生徒一人ひとりの進路希望を把握することは大切ですが、それ以上に大事なのは、生徒が「進路意識を形成し、進路希望を具体化するまでに、必要なプロセスをきちんと踏んでいるかどうか」を逐次確かめること。
プロセスを正しく踏む中でこそ、生徒は「選択の力」を養い、「自らの選択の結果に向き合える準備」を整えていきます。進路指導の主眼は、まさにここにあると考えています。
本シリーズでは、以下の3つの視点から「とりあえずの選択」に生徒が流されないための指導を考えます。
- 進路希望調査を行うときの注意点(#01)
- 学問探究を起点とした学部・学科選びの視点(#02)
- 内省を促す問いかけを通じた進路意識形成(#03)
進路希望実現に向けて頑張る力は、「学ぶ理由」を自らの言葉で語れるかどうかにかかっています。選択へのプロセスを正しく踏んだ生徒は、次のステージに進んだときも、新たな興味と目標を見つけ出し続けることができるのではないでしょうか。
募集枠の拡大が今後も続くと思われる総合型選抜で合格を分けるのは、言うまでもなく「志望理由書」ですが、これをきちんと起こすためにも如上の指導を通じて、自らの志望理由と、それが生まれた経緯を自分の言葉で伝えられる生徒に育てる必要があります。
進路意識を質す調査(#03参照)の結果を蓄積し、定量的に扱えば、より良い選択のために「生徒一人ひとりが今何をすべきか」を特定する材料も得られます。これを活用すれば面談指導もより有意義に行えるはず。集団としての傾向を掴めば、進路指導計画の改善にも繋がります。
2017/04/13 公開の記事インデックスを再アップデートしました。
・選択の結果を訊くなら、選択のプロセスの前段階も
・志望を表明させることで意識を固定してしまうリスク
・伸びている実感に乏しいときに進路希望を訊くと…
・訊くべき事柄には順序や段階性がある
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教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一