選ばれなかった理由を探り、次のメッセージを編む

学校広報を通じてステークホルダーとの良好な関係を築くには、発信を充実させるだけでは不十分であり、双方向のコミュニケーションに注力して相互理解を深める必要があります。発信と同等の力を「相手の声に耳を傾け、それに応える姿勢と行動を示すこと」に注ぎましょう。ここでいう双方向コミュニケーションには入学相談会などでの個別面談も含まれますが、アンケートなどを通じて「潜在志願者」や「説明会来訪者」といった集団の…

学校説明会での来訪者アンケート

学校説明会など次年度の生徒募集を見据えたイベントでは、学校が考える「望まれる学校/選ばれる学校」のイメージをもとに、これまでの取り組みに加え、今後の教育、学校づくりの方針が示されるわけですが、それが来訪者の心にどこまで届いたかしっかり確かめたいところです。どれほど素晴らしい価値を打ち出したとしても、それが、受験生やその保護者、地域(小中学校の先生や塾関係者も含む)が求めるものとズレていては、狙って…

学校評価アンケートをどう活用するか #INDEX

学校評価アンケートを行う第一の目的は、「自校が展開してきた教育活動にステークホルダーの理解と共感、支持が得られているかどうか確かめ、さらなる改善に向けた課題形成を図り、その効果を検証すること」にありますが、これに加えて以下のような重要な目的も併せ持ちます。 こうした機能を十分に発揮させるには、質問設計から実施を経て、データ分析とその結果の共有まで、各フェイズで押えておくべきポイントがあります。これ…

学校評価アンケートをどう活用するか(その4)

【データを使ってゴールの共有&目線合わせ】 学校に向けられた期待がどこに向いているかは、ステークホルダーの声に耳を傾けてみる以外に知るすべがありません。生徒、保護者、地域などの意見を効率よく、広く募れるのは「学校評価アンケート」です。 学校が目指すところにすべてのステークホルダーの理解と共感が得られているか、しっかりと耳を傾ける年に一度の貴重な機会です。回答率も高く保たなければ、漏れる意見が増える…

学校評価アンケートをどう活用するか(その3)

【効果を確かめ、教育リソースを最適配分】 各地の学校で教育活動の充実が進められ、特色ある教育活動も実に様々なものが見られるようになりました。目を見張るばかりです。その一方で、以前から行われていたことも効果を確かめることもないまま、慣習的に続けられ、新しい取り組みが加わるごとに教育活動が肥大化、複雑化の一途を辿っているケースも少なくないように見受けられます。やることを追加していくだけでは、限りある教…

学校評価アンケートをどう活用するか(その2)

【より良く知ってもらい、理解と共感を得るために】 学校評価に限りませんが、アンケートには、質問に答えてもらうことで回答者の認識を刺激し、深く考えてもらうという機能があります。これを利用して「学校の取り組みに対するステークホルダーの認知と理解を高める」のも学校評価アンケートの重要な目的の一つです。多大なエネルギーと、時に多額の予算を投じた取り組み/教育活動であっても、知ってほしい相手にきちんと伝わっ…

学校評価アンケートをどう活用するか(その1)

【意図は伝わっているか、成果はあがっているか】 学校評価アンケートは、生徒、保護者、教職員、地域といったステークホルダーから教育活動への理解と共感/支持が得られているかどうかを確かめるためのものであり、その機能をほかで代替するのは困難です。個々の教育活動の成果を検証する方法はそれぞれですが、「学校が取り組んでいることが正しく理解され、共感を得ているかどうか」は相手に訊いてみなければわかりません。ど…

良い学校とは?~誰かに直接訊いても答えは出ない

より良い学校、より良い教育活動の実現を目指して工夫と努力を弛まず積み重ねていく中で、「良い学校とは何を指すのか、どんなものか」をときどき/どこかで立ち止まって考えてみても良いと思います。時代が変わり、学校に求められる役割、向けられる期待も色々なところで変わってきています。以前のままの価値観や「校是」で走り続けていると、「学校に求められているもの」と「学校が目指しているもの」の間に気づかぬズレが生じ…

学校評価アンケートの質問設計

多くの学校で実施されている学校評価アンケート。集計の結果から教育活動の成果を捉え、さらなる改善に向けた課題形成を行うことが第一義ですが、ほかにも回答を求めることで学校の取り組みを知ってもらうことや、立場の違いによる捉え方の違いから校内の目線合わせを図ることなど、様々な狙いが併存します。コストと手間をかけて行う学校評価を、より実りあるものにする最大のポイントは質問設計にあります。学校の教育目標や重点…

属性情報を取得することで(学校評価アンケート)

学校評価アンケートを行うとき、回答者の属性情報を取得しておけば、様々な解析が行え、教育改善に向けた課題形成の幅が広がります。例えば、生徒なら、進路希望や所属している部活、各行事への参加状況などで、回答の分布が違うこともしばしば。全体では顕著な特徴がなくても、属性でのクロス集計などで見えてくることも多々あります。常にアップデートされているデータがほかにあって、アンケートの回答データとIDで関連付けら…

相手に合わせて質問もアレンジ(学校評価アンケート)

