月: 2023年4月

研究授業の実りをより大きくするために#INDEX

より良い授業の実現を目指して、参加する先生方の気づきと智恵を交換する場が研究授業です。実施には小さからぬエネルギーが必要ですが、他には代えがたい、先生方にとって貴重な学びの機会です。コストに見合った成果が得られるかどうかは、ファシリテーターを含む参加メンバーの構成に加えて、実施の方法によるところも大です。このシリーズでは、以下の6フェイズで構成する実施手順を提案します。 2017/10/30 公開…

研究授業の実りをより大きくするために(その3)

明確なテーマに沿った研究で継続的に成果を積む 授業を参観し、協議を通じて「より良い授業」を実現するための気づきを交換したり、学習効果をより大きくする方法を考えたりすることで、研究授業は所期の成果をおさめたことになりますが、毎回、これを繰り返しているだけでは発展的、継続的な取り組みにはなりません。そもそも「研究授業」というからには、何らかのテーマにそって研究を進める場として位置づけを明確にする必要が…

研究授業の実りをより大きくするために(その2)

グループの成果をシェアして改善への仮説作り 前稿「参観メモをもとに小グループで気づきの交換」で紹介したような手順を、授業公開後の研究協議の冒頭で踏んでおけば、授業者の工夫や共有すべき優れた手法、改善すべき箇所とその修正案などの多くは、各グループの中で、既にかなりのところまで抽出されているはずです。次のステップはグループごとに取りまとめた「気づき」を発表してもらい、知見の共有を参加者全員まで広げてい…

研究授業の実りをより大きくするために(その1)

参観メモをもとに小グループで気づきの交換 授業改善を目的とする取組のひとつに研究授業があります。複数の先生が同じ授業を参観した後で研究協議に臨むという枠組みは同じですが、後半の研究協議のやり方次第では、より良い授業の実践に向けて得られる知見(=研究授業の成果)の質と量に大きな違いが生じます。 2017/10/25 公開の記事をアップデートしました。 ❏ 効果の上がる研究授業、形だけで終わる研究授業…

授業観察を行うときに押さえるべきところ

管理職の先生方が「授業観察」を行うときや、教育実習生の授業を指導役の先生が観るときには、押さえておきたいポイントが多々あります。さらには観察で実際の教室に足を運ぶ前にも、観察者と授業者との間で行っておくべきことがあり、参観を終えた後も同様です。どこに観点を置いて授業を観るかに加えて、参観結果をどのように授業者にフィードバックするかは、授業を観察する先生方それぞれの経験則に頼りがちかと思います。授業…

選ばれなかった理由を探り、次のメッセージを編む

学校広報を通じてステークホルダーとの良好な関係を築くには、発信を充実させるだけでは不十分であり、双方向のコミュニケーションに注力して相互理解を深める必要があります。発信と同等の力を「相手の声に耳を傾け、それに応える姿勢と行動を示すこと」に注ぎましょう。ここでいう双方向コミュニケーションには入学相談会などでの個別面談も含まれますが、アンケートなどを通じて「潜在志願者」や「説明会来訪者」といった集団の…

学校説明会での来訪者アンケート

学校説明会など次年度の生徒募集を見据えたイベントでは、学校が考える「望まれる学校/選ばれる学校」のイメージをもとに、これまでの取り組みに加え、今後の教育、学校づくりの方針が示されるわけですが、それが来訪者の心にどこまで届いたかしっかり確かめたいところです。どれほど素晴らしい価値を打ち出したとしても、それが、受験生やその保護者、地域(小中学校の先生や塾関係者も含む)が求めるものとズレていては、狙って…

学校評価アンケートをどう活用するか #INDEX

学校評価アンケートを行う第一の目的は、「自校が展開してきた教育活動にステークホルダーの理解と共感、支持が得られているかどうか確かめ、さらなる改善に向けた課題形成を図り、その効果を検証すること」にありますが、これに加えて以下のような重要な目的も併せ持ちます。 こうした機能を十分に発揮させるには、質問設計から実施を経て、データ分析とその結果の共有まで、各フェイズで押えておくべきポイントがあります。これ…

学校評価アンケートをどう活用するか(その4)

【データを使ってゴールの共有&目線合わせ】 学校に向けられた期待がどこに向いているかは、ステークホルダーの声に耳を傾けてみる以外に知るすべがありません。生徒、保護者、地域などの意見を効率よく、広く募れるのは「学校評価アンケート」です。 学校が目指すところにすべてのステークホルダーの理解と共感が得られているか、しっかりと耳を傾ける年に一度の貴重な機会です。回答率も高く保たなければ、漏れる意見が増える…

