新しいことを学ぶ授業に備えて下調べをする予習と、習ったことをしっかり覚えるための復習という学習サイクルは、正確な理解と再生という従来型のニーズを満たすには十分だったとしても、高大接続改革で求められる”教育の強靭化”に応じるには見直しが必要になります。
思考力・判断力・表現力を高めるには、対話による学びの深まりを作る必要があり、授業もおのずと対話の場面を作らなければなりません。
しかしながら、対話の盛り上がりや集団としての調和で終わってしまっては、個人のうちに学びの成果を固定できず、コンピテンシーの増大という目的から離れていくばかりです。
対話で膨らんだ学びや気づきをしっかり自分のものにする場としての復習という位置づけに代えていくことが必要です。
また、教えてもらえることをきちんと理解できる準備を整えるだけの予習では、自ら問題点を見つけ、それを解決しようとする姿勢も育めません。教科書を読んで、生徒自らが問いを立てられるようになってはじめて、学習者としての自立に近づいたと言えるのではないでしょうか。
予習に取り組ませる中で、「教えてもらう前に自分で考えてみる/課題の解決に挑もうとする姿勢と方法」を学ばせるには、予習を習慣化しなければなりませんが、予習がきちんとできない状態の生徒に、ただ「頑張れ」というのでは、あまりに乱暴だと思います。
予習→授業→復習のサイクルを組み直す
予習ができる状態にして教室を離れさせる
次回予告は、授業の導入フェイズと同じ機能を持つ
自力でできるようになるにつれて徐々に手を放す
授業のサイクルそのものを変えてしまうという手も
授業終了時に用意したアウトプットが最初の機会
家に持ち帰っての仕上げで2回目の再記銘と理解の深化
次回の授業では、持ち寄った答案の吟味で更なる学び
cf. 新しい学びの中で「覚える力」が持つ意義
単元を終えるときに作るプレゼンテーション
新しい単元を学ぶときの復習を通じて
次のタームで学ぶことの関連項目を考査の出題範囲に
数か月前の単元に、定期的に立ち戻る
課題の履行率を高く保つ前提条件は具体的な課題付与
履行を妨げる要因を切り分けて、ひとつ一つ解消する
終業時に行う”仮のアウトプット”
チームへの貢献という要素を組み込む
能動的に学ぶようになれば、学習時間も伸びるはず…
集団としての調和で終わっていないか
課題が解決されて、それ以上の探索の必要がなくなった?
対話の相手が生徒同士に限られることも問題か
■関連記事:
教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一