マトリクス点検で指導主眼を適正配置(その5)

マトリクス点検を具体的に進めていきましょう。各学年、各学期にどのような予・復習を求めているかを確認できるよう、オリエンテーションで配ったプリントや、学習の手引きのコピーを事前に集めておいてください。模造紙と大きめの付箋も用意しておいてください。

❏ まずは、教科の中で段階性と整合性を

模造紙には、左から右へと学年・学期を書き込んでおきます。付箋には学習の手引きなどに書かれていることを項目ごとに転記し、模造紙の該当箇所に貼り込んでいきます。
参加される先生方で手分けして進めてみると、すぐに「あれっ、こんなことも要求しているんだ」という発見があるかもしれません。
サンプルとして、ある学校のシラバスの一節をお借りします。歴史学習について明確な学習観が示されています。これを元に、生徒に求める行動要件に分解していきましょう。作業を進める中で、当該時期の指導で注力すべきことも自ずと特定されていきます。

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初期の段階の指導で行うべきは、ノートレイアウトのサンプル提示でしょうか。倣うべき範がなければ、取っ掛かりをつかめない生徒も現れます。「守破離」の第一段階は教える側で示す必要があります。
1学期の中盤には一定量以上のメモがノートに残っているか、自分なりの考察を文字に残せているかを点検して評価することになろうかと。
また図説・用語集の活用法について、どの段階でどこまでを求めていくのかを考えれば、それに向けた指導を授業内で集中的に行うべきタイミングも自ずと決まるものと思われます。

ノートにメモを取らせる指導
ノートの全面を板書に写すのに使うのではなく、左右に3分の1程度のスペースを設けさせている先生がおられました。気づいたことや先生の説明で大事だと思ったことを、そのスペースに書き込ませます。
最初のうちは何を書いて良いのかわからず、空白のまま残されている場合でも、声掛けを頻繁に行うとともに、ノートチェックで評価と助言を繰り返す中、多くの生徒が、しだいに上手なメモを取るようになっていきます。
この指導が効果を上げるポイントは、何を書き込めば良いかを生徒に気づかせることです。ノート点検をして返すときに、上手にメモを取れていた事例を紹介するのも良いでしょうし、良いメモが取れていたらコメントを書き込んで、「そのメモがどうして良いのか」 を伝えていくことにも力を入れましょう。


❏ 並べてみてこそ、「あれっ?」 に気が付く

上記の引用部分には、生徒への様々な要求や期待、メッセージが含まれています。付箋に書き出すときは、それらを生徒側が取るべき行動にリライトし、且つ項目ごとに切り分けをしていくことになります。書き出した付箋は、模造紙の該当箇所に貼り込んでいきます。
地歴公民以外の先生も、上記の例をもとに考えてみてください。自教科分の作業を始めるにあたって頭の体操(ウォーミングアップ)になると思います。
さて、ここまででマトリクス点検の準備が整いました。生徒への要求内容がきちんと段階を追っているか、それまでの成果を踏まえたものになっているかを着眼点に、修正・調整の余地がないかを確かめていきましょう。
要求が急に跳ね上がっていないか、同じ水準に長くとどまっていないかに注意を向けてください。
その6に続く

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教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一


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