先日、東京都立西高等学校で開催された、首都圏公立高等学校即興型英語ディベート大会を見学する機会に恵まれました。西、日比谷、湘南、浦和の4校の生徒さんたちが集まり、会場は熱気に包まれていました。
この大会は、文部科学省助成事業である「高等学校における多様な学習成果の評価手法に関する調査研究」のうち、「即興型英語ディベートを活用した統合型ルーブリック評価の研究」(研究代表者:大阪府立大学工学研究科の中川智皓助教)の中で行われたものです。
同プロジェクトの詳細は、http://englishdebate.org/project/でご覧ください。
❏ 学校の垣根を越えた交流の機会として
大会参加者は、西高校に加え、日比谷、湘南、浦和という首都圏のトップ公立高校の生徒さんたちです。学校の枠を超えた交流の機会が作られたことに、まずは大きな意義を感じました。
単に時間と場所を共有しても、交流は表面的なものに止まることもあり得ます。しかしながら、活動を通して互いの考えるところに深く触れること、ひとつのお題に解を導くという「課題」に、ともに取り組むことで、参加者は互いを刺激し合える関係を築いていくように感じます。
生徒の学びは、教員が与えるものより、生徒が相互に刺激し合う中で生まれるものの方が大きいとされています。
同じ学校で日常を過ごすことは、ある種、閉じたコミュニティの内部に止まるということです。価値観や習慣にも似たようなものが生まれますし、表現しなくてもことが足りる場面が増えてくるのではないでしょうか。
視野を広げ、互いから刺激を受け、同時に、きちんと表現し互いに耳を傾けることの大切さを改めて知る。こうしたことが、今回の大会のような学校間交流がもたらす大きな意味だと思います。
❏ 活動を通して、良好な人間関係が築かれる
課題に取り組む協働の中で、チームワーク力やコミュニケーション力も自然に養われそうです。参加者たちは互いを尊重し、相手の意見に耳を傾け、より良いゴールを目指します。大会の前と後では、人間関係にも違いがあるのではないでしょうか。
大会での参加者の様子を見ていて思い出したのが、両国高校で行われた小中高連携合同研究授業での、とある場面です。
現場の先生方が、良好な人間関係作りには相当に注力しておられることは、様々な場面から窺えました。(中略)しかしながら、参観していて別のことも感じました。
授業内の活動、よくコントロールされた教室の中での学習活動そのものが、生徒同士の関係性の良化を推し進めているという可能性です。
授業内で与えられたタスク(練習や解を導くべき課題)という共通目的のために、互いが協力し合わなければならない場面を日常的に経験していれば、その中で互いを尊重するようになったり、相手のことをより良く理解しようという意識を持ったりするのも当然です。
大人の社会、企業や団体、あるいは自治会などでも、一緒に取り組む課題や仕事を通じて人間関係が作られていくのと同じであると感じました。先生が一方的に進める話を聞いて、自宅に帰ってそれを覚えて、・・・というだけでは、生徒が互いを知り、刺激を受け合いながら尊重し合う機会は得られないのではないでしょうか。教員の側でも、発信に専念していては、生徒のうちで何が起きているかを知る手掛かりが得られません。
https://fn-officef.com/blog/201410/1878/
「活動にはクラス内の良好な人間関係が必要」というのも確かなことでしょうが、その一方では、「活動が、人を結び付け、その中から良好な人間関係が築かれる」 という考え方も大切だと思います。
その2に続く