ノート指導、タスク管理
予復習のデザインに加えて、履行率を高める工夫を
前々稿、前稿で予習と復習でどんなタスクに取り組ませるかを考えましたが、もう一つ重要なことは「いかに履行率を高めるか」です。どんなに明確な目的をもって予復習のタスクをデザインしても、履行してくれないことには効果は得られず、却って様々な弊害を招きます。 2015/04/16 に公開した記事を再アップデートしました。 旧タイトル「予習・復習で何をさせるか(その3)」 ❏ 小テスト頼みで予復習の履行率を上…
学習機会としての模試受験 #INDEX
模試受験後の指導~進路希望を維持させる~
学習機会としての模試受験(その3)~好機はいつ?
近くに予定されている模擬試験をターゲットに学び直しに挑ませる機会を整えるのは、未習熟・未定着を解消して模試の成績を引き上げるためだけではありません。これまでの学びを振り返らさせて、主体的に且つ計画的に学習を進める姿勢と方法を学ばせることも狙ってのことです。 2014/11/27 公開の記事を再アップデートしました。 ❏ 好適時期に集中して行うべき指導 勉強と部活動との両立を図り、ときに二兎ならぬ三…
学習機会としての模試受験(その2)~計画させる
学習機会としての模試受験(その1)~仕上げさせる
模擬試験を受験させるのには、出願校選択のための合否判定データを揃えるという目的もありますが、この部分にばかり意味を持たせるのではなく、「学習の機会」という位置づけで模試を捉えるのが好適です。模擬試験に向けて数週間程度の準備期間を設け、生徒が自分の課題を設定してひとつずつ仕上げてクリアしていく場合と、漫然と場数だけ重ねて行く場合とでは、得られるものが大きく違います。 2014/11/25 公開の記事…
ノートにメモを取らせる指導(記事まとめ)
授業中にメモを取る力は、深く確かな学びに欠かせないものであり、学びに関わる姿勢と方策の表れでもあります。他者の話を聴きながら(あるいは文章を読みながら)、自らしっかり考え、その痕跡を文字に残していくというのが学びの場におけるメモのあり方ではないでしょうか。ある実験では、同じ講義を聞かせた場合に生徒がノートに残した文字数とそれぞれの生徒の学習効果との間には、統計的に有意な相関が見られました。板書を写…
ノートを取らせて学習スキルを確かめる
教室を覗いてみると、同じ授業なのに生徒のノートの取り方は実に様々です。おざなりなノートの取り方に「あとで復習するときにわかるのかな?」と心配になることもあれば、先生の板書は綺麗に写し取っていても、それ以外まったく書き込まれていない(=本人の思考の痕跡が見て取れない)ノートも少なからず見かけます。その一方、同じ教室にはしっかりと整理されたノートに、散在していた情報をきちんと集め、構造化している生徒も…
ノートにメモを取らせる指導(その2)
メモに起こす内容には、2つの種類があります。ひとつは、相手の発言などを記録するもの。講義を聞きながら大事だと思ったところをノートやレジュメの余白に書き込むのはどなたも行っていると思います。もう一つは、相手の発言に触発されて、自分が感じたこと/考えたこと/思いついたことなどを文字に起こしたもの。こちらは、メモに残しておかない限り、後で思い出せなくなったら復元のすべがありません。その場で得たせっかくの…
ノートにメモを取らせる指導(その1)
ノートの取り方は、生徒が身につけるべき様々な学習方策の中でもかなり重要度の高いものだと思います。先生が板書したものを整然とノートに写し取っているだけで「よし」としてはいけません。自分で工夫してノートを取れるようになるというのは、生徒の内に「考えながら、人(=先生や周囲の生徒)の話を聞く力」「気づきを言語化できる力」「情報を自力で構造化できる力」が養われてきたことを意味しますので、学習者としての自立…
黒板を写すと活動が低下?
