科学の進歩や社会の変化で、知識は絶え間なく更新されていきます。今日までの正解が、明日も正解とは限りません。教わったことを覚えていても、知識の拡充と更新が行えなければ、知識と発想の不足や古さが、正しい選択(=より良く生きること)を妨げるリスクが膨らみます。
知識は思考の道具であり、しっかり拡充を図る必要がありますが、知識付与の効率を優先するあまり「情報を集めて整理し、知に編む工程」を生徒に体験させないようでは、その方法と姿勢の獲得は図れません。
蛍光ペンで重要箇所をマークアップさせたり、サブノート式のプリントの穴を埋めさせたりするだけの学ばせ方には、大きな不足があるということです。本シリーズでは、その不足をどうやって補うかを考えます。
限られた授業時間で必要な知識・理解を形成しようと思うと、先生が予め整理を済ませておいた結果を示すだけにもなりがちです。常に「知識を増やすことと、学び方を身につけることは別物」との認識で、後者にも相応の重みを置いた、学ばせ方をデザインしていきましょう。
問い掛けで生徒の気づきを促し、確認したことを描き出す、日々の教室での板書にも、「情報整理の過程を生徒自身に経験させる」という機能があり、それをどれだけ生かせるかも指導の成果を大きく左右します。
2015/01/26 公開のインデックスを再アップデートしました。
教科書や参考書にマーカーで色を塗らせるだけでは…
手軽と省エネ(コスパ)が、記銘の効果を弱くする
マークアップは、重要度より情報のカテゴリーを基準に
板書でモデルを示しながら、しっかりと初期指導
空所を残したサブノート式に仕立ててみると?
生徒自身でテクストに当たらせ、空所を埋めさせる
実効ある学びの実現に、プリント自体にもひと工夫
仕組みを理解する「つなぎ」の部分を軽視させない
補足:ターゲット設問で、次の授業への準備をさせる
問い掛けと板書で、情報整理のプロセスを学ばせる
対話をしながら、ポイントをピックアップ
分解と再構成のプロセスも対話を行う中で
フレームが完成したら、パーツは生徒に埋めさせる
補足:教科学習指導で図るべき、情報整理のスキル獲得
根本の問題へのアプローチは3つの側面から
知識の拡充範囲をむやみに広げない/ニーズの見極め
効率化に走って学びを薄くしないことが肝心
教室学習と、教室を離れた個人学習の切り分け
補足:スライド等の共有で図る、授業準備の効率化
cf. 情報の整理・構造化のやり方を板書で学ばせる
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以前のアップデート(2018/03/27)に際しての追記:
知識を体系化するには、その前提として知識を獲得・拡充する必要があるのは言うまでもないこと。パーツがなければ整理も何もありません。体系化の前には情報を分類・整理する必要もあります。生徒はこれらを自ら十分に経験して、その方法をしっかり獲得しつつあるでしょうか。
知識の拡充を図り、整理をつけて体系に編む工程を、授業の中で経験させ、学ばせていくことも大切です。言語情報を分解し、体系化されたフレームの中に再配置してみたり(分解と再構成)、すべての情報を上手に配置できるフレームを考案したりする方法を学ばせていきましょう。
教科書や参考書のどこをマークアップさせるかを考えたり、サブノート式のプリントを編集する中で、先生方は情報の評価(重要度の判定)や構造化・関連付けなどを、生徒の見えないところで行っています。
見えないところで行われたことは学びようがありません。先生がプリント作りに多くの時間とエネルギーをかけたことで、生徒から貴重な学びを奪ってしまう結果になっては、本末転倒かもしれません。
結果だけ与えて、「さあ、あとは覚えてね」 というのでは、生徒は大事なところ(学びの方策)を学んでいないことになりそうです。
教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一
