結果を振り返って指導計画を見直すのは今

2月に入ると合格の知らせが次々と届き始めますが、同時に、卒業していく生徒に対して行ってきた3年間/6年間の指導をその成果に照らして振り返りつつ、次の学年の指導の設計にあたる時期でもあります。
進路指導の方針や一つひとつの指導の具体的な方法について、効果を上げたものはきちんと抽出し、継承しなければなりませんが、反省すべき点があったものをそのままにしてはいけません。
指導を担当されてきた先生方が、それぞれ思うところ、考えるところを持ち寄って、来年度の進路指導計画にしっかりと反映させるには、そろそろ作業の工程が決まっていなければならない時期かと思います。
新年度を迎えて動き始めたら、途中での計画修正はその余裕がないばかりか、様々なところでねじれや無理を生じます。
走りながらでは見える景色が狭くなりがちです。
結果が出て反省点が明らかなになり、まだ次の指導がはじまっていないのはごく限られた短い期間です。
ここを逃すと1年間の先送りになってしまいます。
さて、未整理のままにしていた以下の記事を加えて、ジャンル別記事インデックス”進路希望の実現と具体化“を更新しました。進路意識形成を支える指導と併せ、お時間の許すときにご高覧いただければ光栄です。
指導の成果を確かなものに(その1)~出願指導を例に

指導場面で必要な知識と情報が整っていなければどうしようもありません。海図を持たない水先案内人には確実で安全な運航は約束できないのと同じです。例えば、センター試験の結果が返ってきてからの出願指導では、どんな資料があってどう使えば良いか、いわゆる”受験情報リテラシー”を高めておく必要があります。また、生徒の状況を知るには先生方の見立てを持ち寄る必要もあります。周到な事前準備を重ねて臨みましょう。

大学・学部選びに加え、入試選びも重要になる時代

「学位授与の方針」と「教育課程編成・実施の方針」は大学に入ってからの教育そのものなので、どの選抜方式を経て入学してきた学生に対しても同じものが適応されますが、アドミッション・ポリシーは選抜方法ごとに異なります。重点的に測定できるものが異なるだけに、どの入試を選んだかで求められる学生像が異なる以上、生徒の特性や資質を見極め、持っているものを最大限に評価してもらえる選抜方式を選ぶ必要が高まりそうです。

進学先の確保と進路希望実現のはざま

センター試験の自己採点の結果を受け、第一志望を貫徹できれば何よりですが、思わぬ結果にセカンド・ベストへの切り替えを検討しなければならないケースもあります。受験校指導に当たるこちらとしても、進学先を確保してあげたいという気持ちの一方で、”優先すべきはあくまでも進路希望の実現”との思いもあります。的確な判断には事前の準備が全てです。出願校選択で苦労した指導例を糧に次年度の指導計画の改善を図りましょう。

進路指導計画の体系化とスリム化

進路指導計画に組み込まれた様々な行事は”体験の機会”と”選択の機会”の2つに大別できます。進路講演や大学訪問などが前者の代表、出願指導や履修科目選択が後者の代表です。長年にわたるノウハウの蓄積や試行錯誤、”増改築”を繰り返した結果、進路指導計画が過密化しているケースも少なくありません。十分な準備ができずに指導機会に臨んでは、コストの増大を招くばかりか、不要なリスクを呼び込むのではないでしょうか。

教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一