いよいよ受験期本番が間近に迫りました。ここから先、生徒一人ひとりの状況を把握しつつ、その頑張りを支えるため、指導にはきめ細かな配慮が必要になりますし、出願をはじめとする重大な選択も続きます。
この最終局面での指導に明確な見通しと戦略をもち、しっかり準備して臨めるかどうかは、生徒の未来に小さからぬ影響を及ぼすはずです。
冬休みに入れば、先生方の間での情報交換や目線合わせの機会は持てなくなります。年末の忙しい中ですが、ここで一度立ち止まり、年明けからの指導に見通しを立てておく必要があるのではないでしょうか。
休業期間中は、生徒にも目が届きにくくなります。不安で立ち止まってしまいそうな生徒はいないでしょうか。気がかりな生徒を中心に様子を観察し、話を聞いて、冬休みから共通テストまでをどう過ごすか改めて確認しておくべきかもしれません。
既に総合型選抜、学校推薦型選抜で進路が決まった生徒もいると思いますが、そうした生徒たちにも「のびのび」と年末年始からの3カ月を過ごさせるのと、4月からの自分を想像させて必要な準備に貴重な時間を有効に使わせるのとでは、未来の絵図も違ったものになるはずです。
2019/01/15 公開のシリーズをアップデートしました。
情報の所在を知り、資料の使い方に習熟する
問題の切り分け方と指導方針をケーススタディで
目的とするところ/指導方針の共有
様々な立場からの見立ても参考に個々の指導を最適化
大学入学共通テストが終わるといよいよ出願指導です。自己採点結果が揃ってからの指導計画は万全でしょうか。どれほど綿密に練った計画も実施に移すと意図通りに進まないこともあります。その主な原因は、実際に指導に当たる担当者のスキルや知識が追い付かなかったり、個々の生徒の置かれた状況が事前の想定と異なったりすることです。
選択肢を広く知り、十分に吟味してきたか
浪人して捲土重来を期すという選択肢でも
自分の気持ちと置かれた状況をきちんと把握
今年の反省を次の学年団にしっかり伝える
進路希望の実現に向かう最終フェイズで、生徒一人ひとりが最後まで第一志望を貫徹できれば何よりですが、大学入学共通テストの結果などでセカンド・ベストへの切り替えを検討しなければならないケースもあります。出願指導では「進学先を確保してあげたい」と「初志を貫徹させたい」の狭間で先生方も判断に迷うことが多いのではないでしょうか。
独学では得られないものを手に入れるため
学ぶための環境と、ともに学ぶ仲間
興味を深堀するだけでは、広がりがない
学びのコミュニティに自分はどんな貢献ができるか
進路が決まった生徒に課す、最後の宿題
師走を迎え、総合型選抜、学校推薦型選抜で受験した生徒の合格の知らせが届いていることかと。生徒が進路希望を叶えて進路を決めたのは喜ばしいことですが、「大学に進んで学ぶ理由」を改めて考えさせてみる必要はないでしょうか。お膳立てを整えてもらう学びを抜け出し、学びのコミュニティに当事者として参画する自らの姿を想像させましょう。
学業不振や学業への無関心が中途退学の主因
大学側の対策に加え、高校在学中に打つべき予防策
解決すべき問題は、日々の学習&進路指導の中に
新たな目標を設定できれば燃え尽きることはない
進路希望の実現に向けて頑張ってきた生徒には、進学先でも大いに頑張り、充実した日々を過ごしてほしいところですが、学業不振や学校生活不適応で苦しむ学生も少なくありません。大学に送り出すまでに高校の中で打つべき対策もあるように感じます。燃え尽きるのは、新たな燃料がくべられないから、新しく目標を設定できないからです。
滑り止めを蹴った浪人生の方が伸びる?
諦めずに頑張りきった中でこそ獲得できるもの
勉強の仕方を見直すのも、この時期にやるべきこと
受験本番期の過ごし方は生徒の成長を大きく左右するだけに、ここからの毎日を大切にしてほしいと思います。中には浪人を覚悟しての終盤戦という生徒もいるかと思いますが、浪人して捲土重来を期すなら尚更、この時期の過ごし方が大切です。勝負は4月からの浪人生活ではなく、今年の受験で最後まで「合格する気」で挑むところから始まります。
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教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一