ルールでの保護と危険回避の思考力養成
学校評価アンケートでは、生徒がトラブルなく安全に学校生活を送るための配慮や指導について尋ねることが多いと思います。こうした質問に対する肯定的な回答の割合はどの学校でもそれなりに高いものの、1~2割は否定的な評価や意見が混ざっていたりします。生徒指導を通したトラブル回避や安全の確保には、それらに接近しないようルールを敷いた「隔離」をメインとする場合と、生徒自身が危険を察知し、それを回避したり、被害を…
当オフィスは、各地の学校で授業力向上や教育改善・学校改革のお手伝いをしています。
学校評価アンケートでは、生徒がトラブルなく安全に学校生活を送るための配慮や指導について尋ねることが多いと思います。こうした質問に対する肯定的な回答の割合はどの学校でもそれなりに高いものの、1~2割は否定的な評価や意見が混ざっていたりします。生徒指導を通したトラブル回避や安全の確保には、それらに接近しないようルールを敷いた「隔離」をメインとする場合と、生徒自身が危険を察知し、それを回避したり、被害を…
建学の精神や教育理念のもとで各学校は教育目標を定め、その達成のために教育活動を行っていますが、学校評価アンケートなどで生徒に「教育目標に掲げられた『目指すべき人物像』に近づけているか/近づけそうか」と聞いてみると、なかなか力強い答えが返ってきません。教育目標は「ただ掲げているもの」ではないはずですし、その達成には先生方のみならず、生徒自身にもコミットメントが期待されるところではないでしょうか。たい…
別稿で申し上げた通り、授業を改善しようと思ったら、伝達スキルより授業デザインに焦点をおいて、その改善を先行させた方が改善の効果が短期間で現れますが、話し方・伝え方、強調の方法などに問題を抱えているなら、その解消も先送りするわけにはいきません。授業デザインは、構成要素の大半が言語化できる外在知ですので、校内/教科内にある優れた実践から学びやすいもの。高い評価を得た授業でのやり方を知れば、まったく同じ…
年度末が近づく中で、本年度の学校評価アンケートの結果の取りまとめが進んでいる学校も少なくないと思います。学校評価アンケートの集計結果は、本年度の教育活動や取り組んできた改革/改善行動の成果を検証するのに欠かせないデータですが、「今年の総括に使って終わり」ではないはずです。取り組んできたことの成果に不足があれば、目的に近づくための改善を計画しなければなりませんし、状況の変化で従来と違うニーズや問題が…
授業のあり方について先生方が真剣に且つ楽しく話し合え、授業改善に建設的に取り組める協働の「環境」があれば、先生方の授業力、学校の教育力は着実に高まっていくものと考えます。ここで言う「環境」には、教育目標がきちんと共有され、それに基づく率直な意見交換ができる雰囲気にあることももちろんですが、既に校内に存在している優れた実践の所在を知るための「ツール」や、多忙の中でも知見の共有を図れる「研修手法」の存…
模試や考査での成績、行動評価の記録、授業評価アンケートの集計結果といった「指導効果や学びの状況に関するデータ」を使って優れた成果を残した実践の所在を特定し、そこでの手法を互いに学ぶことが、学校/教科全体での授業改善を確実でスピーディーなものにします。前稿では、どのようにデータを使って優良実践の所在を知るか、その授業を担当する先生からどのように効率的に発信をしてもらうかに触れましたが、本稿はその次の…
小テストは、前回までの授業で学んだことや自学用に持たせている副教材の内容など、覚えさせる/確かめる内容とそのソースは様々ですが、実施のタイミングは「授業の冒頭」というのが一般的だと思います。始業の礼から間髪入れずに小テストを始めることが習慣として確立している授業では、休み時間からの切り替えもスムーズで、授業時間を無駄なく使うことにも大きく貢献しているように見えます。これに対し、今回ご提案するのは、…
授業内に生徒が活動する場を作る目的は、解くべき課題を与えて発動させた思考を「対話を通じた知識や発想の交換」で拡張させることに加えて、生徒の頭の中で何が起きているかを把握するための「観察の窓」を開くことにあります。沈思黙考という言葉もありますが、一人の頭の中だけで考え得ることには限界があります。それ超えていくためには対話を通じた思考の拡張が欠かせません。また、生徒一人ひとりの思考を言語化させてみない…
授業の中で生徒は様々な活動に取り組みますが、それらを通して生徒は以下をはじめとする様々な「学びの目的」を達していきます。 自ら考えて行動する中での体験を、知識や理解に再構成していくこと 理解や思考の結果を言語化する中で学びをより確かなものにすること 対話(気づきの交換)で思考を拡充し、判断に必要な視野を得ること 一方、教える側/学ばせる側である先生方にとっても、生徒が活動する場を整えることでしか、…
コロナ禍で、教育ICTの活用が一気に進みました。新たに開発・導入された技術やサービスが「新しい学力観に沿った学ばせ方」の実現に役立つところでは積極的に活用したいところです。デジタル・ツールを活用することで指導法にも可能性が広がりますし、新しい道具は、思考法や行動様式も変えるため、従来の方法に拘っていては新しい時代が求める能力やスキルを育て損ねる可能性もあります。しかしながら、「新しい技術やサービス…
先生方の頭の中には「学力観」というものがあります。普段はことさら意識することがなかったとしても、それらは授業の進め方、テスト問題の作り方にはっきりと現れます。学力観が背景要因となって{何を教えるか=何を測るか}という関係が作られているということです。瞬間ごとに相を変えていく授業は、固定して吟味の対象にするのも容易ではありませんが、紙の上に固定されたテスト問題はじっくりと眺めて検討したり、複数の先生…
より良い授業を目指した工夫や取り組みは実に様々で、拝見するたびに先生方の意欲的な取り組みには頭が下がるばかりです。しかしながら、学びの成果を測るツールたる考査問題の改善には指導法の工夫に比べてあまり意識が向けられていないようにも感じています。新しい学力観を取り入れた学ばせ方への転換が図られても、定期考査が旧態依然のままではその成果を正しく測定できず、次の指導に向けた課題形成もままなりません。生徒は…
今年も幾つかの大学での本年度前期の授業評価アンケートのデータを分析する機会に恵まれました。今年はコロナ禍で対面授業ができず、前期を通してずっと遠隔授業が行われていたこともあり、項目間の相関など集計結果には例年と違ったものが方々に見て取れます。 対面授業が行われていた過年度と比べ、遠隔授業では以下のような変化が生じており、どうやら特定の大学だけの現象ではなさそうです。 教員の理解確認と学生の到達目標…