新年度を迎えるに当たり~まとめページ(2024年度版)

立春を前に、入試を始めとする新入生を迎え入れるための準備、次年度の指導や年間行事の計画作りと調整、異動等に伴う引継ぎなど、定常期と異なる業務も加わり、いつにも増してのご多忙と拝察いたします。
多忙な時だからこそ、やるべきことをきちんとリストアップして、優先順位の高いものからしっかり/漏れなく進めたいところです。ちょっと早いですが、新学期を迎える準備を進めましょう。
これまで起こしてきた新学期にまつわる拙稿から、優先順位が高そうなものをピックアップしてみました。向こう2カ月、新年度に向けた準備をどう進めていくかのご検討に際し、参考になれば幸甚です。

2020/03/19 公開のまとめページを再アップデートしました。

生徒は何ができるか~指導計画立案の前に確認

新しい学ばせ方を通して獲得させたものを土台に
入学してくる生徒の能力や資質にも従来との違いが
経験してきたこと自体にも大きな変化があるはず
模試成績や授業評価アンケートの結果も判断材料に
→学年末考査/校内実テ、授業評価アンケート、観点別の行動評価

指導の成果を確かなものに~新入生を迎えるとき

対象者の正しい理解が指導を選択するときの大前提
小・中学校の授業も以前とは違うものに
学力と学び方を把握する機会を逃さない
進路指導や探究活動も、入学者の体験を踏まえて
■関連記事:中学での経験を踏まえて考える「高校での探究活動」

指導計画の確定前に大学/中高入試の出題をしっかり点検

入り口と出口の変化に合わせた道程の再設計
まずは、生徒が目標とする大学群の出題研究
自校を受験した/合格した生徒の答案
競合他校(中高)の入試問題も経年的に研究
■関連記事:出題研究を通して”問い方”を学ぶ

授業で使った教材・課題や考査問題の引き継ぎ

効果的な設問や課題を継承してブラッシュアップ
使った結果を添えて、検索と再加工が容易な形で
考査問題と設問別正答率で、生徒の状態を伝える
1年後の引き継ぎに備えて、記録と保存のルールを
■関連記事:考査の結果から自分の授業を振り返る

ホームルームの年間実施計画

・LHRの実施計画はグランドデザインを土台に
・大きな行事で区切ったタームごとに領域別の重点目標
・行事の配列にもカリキュラムマネジメントの発想を

学校ホームページでの情報発信(全3編)

情報発信のための体制作りと計画立案
年間行事予定をベースに学校HPの更新計画
伝えたいことにフォーカスする重みづけと導線作り

4月の入学式が終わったらすぐに行われる行事、早期に完遂しなければならないことなども、今のうちに展望を描き、先回りできるところ(計画作りや先生方の「目線合わせ」など)を進めておきましょう。

授業開き/オリエンテーション(全4編)

シミュレーションを通じた学習法ガイダンス
授業開きを起点に継続的に行う学習法確立指導
指導に臨む前の目線合わせと、効果検証への備え
スタートに立った生徒に伝えていること

受験学年のスタートに向けて(全5編+α)

生徒が互いの頑張りを支え合う集団作り
志望理由を言葉にしてみる~ゼロ学期の始まりに
進級後の指導を見据えて(学年間での学びの接続)
受験期を迎えるために春から進める準備
終盤まで伸び足を止めないために
進路意識の高揚を目的とした講演会の企画

次年度の指導に着実に歩を進めるには、先ずは本年度の足跡を確かめることです。反省と課題を明確にしないと、同じ轍を踏むようなこともあり得るかも…。ここまでの取り組みや指導がどれだけ成果を上げたか、狙いを達成したか、見立てを持ち寄りしっかりと振り返りましょう。
大きな成果が出た取り組みも、きちんと言語化/可視化して、共有と継承を図らないと散逸してしまいます。その結果、同じところをぐるぐる歩くようなことになっては勿体ないとしか言いようがありません。

新年度に向けて、最終結果と照らした指導の成果検証

模擬試験と大学入学共通テストの結果などから
進路希望調査の記録と最終出願校の一覧から
定期考査の結果や評定と最終結果の照らし合わせ
個々の指導を改めるときは、指導計画全体を見渡して

大きな成果が出た時にこそ~実践の共有と継承

成果を得た指導法はきちんと共有・継承しているか
前年度までの試行の結果を踏まえてこその継続的改善
実践を伝えるログと成果を検証したデータ
■関連記事:効果測定は、理解者と賛同者を増やすため



2022年に高校1年生から始まった新課程もいよいよ完成年度。新課程の下での指導を振り返ることも、ゼロ学期の間に行うべき大切な仕事かと存じます。狙い通りの効果を得たもの、新しい学力観にうまく適合した取り組みもあろうかと思いますが、中にはそうでないものも…。
良いもの/残してさらに磨くべきものと、見直しを行い作戦を変更していくべきものがあるはずです。その峻別を合理的にできるかどうかは、2025年度入試の結果だけでなく、それ以降にも影響を及ぼします。

教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一