新年度の指導計画の仕上げ~今やっておきたいこと

昨日の記事では、卒業生と新3年生に対して仕上げておきたい指導を扱った過去記事をまとめてみましたが、本日は、来年度の指導計画作りに向けて、新年度を待たずに今やっておきたいことをピックアップします。
新年度の指導計画作りは、すでに昨秋あたりから順次作業が進められてきたと思いますが、仕上げのフェイズを迎えて様式にまとめ直してみることで、見落としていたことに気づくこともあります。
新年度の指導が回り始めてしまったら、大幅な計画修正は難しくなりますので、やるなら今しかありません。
年間行事予定も、分掌や学年でそれぞれ作ってきた計画をつき合わせて一つの様式にまとめてみると、個々の指導が有機的に結びついていなかったり、生徒が十分な準備をして選択の機会に臨めなかったりといった問題点が見つかることが往々にしてあります。
年間行事予定の書きだし方

どの学校にもある、年間行事予定表。作った側の意識としては、年間のスケジューリングを固め、校内に周知するという目的が果たされれば十分かもしれませんが、それでは使う側のメリットは生まれません。生徒も、保護者も現場の先生も、3か月先、6か月先を見渡して、今なすべきことを考えられるようなものであるべきです。そのためには学年ごとにカラムを分けて、行事と行事のつながりを視覚で捉えやすくしておく必要があります。

進路関連行事に向けた企画・準備・事前指導

様々な行事を企画しても、生徒がじっくりとその行事に向き合えなければ、そこに込めた指導の意図も空回りしてしまい、目標を達成することができません。事前指導や準備期間も含めた全工程を見渡した設計が必要です。外部から講師を呼ぶならば、指導計画全体のなかでの行事の位置づけや何を目指した指導なのか、しっかり理解してもらってから依頼しないと「呼んだだけ、やっただけ」の行事になってしまいます。

また、シラバスにしろ、進路の手引きにしろ、作って終わりということではないはずです。生徒がしっかり使ってこそ作成のコストに見合った効果があるのではないでしょうか。
出来上がった冊子をどうやって使っていくかを考えておくこともまた、この時期の大切な検討課題です。
シラバスを熟読・活用することには効果あり

データでは「到達目標を達成できる」との見通しとの間で、「シラバスを熟読しているかどうか」が、「教材の適切さ」や 「教員の教える意欲」などとの間を上回る高い相関を示していました。シラバスに書かれたことを読むだけで興味が刺激されるとは思えませんが、履修期間を通した学びに見通しが立つことや、単元ごとの到達目標に照らしたメタ認知が高まることなどで、科目の到達目標に接近できることは十分に想像できます。

評価規準は使いながらブラッシュアップ

評価規準は「目指すべき到達状態」を記述したものですから、それを明示することは生徒との間で目標を共有するのと同義です。目標に照らした振り返りをさせることで学習者は次に向けた課題形成もできれば、繰り返すうちに学習におけるメタ認知も高まります。CAN-DO Listも、ルーブリックも、作ること自体が目的ではなく、使ってこそのものです。学習者がいる場面で使いながらでなければ、記述のブラッシュアップも、項目の入れ替えもできません。

さらに、各組織(分掌・学年・教科など)の活動は、校内外に向けた広報にしっかり結びつけることが大切です。
どれほど優れた取り組みも、校内外の関係者(生徒、保護者、教職員、地域など)にその意図と効果をしっかり伝えてこそ、理解者と協力者を得ることができます。
学校ホームページでの情報発信

パブリックリレーションズは「認知→理解→共感→協働/選択という4つのフェイズ」で構成されます。取り組みや活動に対して、共感に基づく選択をしてもらう/協力してもらうには、どのフェイズも飛ばすことはできません。学校ホームページにせっかく来訪された方に、正しい情報を洩れることなく伝えられるよう、校内での情報収集と整理・編集にはこれまで以上に力を注ぐ必要がありそうです。 年間行事予定をベースにした広報計画を作りましょう。

この時期は年間の指導の成果を発表する様々な行事も行われます。成果発表は、生徒の活動・先生方の指導の仕上げでもありますが、同時に次に向けたスタートでもあります。
前年度の生徒への指導を見てこそ、より良いものを目指すための視点と方法が学べるはずです。
まさに、”結果を振り返って指導計画を見直すのは今“だと思います。
成果発表会は、先生方が指導を振り返る機会

長期間かけて生徒が取り組んできた活動の成果を発表する会は、指導に当たった先生方にとって指導を振り返って成果を確かめる場です。講評者からのアドバイスは、これまでの活動に足りなかったことを明らかにする指摘でもあるはずです。講評を通して得た知見を次の指導に活かさなければ、継続的な改善サイクルは作れません。次学年の先生方にどう引き継ぐかも大きな課題です。

教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一

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