考査問題で何をどう測るか

答案を正しく評価できているか

別稿「学力観の変化は良問と悪問の分け方を変える」でも申し上げた通り、高大接続改革以降の入試で出題の増加が予想される「答えが一つに決まらない問題」などの新しいタイプの問題では、採点基準の在り方しだいで、設問は良問にも悪問にもなり得ます。答案を正しく評価することは、生徒の学びを正しい方向に導くことにほかなりません。新しい学力観に沿った出題が増える以上、それを正しく採点する方法の開発・確立は真っ先に取り…

正答率の予測ができれば授業設計も最適化

正答率を正しく予想できるということは、問題が要求する様々な学力に照らした「生徒の状況把握」が正確に行えているということです。教科学習指導は、目標学力と生徒の現況学力との差を埋めるための行為であり、正答率の予測精度(=現況学力を正しく把握しているか)は、指導設計の妥当性に大きく影響を与えます。様々な場面で実際に予測を行ってみて、ご自身の予測力を常に点検するとともに、精度の向上を図る努力も怠らないよう…

考査問題の改善が授業も変える#INDEX

先生方の頭の中には「学力観」というものがあります。普段はことさら意識することがなかったとしても、それらは授業の進め方、テスト問題の作り方にはっきりと現れます。学力観が背景要因となって{何を教えるか=何を測るか}という関係が作られているということです。瞬間ごとに相を変えていく授業は、固定して吟味の対象にするのも容易ではありませんが、紙の上に固定されたテスト問題はじっくりと眺めて検討したり、複数の先生…

考査問題の改善が授業も変える(後編)

卒業までに身につけさせたい学力から逆算して、時期ごとに獲得させるべき学力(科目固有の学習内容に加えて能力や資質など)を目標に設定し、その達成度を測れる定期考査問題を3年間/6年間に正しく配列することは、授業の改善に大きく寄与します。定期考査は学力形成の工程における「中間検証」の機会です。そこまでに獲得できた学力を正しく評価できてこそ、その後の指導に明確な指針と課題が得られます。また、定期考査の内容…

考査問題の改善が授業も変える(前編)

より良い授業を目指した工夫や取り組みは実に様々で、拝見するたびに先生方の意欲的な取り組みには頭が下がるばかりです。しかしながら、学びの成果を測るツールたる考査問題の改善には指導法の工夫に比べてあまり意識が向けられていないようにも感じています。新しい学力観を取り入れた学ばせ方への転換が図られても、定期考査が旧態依然のままではその成果を正しく測定できず、次の指導に向けた課題形成もままなりません。生徒は…

ノート持ち込み可の定期考査がもたらすもの

先日の新聞に、変わる、定期テスト ノート持ち込みOK・単元テストに変更 大学入試改革にらむ(朝日新聞2019年11月27朝刊)という記事が掲載されていました。記事には、生徒と先生の双方で起きた変化がそれぞれの立場からの発言を引用して次のように書かれています。 生徒の発言:「最初はイヤだなと思った。勉強しても差がつかなくなるから」と勉強熱心な3年女子。でも問題が増えて難易度も上がり、ノートを要領よく…

高大接続改革と定期考査問題

2020年に迫る高大接続改革に備えてこれまでに何年もかけて積み上げてきた準備を土台に、新しい学力観に沿った学ばせ方への転換が図られているものと拝察しますが、同時に、学力形成の中間検証手段である定期考査もそれに見合ったものに更新されていかなければなりません。次に控える定期考査までに、教え方と測り方の双方がきちんと更新できたか、ご自身で/教科の中で確かめておく必要があると思います。生徒は考査問題に合わ…

散布図と残差から個々の生徒の課題を探る

別稿「入学試験での成績と定期考査のパフォーマンス」で触れた、入試結果と定期考査成績との相関を調べる方法、学び方の転換などに問題を抱える生徒を抽出する「残差」を導出する方法をご紹介します。 ❏ 計算式を設定しておけば、データを取り込むだけ 下図は、ある学校で実際に作成したものですが、12行目以降にクラス、出席番号、生徒氏名を、D列以降に得点が入力されています。入試成績と考査成績のデータシートから、V…

入学試験での成績と定期考査のパフォーマンス

5月も下旬となり中間試験を迎えますが、この機に新入生の入学選抜での成績と中間考査の得点を比較してみては如何でしょうか。双方の得点から散布図を描き、相関を確かめてみることで、 などを把握・検討してみるためのデータが得られます。 ❏ 入試の得点から入学後の成績が予測できないことには 入学試験は、自校が用意した教育課程に沿って学んで行けるだけの学力を志願者が身につけているかどうかを試すためのものです。受…

行動を起こしてこそ、見えてくる景色がある

新しい年を迎えると目標や抱負があれこれと浮かんできますが、考えているだけでは立ち止まっているのと一緒です。ひとつひとつを形にしようと行動してみてこそ、それまで見えなかった景色が目の前に広がり、そこに新しい目標/やるべきことも見えてくるように思います。 散歩していても場所を移すごとに新しい景色が目に飛び込んでくるのと似ています。立ち止まっていても曲がり角の先はわかりませんよね。 さて、前振りはこのく…

高大接続改革に備えて考査問題も新しいスタイルに

2018年の春に高校に迎え入れる生徒は、2020年の高大接続改革入試に初めて挑む学年です。1年生のうちから新しい学力観に沿った教え方/学ばせ方に切り替えないと、3年後の進路実現に際して後手を踏むリスクが高くなりそうです。指導方法については主体的・対話的で深い学びの実現に向けて、各地で実に様々な取り組みがなされていますが、もう一つ忘れてはいけないのが考査問題のあり方です。 ❏ 理解したことをもとに自…