行動を起こしてこそ、見えてくる景色がある

新しい年を迎えると目標や抱負があれこれと浮かんできますが、考えているだけでは立ち止まっているのと一緒です。ひとつひとつを形にしようと行動してみてこそ、それまで見えなかった景色が目の前に広がり、そこに新しい目標/やるべきことも見えてくるように思います。
散歩していても場所を移すごとに新しい景色が目に飛び込んでくるのと似ています。立ち止まっていても曲がり角の先はわかりませんよね。
さて、前振りはこのくらいに本題です。
❏ 検討にとどめず、実際に行動を起こしてみる
高大接続改革で大きく変貌するであろう大学入試にはじめて挑む生徒たちが、今春、高校に入学してきます。
指導計画や授業デザインも新しい学力観に沿ったものに転換が迫られるなか、様々な検討や計画作りがなされているものと拝察します。
でも、頭の中をぐるぐる回すだけでは自ずと限界がありますよね。立ち止まったまま、「あの曲がり角の先はどうなっているんだろう」と考えていても実際の景色はわかりません。
現時点でできることを見つけて、実際にやってみることが大事ではないでしょうか。
取っ掛かりはどんなに小さなものでも、やってみればその先に新たに見えてくるものがあるはずです。
❏ 出題研究は例年以上に広く、深く
思考力・判断力・表現力を試すのに、どんな問題が大学入試で登場するかも、想像を巡らせるだけでなく実際に調べることが大切です。
これまでに発表されてきたモデル問題などを研究することはもちろんですが、今後増加が見込まれる”2020年の新傾向”を先取りした出題にも、十分な注意を向けておきましょう。
予備校の入試解答速報なども例年以上に活用したいところです。
そこで見つけた良問はきちんとストックして、いつでも授業で使えるように整えておくことが大切です。
 ■ 入試問題を授業の教材に使うときに
これまでの入試問題なら、「その問題をどう教えるか」を考えておけば十分だったかもしれませんが、これからは「どのようにして、生徒自身に解法を考案させるか」という視点での研究に重心が移ります。
❏ 教室に持ち込んで、生徒にも解かせてみる
生徒に自力で解法を考えさせる指導を立案する前に欠かせないのは、指導を始める段階の生徒が何をどこまでできるようになっているかを見極めることです。
如上の問題を教室で扱うとき、解き方を教えようとするのではなく、生徒が解いている様子をじっくりと観察することに意識を向けましょう。
土台が整っていなところに建材を積み上げても形になりませんし、既にできることを重ねていては生徒の退屈を招くばかりでなく、貴重な時間を無駄にします。
これらは、18年度入学生に対する指導機会を待つ必要はありません。
現に在籍している高1、高2の生徒に同じ問題をやらせて取り組み方を観察したり、出来上がった答案を吟味させたりしましょう。
これまでの”新課程入試”の歴史を振り返っても、意欲的な大学では”新傾向”を先取りする出題が少なからず見られましたので、現在籍生にとっても有意な受験対策になるはずです。
❏ 生徒の答案を教材に、採点基準を考える
また、答えが一つに定まらない問題の登場・増加が予想されますので、採点基準も従来の”正解要件列記型”では用をなさないことは自明です。
教室で新傾向問題に挑ませ、その答案をストックしておけば、採点基準の作り方を考えるときの”教材”になります。
様々な採点基準案を作ってみて、それぞれに照らして各答案を採点し、直感的に与えうる点数と最もよく合致する点数が算出される基準を選び出していく中で、採点方法に関する知見が蓄積されます。
予備校では、生徒を介して収集した得点開示の結果と照らしながら各大学の採点基準を推測し、模試の採点基準などに反映させていますが、高校では定期考査の採点基準作りに活かす必要があります。
今春の入学生が最初に迎える定期考査(1学期の中間考査)まで、残すところ5か月です。生徒は定期考査に合わせて学習スタイルを作りますので、こちら側での準備も急がなければなりません。


新入生を迎える準備を進める中、2020年入試のことはどうしても想定しなければなりませんが、不確定要素が多く残る中、あれこれ考えているだけでは展望も開けなければ、新たな知見も得られません。
入試問題研究やその成果を用いた教室での試行など、今起こせる範囲で実際の行動をどれだけ積み上げられるかが問われている局面です。

教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一

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