月: 2024年5月

理解を確かめてから次のフェイズに進む

生徒の理解を確かめるのは、学びを先に進められる状態を確かなものにするためです。「その場で」と「言葉にさせて」の2つを鉄則に、対話で行う理解確認を徹底していきましょう。前段の理解に不足や欠落が見いだされた場合は、機を逸することなく、その解消を図る必要がありますが、教え直しで「絆創膏を貼る」ことよりも、教科書やノートの該当箇所を参照させたり、生徒同士の教え合いを促したりすることで、学び方を学ばせること…

よくわかる説明、戸惑わせない指示

説明や指示のわかりやすさを決める要素は、話し方や板書の巧拙だけではありません。今やろうとしていること(目的)が何かを前もって理解させておくことや、前段までの理解をしっかり確かめながら進めることも重要な役割を持ちます。わかりやすさは学習効果を決定的に左右する要素であり、わからないことにはできるようにはなりません。また、生徒を活動させようとしても、指示が分かりにくく、生徒が戸惑っているようでは困ります…

学びの土台を作る、整理された板書・プリント

生徒に問い掛け、気づかせたことを全員に見えるところに書き出して、前段の理解を教室で共有していくのが「板書の基本的な役割」です。整理された結果を提示するだけならプリントやスライドで十分ですが、授業の展開は「対話的な学び」が根付くほど動的になるもの。臨機応変に展開/構成できる板書の強みを十分に活かしていく必要があります。電子黒板などのICTやデジタル教材の利用はますます増えていくでしょうが、「学びに対…

いつもはっきりと教室の隅々まで届く声

伝達技術の基本は「話し手の声がいつでもはっきりと聞き取れること」です。知識・理解を与えるにも、問い掛けて生徒に考えさせるにしても──視覚による補助が効果的であり且つ必要であることは言うまでもありませんが──、まずは先生が発した声による情報を、生徒が集中してしっかりと受け止め続けられることが大前提です。先生の話が聞きとれないのではどこかで授業内容がわからなくなるのも当然。「いつもはっきり聞き取れる」…

意図したことを正しく表現する方法を学ばせる

思考力・判断力・表現力が重視され、主体的に学ぶ姿勢が求められるようになる中、生徒が自ら考えたことを発表する場面が増えてきました。 探究型学習の成果発表会などはその最たる例でしょうが、高大接続改革以降の入試では「証明する方法を説明する」「解決策を考え周囲の理解と共感を得る」といった言語活動の要素を含む問題が登場しています。意図したことを正しく表現するための土台は、日々の学習を通して獲得させた言語、情…

働き方改革~校務の見直しと再構造化(記事まとめ)

学校の先生の多忙が取りざたされて久しくなりました。報道を見ても、現場でのご様子を拝見しても、「働き方改革」は依然として、待ったなしの課題。ドラスティックな改善は進んでいないようにも感じます。外にいる私が直接何かできるわけでもないことに心苦しさを感じつつ、何かのヒントになればと思い、考えるところを拙稿に起こしました。ご多忙を極める中、矛盾することを申し上げることになり、誠に恐縮ですが、お時間のあると…

先生方の多忙解消に~個々の教育活動の価値見直し

先生方の多忙解消が必要であるとの議論が盛んになされるようになってずいぶん経ちますが、なかなか問題は解決に向かわないようです。退勤時間が早くなっても持ち帰る仕事が増えただけとの話もよく聞きます。多忙を解消するには、基本的には2つの方法しかありません。ひとつは個々の仕事の効率化、もう一つは仕事そのものを減らすことです。 2019/06/18 公開の記事をアップデートしました。 ❏ 効率化と外部委託以上…

学校経営計画の進捗を確かめ、達成可能性を高める

1学期もそろそろ折り返し。年度の冒頭で打ち出した「学校経営計画」はどこまで実行され、目標とした事柄は達成できそうでしょうか。特に夏までに一定の成果を得たい、方向を固めたい取り組みについてはこの機に中間検証を行い、今後の展望を立て直しておくべきです。当然ながら、目標達成に不安が残る箇所、計画通りに進めるのが難しそうな箇所には、達成可能性を高めるべく、効果的な対策が必要です。 2018/07/09 公…

