生徒にも学ばせたいファシリテーション・グラフィック

先生方の板書などを通じて、生徒は情報を整理し、構造化する方法を学んでいます。(cf. 知識の拡充 vs 情報整理手法の獲得)結果として残った板書やプリント/スライドなどは、各単元に固有の知識をすっきりと提示し、生徒が覚える上での利便を図るものになっていると思いますが、それらが出来上がるまでの工程そのものにも生徒に学ばせたいことがあります。話し合いなどの場で、メンバーの発言(発想や意見)を拾い上げ、…

学力観の変化は良問と悪問の分け方を変える

良問とは何かという問いには様々な答えがあろうかと思いますが、良問であるために外せない要件のひとつが「求められる学力を正しく点数に換算できること」であることに異論はないと思います。パフォーマンスモデルからコンピテンシーモデルに学力観の更新が進む中、従来なら「良問」とされていた問題も、今後は「測定すべき学力が点数に換算できない」ことを理由に「悪問」に分類されかねません。生徒は定期考査の出題内容に合わせ…

資料を与えて読ませる/探させる、そしてその先に

新課程の土台となった21世紀型能力では、その中核となる「思考力」を構成する要素に「問題解決・発見力・創造力」が挙げられています。cf. 全教科でコミットすべき能力・資質の涵養思考力には、これ以外にも「論理的・批判的思考力」「メタ認知・適応型学習力」といった要素が含まれますが、それぞれに応じた「獲得のための学習活動」を適切に配置したカリキュラムが必要です。 カリキュラムは{学習内容×能力資質}で設計…

自教科以外の授業も参考に「学ばせ方」を見直してみる

授業の進め方や学ばせ方を研究するとき、同じ教科の他の先生の授業を参考にするのが「普通/当たり前」のことだと思いますが、倣うべき実践を探す先は「他の教科・科目の授業」まで広げてみるのも好適です。授業の進め方には、教科ごとに「こういったもの」という固定観念みたいなものがあるのではないでしょうか。ご自身が中高で受けていた授業は思いのほか、意識に深く刻まれており、指導の組み立てを考えるときも、知らぬ間にそ…

大きな成果が出た時にこそ~実践の共有と継承

進学実績にしろ、模擬試験や外部検定の成績にしろ、あるいは授業評価や学校評価のアンケートにしろ、成果が出たときの行動こそが重要だと思います。結果を受けた振り返りというと、どうしても課題/反省点の洗い出しに意識が向きがちですが、成果をあげた好適な取り組みにも、しっかりとスポットライトを当てましょう。失敗に原因があるのと同様に、成功にもそれをもたらした要因があります。それをきちんと分析的に捉え、共有と継…

道具が変わっても必要であり続けること(まとめ)

ICTの導入が進み、教室で使えるサービスやアプリもどんどん増えてきました。学ばせ方の可能性が大きく膨らみ、生徒に獲得させることができる能力・資質はさらに幅広いものになったということです。道具の使い方を含めての課題解決力ですので、新しい道具を使った様々なチャレンジの場をきちんと整えてあげることは大切です。 新しい道具は、思考法や行動様式も変える しかしながら、その一方で、たとえ道具が変わろうとも、生…

進級後の指導を見据えて(円滑な学びの接続)~まとめ

教科学習指導にしても、進路指導や生活指導にしても、単年度で指導が完結するわけではありません。ある学年での指導は進級/進学後に必要になるものを獲得させるためのものでもあり、そこでの指導目標が未達なら、先の指導は補完やフォローに追われ、計画は崩れていきます。カリキュラムは、単元内容を理解させることを手段に、様々な能力・資質を獲得させるために編まれているものですので、各単元の学習内容を理解させるだけでは…

前年度の指導に起因する学習指導上の課題

あるクラスを担当していて、学習指導がうまく行かない場合、その遠因が前年度までに生徒たちが受けていた授業に存在する場合があります。既習事項の習熟が不十分では学び直しに時間がかかり本時の学びが十分に深められないこともありますが、ことはそれだけではありません。生徒は授業を担当する先生の教え方にあわせて学びのスタイルを作りますが、新年度からご担当される先生が変わって学ばせ方が違ったものになれば、当然ながら…

学習内容の高度化、学びの変化に備えさせる

学びを進めていく中で、新しい学期・年度を迎えて学習内容が難しくなる局面があるのは改めて申し上げるまでもありませんが、そうした局面を迎えさせるための「準備」はきちんと行えているでしょうか。学習内容が高度化することだけでなく、科目の学びに求められるものが変わる(=学ばせ方の変化)こともまた、躓きの一因になります。学びのステージが次に進んだときを想定した指導を心掛けましょう。 ❏ 学習内容が高度化するタ…

助言や指示は、生徒自身がじっくり振り返ってから

生徒に課題を与えて取り組ませ、上手くいかなかった場合に、的確な助言・アドバイスを行って、次のチャレンジで上手くいくように導くのは指導者の役割でしょうが、生徒が自ら「何をどうすべきか」を考え尽くす前に指導者が「先回り」してしまうと小さからぬ弊害が生じます。新課程の土台にある「21世紀型能力」では、その中核である「思考力」の構成要素のひとつに「メタ認知・適応型学習力」があります。メタ認知・適応的学習力…