学校評価アンケートをどう活用するか(その3)

【効果を確かめ、教育リソースを最適配分】 各地の学校で教育活動の充実が進められ、特色ある教育活動も実に様々なものが見られるようになりました。目を見張るばかりです。その一方で、以前から行われていたことも効果を確かめることもないまま、慣習的に続けられ、新しい取り組みが加わるごとに教育活動が肥大化、複雑化の一途を辿っているケースも少なくないように見受けられます。やることを追加していくだけでは、限りある教…

学校評価アンケートをどう活用するか(その2)

【より良く知ってもらい、理解と共感を得るために】 学校評価に限りませんが、アンケートには、質問に答えてもらうことで回答者の認識を刺激し、深く考えてもらうという機能があります。これを利用して「学校の取り組みに対するステークホルダーの認知と理解を高める」のも学校評価アンケートの重要な目的の一つです。多大なエネルギーと、時に多額の予算を投じた取り組み/教育活動であっても、知ってほしい相手にきちんと伝わっ…

学校評価アンケートをどう活用するか(その1)

【意図は伝わっているか、成果はあがっているか】 学校評価アンケートは、生徒、保護者、教職員、地域といったステークホルダーから教育活動への理解と共感/支持が得られているかどうかを確かめるためのものであり、その機能をほかで代替するのは困難です。個々の教育活動の成果を検証する方法はそれぞれですが、「学校が取り組んでいることが正しく理解され、共感を得ているかどうか」は相手に訊いてみなければわかりません。ど…

良い学校とは?~誰かに直接訊いても答えは出ない

より良い学校、より良い教育活動の実現を目指して工夫と努力を弛まず積み重ねていく中で、「良い学校とは何を指すのか、どんなものか」をときどき/どこかで立ち止まって考えてみても良いと思います。時代が変わり、学校に求められる役割、向けられる期待も色々なところで変わってきています。以前のままの価値観や「校是」で走り続けていると、「学校に求められているもの」と「学校が目指しているもの」の間に気づかぬズレが生じ…

学校評価アンケートの質問設計

多くの学校で実施されている学校評価アンケート。集計の結果から教育活動の成果を捉え、さらなる改善に向けた課題形成を行うことが第一義ですが、ほかにも回答を求めることで学校の取り組みを知ってもらうことや、立場の違いによる捉え方の違いから校内の目線合わせを図ることなど、様々な狙いが併存します。コストと手間をかけて行う学校評価を、より実りあるものにする最大のポイントは質問設計にあります。学校の教育目標や重点…

属性情報を取得することで(学校評価アンケート)

学校評価アンケートを行うとき、回答者の属性情報を取得しておけば、様々な解析が行え、教育改善に向けた課題形成の幅が広がります。例えば、生徒なら、進路希望や所属している部活、各行事への参加状況などで、回答の分布が違うこともしばしば。全体では顕著な特徴がなくても、属性でのクロス集計などで見えてくることも多々あります。常にアップデートされているデータがほかにあって、アンケートの回答データとIDで関連付けら…

相手に合わせて質問もアレンジ(学校評価アンケート)

昨日に引き続き、学校評価アンケートにおける質問文のお話です。学校評価アンケートでは、生徒、保護者、教職員の三者評価や、地域を加えて四者評価とするケースが多いようですが、同じ項目について尋ねる場合でも、回答者の認識のあり方やその及ぶ範囲をきちんと踏まえた質問を起こすことが大切です。 2016/10/19 公開の記事をアップデートしました。 ❏ 例えば、勉強と部活動の両立について尋ねるとき 部活と勉強…

同じことを尋ねたつもりでも…(学校評価アンケート)

学校評価に限りませんが、アンケートの質問文を考えるときに大切なことは、「尋ねる側が意図するところ」を回答者が正しく(=歪みなく)イメージしてくれるかどうかです。同じことを尋ねたつもりでも、文言のちょっとした違いから回答の分布がまったく違ってしまいます。 2016/10/18 公開の記事を再アップデートしました。 ❏ 自分のことについて?クラス全体のこと? 例えば、生徒に自分のことやHRの様子を答え…

探究テーマに偏りは生じていないか

探究活動の成果発表会などを参観する際に、各生徒の「探究テーマ」が学年全体でどのように分布しているかに注目してみると、各校の指導の様子も垣間見えるように感じます。探究活動の指導における目標の一つは、探究のスキルと姿勢を学ばせることですが、生徒が「適切なテーマを、適切な手順を踏んで選び出す/打ち立てる(=問題を見つけ出す)ことができる」ようになってこそ、「社会参画力」や「持続可能な未来への責任」の涵養…