昨日に引き続き、学校評価アンケートにおける質問文のお話です。学校評価アンケートでは、生徒、保護者、教職員の三者評価や、地域を加えて四者評価とするケースが多いようですが、同じ項目について尋ねる場合でも、回答者の認識のあり方やその及ぶ範囲をきちんと踏まえた質問を起こすことが大切です。 2016/10/19 公開の記事をアップデートしました。 ❏ 例えば、勉強と部活動の両立について尋ねるとき 部活と勉強…

同じことを尋ねたつもりでも…(学校評価アンケート)

学校評価に限りませんが、アンケートの質問文を考えるときに大切なことは、「尋ねる側が意図するところ」を回答者が正しく(=歪みなく)イメージしてくれるかどうかです。同じことを尋ねたつもりでも、文言のちょっとした違いから回答の分布がまったく違ってしまいます。 2016/10/18 公開の記事を再アップデートしました。 ❏ 自分のことについて?クラス全体のこと? 例えば、生徒に自分のことやHRの様子を答え…

探究テーマに偏りは生じていないか

探究活動の成果発表会などを参観する際に、各生徒の「探究テーマ」が学年全体でどのように分布しているかに注目してみると、各校の指導の様子も垣間見えるように感じます。探究活動の指導における目標の一つは、探究のスキルと姿勢を学ばせることですが、生徒が「適切なテーマを、適切な手順を踏んで選び出す/打ち立てる(=問題を見つけ出す)ことができる」ようになってこそ、「社会参画力」や「持続可能な未来への責任」の涵養…

生徒の現況と意識を把握してから新学期をスタート

いよいよ3月も今日を入れて残り2日となりました。新年度を目前に、新たな指導/取り組みを思い描いておられることと拝察します。意欲的なチャレンジは、指導の幅を広げ、その中から良いものを選び出して、さらにブラッシュアップすることで、改善もどんどん進んでいくはず。しかしながら、指導が所期の成果を結ぶか否かは、生徒が備えているものとのマッチング次第。生徒がどんな経験をもち、どんな能力やスキルを獲得しているか…

教育目標や指導方針をちゃんと伝える

学校評価アンケートの回答データを分析していると、「教育目標や指導方針をちゃんと伝えていなかったばかりに、様々な指導や学校の姿勢に対する評価が実態を下回る結果になってしまった」と思われるケースをしばしば目にします。個々のクラス単位でも「生徒に期待する行動を担任の先生が明確に示している」かどうかで、他領域の指導に対する評価も大きく変わります。個々の指導に込めた意図を正しく理解してもらったり、学校が整え…

進路意識の高揚を目的とした講演会の企画

進路意識の高揚を図ることを目的に、生徒が目標としている大学に進んだ卒業生や、その大学の入試広報担当者を招いて講演会を実施することがありますが、せっかくの企画も単発のイベントに終わってしまい、継続的な効果をもたらしていないケースも少なくありません。進路行事が、継続性のある進路意識の高揚や受験生としての個人/集団レベルでの成長という所期の目的を達するには、 といったことを十分に意識した上での企画・運営…

過去問演習への取り組ませ方(指導計画への組み込み)

受験期に限らず、大学入試の過去問を授業内外の課題に採り入れることは、「今やっている勉強がどう問われるか/どんな場面に繋がるのか」を生徒に知らしめる効果的な方法です。学びに方向性を持てるようになるなど、生徒にとっても小さからぬメリットがあろうかと思います。しかしながら、大切なのは過去問の使い方、取り組ませ方です。単純に過去問演習を増やし、出題の形式に慣れさせ、解法を知っている問題を増やすだけでは、演…

入試問題の「長文化」を指導者としてどう考えるか

大学入学共通テストをはじめ、大学入試、高校入試の「長文化」が話題になることが少なくありません。問題冊子のページ数はますます増え、本文や資料、設問文、選択肢を合わせると膨大な文字数になり、これに図版やデータも加わり、読み通すだけでも大変です。こうした出題傾向の変化(いわゆる「読解力重視の方向性」)がどこから来たのか、改めてしっかり考えてみる必要もありそうです。本当の狙いを曖昧にしたまま、生徒に読解ス…

探究活動を通じて育む「思考力」と「実践力」

総合的な探究の時間が本格的に導入され、最初の1年が経過しました。先行実施の期間も含め、指導には様々な試行錯誤が重ねられ、その成果が現れるとともに、指導手法も確立してきているように感じます。これまでの指導の成果とプロセスをしっかり振り返り、これまでに確立したものをさらに磨く準備を整えて、次年度を迎えたいものです。各教科、進路指導と一体となったカリキュラム全体の中で、探究活動が大きな部分を担うのは、2…

授業外の学習指導機会の位置づけと実施方法

補習や講習など、学校では様々な学習指導の機会が「授業外」に設けられていますが、通常の(=教育課程の中に設定されている)授業との関連付けが曖昧なまま、それ以外の指導機会(補習や講習)が「追加」されているだけのケースが少なくないように思われます。生徒が学習に向けられる時間には「枠」があります。そこに色々な指導機会を加えていくだけでは、あふれ出すものが増えるばかり。個々の指導機会の関連付けを明確にして、…