負荷を高める/抑えるための様々なアプローチ

教材の難易度などの「学習者への負荷」を抑え過ぎると、生徒の能力を十分に引き出せず、成長にブレーキをかけてしまうことがあります。別稿でも書いた通り、「できた気にさせてしまうリスク」もあり、楽々とクリアできる課題ばかりでは、もう一歩先を目指す上での課題を見つける機会を持てません。目的意識(学ぶことへの自分の理由)をしっかり持ち、学習方策を獲得してきている生徒には、ちょっと頑張らなければ届かないところに…

知識の拡充 vs 情報整理手法の獲得 #INDEX

科学の進歩や社会の変化で、現在の知識は絶え間なく更新されていきます。与えられた知識を覚えるだけでは、知識のアップデートもできず、時代遅れの知識と発想で正しい選択ができなくなります。教室の学びを通して身につけるべきは、単元固有の知識・理解だけでなく、「情報を整理して理解する/情報を集めて知に編む方法」です。うっかりすると、知識付与の効率を高めるばかりに、生徒が自ら行うべきことを、教える側が肩代わりし…

知識の拡充 vs 情報整理手法の獲得(その4)

前稿では、問い掛けを重ねつつ黒板上で情報を構造化していくことで生徒に「情報整理のプロセス」を学ばせることをご提案いたしました。これにより、知識の断片化や丸暗記に偏る学びといったリスクも、かなりのところまで解消できるはずです。しかしながら、蛍光ペンやサブノート式プリントを使うことになった、根っこの問題がまだ解決されずに残ります。言うまでもなく、学習内容の多さに比して授業時間が足りないという問題です。…

知識の拡充 vs 情報整理手法の獲得(その3)

蛍光ペンでマークアップやサブノート式のプリントに頼る手法が抱える問題点とその悪影響を抑えるための工夫について考えた前稿、前々稿に引き続き、今回は「問い掛けで気づきを促しつつ、黒板上で情報を構造化していく」ことを軸にした、別のアプローチをご提案いたします。 2014/12/12 公開の記事を再アップデートしました。 ❏ 問い掛けと板書で、情報整理のプロセスを学ばせる 問い掛けで生徒の気づきを促し、確…

知識の拡充 vs 情報整理手法の獲得(その2)

昨日の記事で考察した「教科書・参考書にマークアップさせる方法」に加えて、空所を設けて重要語句などを埋めさせる「サブノート式のプリント」を用いている授業も多いと思います。こちらの方法であれば、 「重要語句を一文字たりとも自分の手で書いていない」という、マーカーで色を塗るだけの方法が抱える問題の多くは解消できますが、それでもなお、様々な解決すべき課題が残ります。 2014/12/11 公開の記事を再ア…

知識の拡充 vs 情報整理手法の獲得(その1)

知識の整理と拡充を図る場面でよく用いられている方法に、蛍光ペンでマークアップさせたり、サブノート式のプリントを用意したりといったものがあります。限られた授業時間の中で、必要な知識をピックアップして漏らさず伝えていくには、一見したところ合理的で効率的なやり方にも見えますが、弊害も少なくなさそうです。情報が断片化しやすいことや、見やすくなっても記憶に刻まれにくいこと、加えて情報整理の方法を学べないこと…

情報を集めて編む作業で知識獲得の方法を学ぶ(その2)

知識の獲得は、思考力や判断力の土台作りですので、どの教科を学ばせるときにも力を抜くことはできませんが、生徒自身が必要に応じて情報を集めて知に編めるようにすることも学習指導の重要な役割です。昨日の記事(その1)では、授業の導入フェイズや学び終えてからの知識拡充の場面で課すべき「手元にある教材から必要な情報を拾い上げ、知に編み、蓄えるタスク」をご紹介し、生徒が自力で知識を獲得できるように導く方法につい…

情報を集めて編む作業で知識獲得の方法を学ぶ(その1)

生徒に一定の知識や理解を獲得させようとするときに、昔から最もよく用いられているのは「話して聞かせてわからせる」という方法かと思われますが、単元固有の知識・理解を獲得すると同時に、それらを獲得する方法を身につけさせることにも十分に意識を向けたいところです。学校を卒業した後も、科学技術の進歩や社会の変化によって新たな知識や理解を積み重ねていく必要がなくなることはありません。必要なことは自力で調べ、きち…

プロセスに焦点を当てた問い

教室で発している問いのうち、「結果」を尋ねるものと、「過程(=プロセス)」を訊ねるものの割合はどのくらいでしょうか。新しい学力観の下では「答えを出すにはどのようにすればよいか、どう確かめるか」と解決へのアプローチそのものを尋ねる問いも増えて然るべきです。正解が何であるかを訊ねるときはもちろんですが、「~が~になるのはどうしてか」という理由を聞くときも、実は、思考の「結果」を引き出しているだけです。…

対話によって学びはどこまで深まったか

主体的、対話的な深い学びを構成する要素のうち、主体性を持った学びに欠かせない【学習方策】と【目的意識】については、それぞれ以下の別稿にてデータ解析の結果に基づく考察を行いました。 本稿では「対話的な深い学び」にフォーカスしてみたいと思います。なお、主体的、対話的な深い学びについては、拙稿「主体的・対話的で深い学びの実現に向けて(全3編)」でも考えるところをまとめておりますので、お時間の許すときにご…