探究活動の舞台としての地域連携
これまで(=新課程への移行前)に教育活動の一環として「地域連携」に力を入れてきた学校では、新たに始まる「総合的な探究の時間」でも引き続き「地域課題」に取り組ませることが多いかと思います。長きに亘り築いてきた地域との関係は大いに生かすべきであろうと思いますし、学校が教育目標として「地域課題に向き合える人材の育成」を掲げてきたのであれば、急に旗を降ろすわけにはいかないはずです。地域課題の解決を「ターゲ…
当オフィスは、各地の学校で授業力向上や教育改善・学校改革のお手伝いをしています。
これまで(=新課程への移行前)に教育活動の一環として「地域連携」に力を入れてきた学校では、新たに始まる「総合的な探究の時間」でも引き続き「地域課題」に取り組ませることが多いかと思います。長きに亘り築いてきた地域との関係は大いに生かすべきであろうと思いますし、学校が教育目標として「地域課題に向き合える人材の育成」を掲げてきたのであれば、急に旗を降ろすわけにはいかないはずです。地域課題の解決を「ターゲ…
新課程への移行で、高校での「総合的な探究の時間」が本格的に始まります。先行実施も行われ、各地の学校で進められてきたプログラム開発や指導法研究は、小さからぬ成果を既に収めています。先行実施で得られた知見を活かして、プログラムのブラッシュアップを図るフェイズを迎えています。個々の先生方が工夫を凝らした実践から優れた成果を得た指導例を抽出し、それを共有した上で先生方の協働でさらに磨き上げていく体制の確立…
いよいよ、この4月からの新課程で「総合的な探究の時間」が本格的に始まります。既に2019年度には先行実施が始まっていますが、これまでのところ、学校ごとに取り組みはまちまちのようです。指導を行う以上、きちんとその効果を測定し、「良いもの(効果をあげた働きかけなど)は教員間で共有するとともに、継承したものを土台に更なるブラッシュアップを図る」「改めるべきところは遅滞なく改善を図り、問題を残さない」よう…
身の回りに起きていることの中にも様々な問題があり、それらの多くは日々の授業や総合的な探究の時間の中に、学んだり、解決策を考えたりする機会を持ち得ると思います。各単元の学習の中で扱うことができるものもあれば、単元を跨いだ融合問題を設定することで学習機会が作れるものもありますし、他の教科と連携した合教科型学習、探究活動で扱うのが好適なものもあります。そうした問題について学んだり考えたりする中で、生徒は…
各地の学校で行われている探究活動や課題研究を拝見する中、生徒の取り組みにはいくつかの類型的な問題点があるのではないかという思いを強くしています。とりわけ、 調べ学習と探究活動の境界がどこにあるか理解していない わかっていることを調べ尽くす前に先に進もうとしている 選んだテーマに「自分ごと」としての関わりを見出していない などは、少なからぬ生徒に見出される特徴ではないでしょうか。これらはいずれも、探…
探究活動などに限らず、日々の授業の中でも生徒がプレゼンテーションに取り組む機会が増えています。小学校からの蓄積もあってか、中高生のプレゼン力は確かに高まっていると感じますが、プレゼン後の質疑応答では、ほとんど質問が出ないか、たまに質問が出ても散発的でそこから議論に展開するような場面はめったに見かけません。プレゼン力だけでなく、「質問力」を高めることに注力した指導の設計が必要ではないかと感じています…
まだ夏休みが始まっていないのに「何、このタイトル?」と思われた方が多いのではないかと拝察いたしますが、ひと月後に初めてこの問いを思い浮かべたのでは時すでに遅し、与えた課題の効果を検証する準備が十分に整っていない可能性が高いのではないかと考えます。 1学期の終業式を迎えて、夏休み中に取り組むべきタスクはすべて生徒に提示されているはず。生徒の時間(加えて、場合によっては教材等の購入費などの金銭)を投じ…
探究活動に取り組ませるとき、最も重要でありながら、上手くいかないことが多いのが「研究テーマの設定」「問いの立て方」だと思います。導入指導で探究活動が目的とするところをしっかり理解させておかないと、探究の手順をきちんと踏まえることもできず、自分と社会の接点を探すことにもつながらない、興味本位に走った「趣味・道楽の延長」を抜け出せていないテーマを設けてしまう生徒も出てきます。探究を通して答えを見つける…
