高大接続改革で否が応でも注目を集める2020年以降の大学入試では、思考力・判断力・表現力がさらに高い次元で求められます。学ぶべきものは減らさず、その中で主体的、対話的な深い学びを実現するという方針は2016年に打ち出された”教育の強靭化に向けて“で示された通りです。
英語ではさらに、読む・聞く・話す・書くの4技能をバランスよく高めることも求められます。
どちらか一方だけでも十分にチャレンジングなミッションです。来春の入学者を迎えるまでに実現への戦略を練っておく必要があります。
来年度の年間授業計画の起草に着手する時点では、学校/教科としての方針が固まっていなければなりません。課題の整理と実現への方策の検討は、まさに今取り掛かるべき課題です。
昨日までに起こしてきた記事を、シリーズにまとめてみました。
お時間の許すときにご高覧いただければ光栄です。
4技能の向上と大学入学共通テストや各大学の個別入試に対応する思考力・判断力・表現力の獲得という2つのミッションに挑むとなると、従来の指導計画の大幅な見直しが必要になるのは明らかです。
指導全体計画が変われば、それに応じて日々の授業の進め方を改めてデザインしなければなりません。
指導時間という枠が膨らまない中、学習活動により多くの要素を詰め込むことになる以上、「学びの重なり」を上手に活用するカリキュラムマネジメントの発想をもって、ことに当たらなければなりません。
教材や学習場面の拡充を図るのはほぼ不可能
本文の導入と同時にリスニング力の鍛錬
問いを示してから取り組ませる音読
調べさせることで学びに必要なスキルを獲得させる
読んで理解したことを表現する力はリテリングで
リテリングをベースに意見構築に展開
ワンステップずつ拡張していくことのメリット
仕上げた答案は公開添削や相互評価の材料に
他教科の学習におけるインプット/アウトプットにも
読むべき英文を自力で探させて文献検索の練習
また、英語が手段科目に位置づけを変える中、研究開発、課題解決、協働・共生といった活動のボトルネックにならないようにするには、目的科目だったときと比べ、運用力に求められる水準が大きく上がります。
より高い運用力の獲得のためには、理解したことを意識下で使いこなせるところまで刷り込んでいくことも必要でしょう。
手段だからこそ高い運用力が求められる
学んだことを意識下で使えるようになるまで繰り返す
いっぺんに厚塗りするより、間をあけて重ね塗り
英語がうまくても、思考にオリジナリティがなければ…
内容把握や正誤判定問題だけでは限界がある
追記: 選択する進路を想定した学ばせ方
当然ながら、新しい学力観に沿った学ばせ方への転換を図るなら、学習効果を正しく測定できるテスト(定期考査)への転換も欠かせません
教え方の工夫、指導計画の最適化に比べてスポットライトの当たりにくい部分ですが、最も重要なことのひとつだと思います。
何といっても、生徒はテストに合わせて勉強しますので、入学から卒業までの3ヵ年にわたり、どんなテストで学びを方向付けるかにより、生徒一人ひとりが卒業までに積み上げられる学習成果には大き違いが生じてしまうはずです。
理解したことをもとに自ら考えて表現する力
小さな配点では、分解能も誘導力も不足する
授業内外で扱った教材からの出題が抱える限界
新しい学力観に沿った定期考査への転換に向けて
お時間の許すときにこちらの記事も併せてご高覧ください。
教育実践研究オフィスF 代表 鍋島史一