入学試験での成績と定期考査のパフォーマンス

5月も半ばを過ぎ、そろそろ中間考査です。特に1年生には円滑な学業がスタートできたか確かめる重要な機会ですが、入学試験のときと比べて成績(相対順位など)がどう変化しているかも探っておきましょう。入試における得点と今回の考査の成績で散布図を描いてみると、 などを推定するためのデータが得られます。その中に、何らかの問題が見つかったら、相応の対処を進めるべきなのは言うまでもありません。 2018/05/2…

知識の活用、学びの仕上げ

1 課題解決を軸にした授業デザイン 1.1 教室でしかできない学びを充実~問いを軸に授業を設計 ★1.2 考えるための道具(体系的知識)を揃えさせるときの手順1.3 課題解決を伴わない知識獲得は…[検証編/考察編]1.4 理解したことをもとに課題の解を考える機会1.5 課題解決の場を整えたら、挑ませる前に理解の確認 ★1.6 確認した結果に基づいてきちんと学びを仕上げさせる ★1.7 単元ごとに設…

アンケートで探る“学ぶ側の認識” #INDEX

学習評価は、個々の生徒の現状を正しく捉えてゴールに導くまでの工程を探るためにも、先生方のこれまでの指導の成果を検証して更なる改善に向けた課題を形成するためにも欠かせないものです。獲得させた知識や技能がどこまで生きて働いているかを確かめるには、妥当性を十分に備えた「テスト」が不可欠、活動評価にはルーブリックなどのツールを用いますが、これらに加えて、「学習の主体」たる生徒や学生の認識を質す「アンケート…

新しい学力観に基づく評価方法(記事まとめ)

どんな道程を辿って目標に導くかは「地図」に相当するカリキュラムや指導計画に描き出されていたとしても、今どこにいるかを知るすべ(=評価)がなければ、この先をどう進めば良いか、判断がつきません。評価は「生徒の学習を改善し、成長させる」と同時に「指導の効果を測定する」ためのもの。適切な評価なしに、指導の改善はあり得ません。指導と評価の一体化を図ることはまさに急務。学びの多様な側面にきちんとモノサシを当て…

論理的思考と批判的思考

別稿「指導と評価の一体化~実現のための発想転換」で書いた通り、生徒の学力を伸ばすにも、評価(学習状況の改善[≒学力の向上]とそれを支える指導の改善を図るためのもの)を行うにも、伸ばしたい学力を構成要素レベルで明確にしておく必要があります。漠然とした捉え方をしていては、それらを発揮させる場としての課題や活動をきちんと選び出せませんし、評価の基準もブレてしまいます。学力の重要な部分をなす「思考力」にも…

失敗から正しく学べているか

昔から至るところで「失敗から学ぶ」という言葉を耳にしますし、口にもしますが、失敗から正しく学ぶには、相応の「失敗への向き合い方」を習得しておく必要があろうかと思います。教室での生徒の言動にそうした姿勢と行動がきちんと見て取れるか、注意を向けておきましょう。失敗をしたときに、きちんと振り返りを行い、その原因を見つけ出し、次の機会にどう修正して臨むかを考え出せれば、より大きな成功の確率が見込めますし、…

指導と評価の一体化~実現のための発想転換(後編)

前編では、「指導と評価の一体化」を図るには「授業のデザイン/指導計画だけを先行して考え、実践し、評価はその場に臨んでから考える」という従来からの発想を離れる必要があるとお伝えしました。各単元(あるいは内容のまとまり)で獲得を図った能力や資質を評価するために課題や活動を整えているなら、それらを指導時間の枠に収めて適切に配列することで、指導計画のフレームは出来上がります。評価のために設ける「能力や資質…

指導と評価の一体化~実現のための発想転換(前編)

新課程への移行でこれまで以上に求められるようになった「指導と評価の一体化」ですが、その実現は、口で言うほど簡単ではないようです。両者の一体化には、それぞれを行うときの発想や観点が一致していることが大前提。指導計画作り/授業デザインを考えるときに、評価の機会と方法も併せて想定しておかなければなりませんが、2つのことを同時に考えるのでは、思考は複雑になり、まとまりにくくなるものです。指導と評価では、こ…