所謂「ゼロ学期」も残り半分といったところでしょうか。これまでに重ねてきた先生方のご指導の成果として、4月に最上級生となる生徒には受験生としての意識も十分に芽生えてきたものと拝察いたします。
ここから先も、進路意識の形成(進路希望作り)と具体化を目指して、自分と向き合っていく個々の生徒への支援と指導に加えて、進路希望/なりたい自分の実現に向けたそれぞれの努力を生徒が互いに尊重し、頑張りを支え合う集団(学びのコミュニティ)作りも進んでいきます。
このフェイズでの指導で目指すべきところと、その達成に向けた手順を整理し、確認しておくことは、指導の成果の最大化と効率化には不可欠です。多忙な時期だからこそ、少し立ち止まり、向こう数ヶ月の指導に見通しを立ててから、タスクを一つひとつ進めていきたいところです。
また、教科学習指導においても新年度の指導計画の確定に向かうところです。進級後の学びへの円滑な接続には、これまでに身につけさせてきた学習方策や、見出されている学習上の課題への対応をきちんと重ねて行く必要があるのは言うまでもありません。
2019/02/01 公開のまとめページを再アップデートしました。
・支え合い、刺激し合ってこそ、頑張り続けられる
・団体戦というからには、まずはチームを作らないと
・大学から先生を招いて行う説明会も一つのチャンス
・授業内外の過去問演習は、集団形成の絶好機
・志望学部・学科ごとの集団形成に探究活動を利用
・明確な目標を持つことが「頑張りへの自分の理由」に
・志望理由がどう生まれたかが問題
・書き出すことで「自分の理由」を確認させる
・もう一度、進路意識形成のプロセスを辿り直す
・自分の選択に向き合うことを目的に
進路関連行事に向けた企画・準備・事前指導(全4編)
・進路意識の高揚を目的とした講演会の企画
・進路講演などに向けた事前指導
・進路行事としてのワークショップ
・行事にじっくり向き合える、忙しすぎない学校生活
・学力差の拡大を見越して事前に打つべき手
・教え合い・学び合いの習慣を失わせない
・躓きの原因も多様化~事前の観察でそれぞれに対応
・過去問への接触は早い時期から
・生徒自身が計画して進める学習の比率を高める
・目標を共有する生徒によるグループ学習
・前年度の指導に起因する学習指導上の課題
・学習内容の高度化、学びの変化に備えさせる
・生徒は何ができるか~指導計画立案の前に確認
・生徒が学んできたこと、経験してきた学び方の確認を
・指導計画の確定前に大学/中高入試の出題をしっかり点検
受験学年に向けたスタートをきちんと切らせるための準備指導の仕上げは、4月に入って最初に行う各種のオリエンテーションであり、個々の授業で言えば「授業開き」でしょう。そこで何を伝えるか、何を確かめるかも、その場を迎える前にきちんと見通しを立てておきましょう。
授業開き/オリエンテーション(全4編+α)
・シミュレーションを通じた学習法ガイダンス
・授業開きを起点に継続的に行う学習法確立指導
・指導に臨む前の目線合わせと、効果検証への備え
・スタートに立った生徒に伝えていること
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本稿のタイトルは、「受験学年のスタートに向けて」ですが、大学などへの進学以外の進路を選ぶ生徒にとっても、巣立ちのための大切な最終フェイズ。喩えるなら、離陸に向けた滑走に入るところです。
ここまでの準備がきちんと整っているか、点検をさせて滑走路に向かわせましょう。入学以来、何を体験し、何を学んできたのか。その中で獲得できたものもあれば、まだ頑張らなければならないものもあるはず。
残っている課題を洗い出させて、それにどう取り組むか(何をどう学んでいくか)、展望を立てさせてから最上級生としての1年間に挑ませていきたいところ。こうした振り返りによる「成果のたな卸し」と「次に向けた課題形成」の場をきちんと設けるのも先生方のお仕事です。
教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一