「問いの分割/スモールステップ化」とは、大きく複雑で、どこから手を付けてよいかわからない問いや課題を、その答えに至る思考・作業のプロセスに即して、複数の小さな問いや段階的タスクに分解し、学びに取っ掛かりと方向性を与える授業設計の考え方。
フェイズごとに理解や進捗を確かめながら進めることで、観察とリカバーの機会を確保し、不明や躓きの発生箇所を早期に捉えましょう。補完説明や問い直しのチャンスを確保することで、学力差の不要な拡大や、思考停止の長時間化を防ぐ効果も期待できます。
学習後に振り返りを行う場合も、答えを得るまでのプロセスを分解して捉えないと、どこに「改善の余地」があるか、見つけにくいはずです。
必要とされる背景
複雑な問いをそのまま投げかけると、前提知識や着眼点が不足している生徒はどこから考えればよいか分からず、手と頭が止まります。取っ掛かりを作れないまま時間が過ぎれば、「わからない」「できない」という印象だけを残すことにもなりかねません(2029)。
クラス内に学力差がある状況で、一度に大きな課題を与えると、手と頭が動き出す(先行する)生徒と、立ち止まって遅れていく生徒を同時に生み、学力差の影響を無駄に拡大します。躓きを早めに察知して、動き出しをスムーズにさせるには、タスク分割が有効です(2330)。
工程を一括で処理させると、解けなかった場合にどこで誤ったのかが見えず、補完の手立ても打てません。プロセスを小さく区切って、その都度理解の確認を行うことで、不明の発生箇所が捉えやすくなり、理解の補完と積み上げがより確実に行えるようになります。(2381)
さらに、振り返りの場面で結果(できた/できなかった)だけに注目していては、失敗の原因への認識が曖昧になりやすく、次の学びに繋がりにくくなります。解に至る工程をステップに分解してこそ、どの段階で何が不足していたかが特定できます(24359)。
実践の場での使い方
1.大きな問いを小さな問いに分け、活動を段階配置する
大きな問いに挑ませるとき~問いの分割と準備の学習では、単元の核となる大きな問いをいきなり投げるのではなく、切り口を示し、小さな問いに加工して段階的に扱うことを提案しました。答えに必要な要素を抽出し、「読む・調べる・考える・話し合う」といった活動に振り分け、授業内で順に配置します。
2.フェイズごとに理解を確認し、次へ進ませる
小さな問いで学びを点検~フェイズごとの理解確認では、ターゲット設問を支える小さな問いを用意し、各フェイズで理解を確認する方法を示しました。読解後に要点を書かせる、対話後に形成された考えを言語化させるなど、次の活動に進む前に、そこまでの成果を確かめましょう。
3.途中段階の成果を共有し、立ち止まりを解消する
途中でも、その時点で成果を共有では、タスクの途中で結論ではなく思考過程を共有させる実践を示しました。他者の着眼点や途中成果に触れさせることで、行き詰まりを解消し、次のフェイズのスタートを揃えさせることができます。
4.躓きを察知し、問いを再分割する
クラス内で生じた学力・学欲差への対処法(その4)では、反応が鈍い場面で工程を分割し直し、小さな問いを投げ直す方法を示しました。どの段階で止まっているのかを観察し、問い直すことで、教科書を開かせる、隣同士で教え合わせるなどのリカバーのための行動を取らせます。
5.振り返りで工程を分解し、改善点を特定させる
振り返りはプロセスを分解して~失敗から正しく学ぶでは、結果だけでなく解に至る工程をステップに分解して振り返る方法を提案しました。どの段階で誤りや不足があったのかを言語化させることで、次の学びへの具体的な改善につなげます。
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教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一