夏休みの宿題では昔からの「定番」になっているものの一つに、英語のサイドリーダーがありますが、「時間の余裕があるときに、まとまった量の英文を読むこと」の意義は、学力観や学習指導を通して目指すところが変わってくる中で、以前とは捉え方を変えるべきかもしれません。そもそも、生徒の夏休みは、体験学習や課題研究/探究活動、大学訪問と様々なコンテンツやイベントが積み込まれる中で、「時間の余裕」があるものではなく…
高校に入学してくる生徒は、小学校や中学校で横断的、体験的な「総合的な学習の時間」を経験してきていますが、高校で新たに取り組むのはその先にある「総合的な探究の時間」です。数学や情報の授業で新たに獲得する知識や技能なども駆使して課題の解決に取り組む中、これから自らが生きていく社会に自分がどう関わり、どんな接点を持ちえるのかを「探究」していくことになります。当然ながら、初めて挑戦する学びである以上、取り…
中高一貫校では、6年間という長い指導期間を活かして探究型学習プログラムの整備が比較的進んでいます。これに対して指導期間が3年(実質的には2年半)しかない高校では、本格的なプログラムを組み込むには時間的な制約が小さくありません。成果が確認できるまでの期間が中高一貫校の半分の3年間で済むという利点を活かし、短いサイクルの中でプログラムの改善を加速させるとともに、生徒が中学校までに経験してきたことをうま…
探究活動を始めとして生徒が自分(たち)が取り組んできたことの成果を発表する機会は以前に比べて多くなっています。日々の授業の中でも個人/グループで調べ学習や討論を行った結果をプレゼンテーションにまとめるのは既に「ごく普通の光景」になったように思います。プレゼンテーションの準備に取り組む工程での試行錯誤や努力そのものに加え、発表の場を通して得る直接/間接のフィードバックは、生徒にとって他に代えがたい成…
クラス全体に与える必達課題と、学力に余裕のある上位生に挑ませる任意課題を併用することで複線的にゴールを構えることの効用は、以前に別稿「知識をどこまで拡張するかは個々のニーズに合わせて」でご説明した通りです。本稿で新たにご提案するのは、そこからもう一歩踏み込んだ、「単元で学んだことの先を上級学校に進んでさらに深く学んでみたいという生徒に、探究に繋がる問いをもう一つ用意してみる」ということです。 20…
教科・科目に固有の考え方を理解させ、それに基づき物事を正しい見方で捉えられるようにさせることは、教科・科目を学ばせる最大の目的のひとつだと思いますし、そうなれたとの実感は生徒がその先に学びを進めていく上で大きな動機になると思います。科目への自己効力感も高め、興味も大きく広げさせるでしょうし、今まで興味を持つことがなかったことに面白みを感じ、関心を向けられるようになったら、そこから先の成長には大きな…
総合的な探究の時間において、生徒に研究テーマを考えさせるところでご苦労を抱えておられる先生方も少なくありません。地域連携や新しいビジネスなどの考案に取り組ませて自らの進路と向き合わせる教育活動でも、アイデアを出させるフェイズでのご苦労が多いようです。進路指導もまた、自分の将来を対象として行う探究活動であり、その探究の成果が「志望理由書」や「学修計画書」といった形で、大学進学に際して合否判定の材料と…
学校の中に新しい教育活動が採り込まれるにつれて、生徒にアイデアを出させる機会が増えてきました。日々の教科学習指導の中でもPBL型の授業デザインなら、解の導き方や物事を確かめる手順などを生徒自身の発想に委ねることもあれば、探究学習のテーマを考えさせたり、新しいビジネスの発案に挑ませたりすることもあります。そんなときに、何の土台もなく「さあ、アイデアを出してみよう」と旗だけ振っても上手くは行きません。…
探究活動や課題研究には代表者による成果発表がつきものですが、代表者や発表作品を選定した理由はきちんと言語化してレジュメや作品に添えて表示したいものです。発表や作品に触れた生徒に「なぜ選定されたのか」を知らしめることは、探究活動の目指すべきあり方を示すことに外ならず、それ自体が生徒に対するとても重要な指導だと思います。 ❏ 合理的な理由なしに代表作品を選ぶことで生じる問題 発表会や展示されているその…