向こう3か月、半年、1年、…と先を見渡して、選択の場、越えるべきハードルを意識して過ごす日々と、次々に訪れるイベントを特に準備を整えるわけでもなくただ経験していくだけの毎日とでは、歩みに大きな差が生じます。卒業までの3ヵ年/6ヵ年で到達できるところ(=教育成果)にも大きな違いが生じるのは想像に難くありません。
2016/03/11 公開の記事インデックスを再アップデートしました。
生徒が先の予定を見通して日々を過ごすためのツールのひとつが本シリーズで取り上げる「年間行事予定表」ですが、これまで使っていたものに生徒が目を通したときに、
「次に控えている選択の機会は何か」
「それまでにどんな準備を整えて臨むべきか」
をどのくらい明確にイメージできるでしょうか。未経験のことだけに正確にイメージするのは無理としても、これから登っていく山の姿がおぼろげにでも見えてこないことには、覚悟も決まりません。
同じことは、指導に当たる先生方にも言えるのではないでしょうか。着任したばかりの先生はいうまでもなく、自校で指導を重ねてきた先生方も、行事の一つひとつに込められた教育意図を解釈の差異なくきちんと理解していないと、指導に臨むときの目線も合わないはずです。
年間行事予定の起草には、到達目標を時系列の中に並べて整合性をとる という発想が欠かせません。
生活・学習・進路の3領域のそれぞれで、どんな能力・資質・姿勢を持った生徒を育てたいのか明確にイメージした上で指導を設計/計画し、その「準備」や「仕上げ」に必要な期間が確保できているかどうかを、カレンダーという目盛の上できちんと確認してみないと、無駄な時間を過ごさせたり、仕上げ切れない課題を積み上げさせたりします。
こうした検討を省いては、単にカレンダーを埋めるだけとなり、行事にじっくり向き合える、忙しすぎない学校生活の実現は遠のきます。
指導計画立案の前に、到達目標の配列を
到達状態を評価の規準として書き出すところから
教育目標の再解釈、建学の精神の読み直し
年間行事予定表のフォーマット
学年ごとにカラムを分けるのが基本
先を見越せば、準備もできる
余計な情報が混入しない&内容が想像できる
摘要欄付き、学年別カラム様式
各組織の指導計画の摺り合わせをする土台として
行事に臨むレディネスを整える
振り返りを通し、行事での学びの最大化&定着
・体験のたびに感じたことをしっかり考え、言語化&記録
・探究活動と進路指導でポートフォリオに残すログ
まずは、個々の行事が目指しているものを明らかに
年間行事予定を立案するときの土台
到達状態を段階性・整合性をもって配列する
成否判断できるセンテンスで評価規準を書き出す
学習領域の目標は、結果(可視)学力だけではない
進路領域の目標における段階性&他領域との関連性
ひとつの行事は次に控える別の行事の伏線
まずは、既存の年間行事予定を見直してみましょう
既存の行事予定から「目指していたもの」を抽出
書き出してみることで、足りなかったものが見つかる
抽出が終わったら、並べ直してみて構造化
修正点を反映させて、来年度の予定を組み上げる
ルーブリックに組み直す前に、一定期間の観察を
進路の手引きに書き込み、到達目標の配列を見渡す
更新されずに古い記載が残っていないか
明文化は、妥当性の判断と目線合わせに必須
建学の精神に照らして、リソースの最適配分へ
■関連記事:
- 進路の手引きは冊子よりもファイリング形式で
- 先に控える選択の機会をいつ認識させるか
- 大きな分岐を前に整えるべき指導機会
- 面談指導を成功させる(全5編)
- シラバスの起草・更新に際して(全4編+1)
- シラバスを熟読・活用させることの効果
- 教育手法開発・指導法改善に向けた計画作りは万全?
- 授業改善を確実に進めるための年間実施計画作り
教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一