昔からよく言われることに、「板書を増やすと、生徒は写すことばかりに気を取られ、学びの姿勢が受け身になる」というのがあります。この指摘には納得できる部分もなくはありませんが、「板書が多いこと自体が思考を妨げる」というのは短絡的に過ぎるのではないでしょうか。 受け身の姿勢が強調されたり、自ら考えようとしなくなったりする要因は、板書の多さではなく、板書の仕方、板書に至るまでの進め方にあると思います。実際…
定期考査の失敗を繰り返させない~リベンジ自習会
そろそろ中間考査の時期です。新学期を迎えてからここまでに生徒が学習の正しい方法と習慣を身につけることができたか、この機にしっかり確認しましょう。特に1年生は、生活環境も学習内容も大きく変化した中で、学びのスタイルを上手くアジャストできたかが試されます。年度が替わって初めての定期考査にきちんと結果を出せた生徒はひとまずこれまでのやり方で構わないと思いますが、成績下位に止まった生徒や前年度に比べて不振…
ノート指導、タスク管理
1 ノートにメモを取らせる指導 1.0 ノートにメモを取らせる指導(記事まとめ)1.1 ノートにメモを取らせる指導(その1)1.2 ノートにメモを取らせる指導(その2)1.3 ノートを取らせて学習スキルを確かめる 2 学習機会としての模試受験 2.0 学習機会としての模試受験(序)2.1 学習機会としての模試受験(その1)~仕上げさせる2.2 学習機会としての模試受験(その2)~計画させる2.3 …
指示を的確にこなす生徒~それだけで良いのか?
どの生徒のノートもしっかり板書を書き写しているし、予習も完璧に行われており答え合わせだけで十分。生徒を指名しても期待通りの答えがきっちり戻ってくる。一見すると「これまでの指導の成果」のように見えなくもありませんが、どこかに違和感を覚えます。もちろん、ちゃんとノートを取れない、予習もしない、答えさせれば的外れというのでは、これまでの指導のあり方を反省しなければならないでしょうが、指示を的確にこなす姿…
高校生のタスク管理&スケジューリング
生徒にもやるべきことが山ほどあります。日々の勉強に加え、部活動や生徒会活動、家事や家業にアルバイトなど、タスクの多様さは社会人を上回るかもしれません。時間を効率的に使い、手持ちの時間の中にやるべきことをきちんと配列できるようになってもらいたいところです。多彩なタスクの中で、生徒が自分を成長させ、未来を拓く力を身につけていくのに必要なことを後回しにさせないよう、しっかりとタスク管理とスケジューリング…
ビジネス手帳を用いた指導の可能性(その6)
手帳を使った、日々の、あるいは週ごと月ごとの振り返りの効果は、その場だけのものに限りません。記録を残して定期的に読み返すことで、様々な副次的効果も期待できます。同じ轍を踏まないこと、そして成功したときの自己イメージを強く持つことも、記録によってもたらされる効果です。 ❏ 反省や思いを記録に残すこと自体に意味がある うまくいった時の記憶をはっきりさせておくことは、次の似たような状況で採るべき行動を示…
ビジネス手帳を用いた指導の可能性(その5)
手帳の回収・点検を通じて、日々の学習時間を把握している学校があります。当然ながら、生徒が手帳に記録したままの状態では、集計したりデータとして解析に利用したりすることができないため、担任の先生が手帳を見ながらエクセルに手入力しているケースがありました。❏ 手帳に記録されている定量的情報をデータ化手間の負担は計り知れません。生徒指導のために行っていることが、生徒指導の時間を奪うというジレンマは避けまし…
ビジネス手帳を用いた指導の可能性(その4)
3ヵ月先、半年先を見据えて今なすべきことをイメージできる状態を保つことは、分岐点となる「選択の機会」に十分な準備を整えて臨むために欠かせません。そのためのツールとして、ビジネス手帳には大きな可能性と優れた機能が備わっています。 ❏ 進路の手引きや進路通信との併用を前提に しかしながら、同様のことを手帳なしで実現している学校も少なくありません。都内で毎年多くの東大合格者を出しているトッ…
ビジネス手帳を用いた指導の可能性(その3)
中学生や高校生が養うべきと考えられる自己管理能力のうち、2つ目は「予定を立てて、計画的に行動できること」です。これについても、時間軸に沿って配置された紙面を眺めて全体を掴む、という手帳が持つ利点が生かせそうです。❏ 予定を立てる=所用時間を見積って、優先順位をつける宿題や提出物など、それぞれの用事について、どのくらいの時間が掛かるのかを見立て、どのタイミングで処理していくのかは、頭の中だけであれこ…