談を受けることが続きました。改めて問われると不勉強を自覚せざるを得ず、もう一度勉強を始めたところです。あくまでも「勉強の途上における、自分向けのメモ程度のもの」として、温かい目でお付き合いをいただければ幸甚に存じます。 ❏ まずは、広く知られた「モチベーション理論」を概観 代表的な「モチベーション理論」と言えば…

教科学習指導の土台はホームルーム経営

授業評価における「この授業を受けて学力の向上や自分の進歩を実感するか」という質問には、全生徒にYESで答えてもらいたいものです。授業評価の結果は、教科担当の先生方の指導技術(伝達スキルと授業デザイン)に大きく左右されます。しかし、それだけではありません。ホームルームが「生徒が互いに刺激し、共に成長できる、学びにふさわしいコミュニティ」になっているかどうかも、大きな影響を与えます。本稿では、データの…

アンケートの結果に照らしながら、指導の改善を図る

生徒が経験してきた学習活動/学習履歴は、個人でも集団でも、それぞれ異なります。学習履歴の違いは説明や指示の受け止め方などにも違いを生むため、同じ指導を行っても、各々の反応が異なるのは当然です。どんな反応が返ってくるのか予想しきれない以上、生徒の反応を、精緻な観察とアンケートの結果なども参考にしっかり捉えながら、指導計画の修正を重ねなければ、学びを意図した方向に導くことはできません。 2014/10…

メッセージは意図通りに伝わっているか

指導の中で大切なことを伝えたのに、思うような反応や言動が見て取れず、本当に伝わったのか不安になることはないでしょうか。なぜそれが大切なのか理由まで掘り下げて説明したのに、ピンときていない様子を見ると、もどかしく感じますが、手をこまねくわけにはいきません。まずは、伝えた内容を生徒がどう受け止めているかを確かめましょう。方法には「生徒に考えていることを言語化させる」「指導後の生徒の言動に、期待した変化…