マトリクス点検で指導主眼を適正配置
即興型英語ディベート大会(その3)
この大会は「即興型英語ディベート」ですから、当然ながら「英語の使用」という点でも教える側に大切なメッセージを伝えてくれています。学んできたことが 「運用力」 に昇華するには、「使う場面」 が整えられる必要がある、ということです。 ❏ 適切な使用場面が、学んできたことを統合する ディベートの参加者たちは、さすがにトップ校の生徒ですが、それでも英語力には個人差もあります。しかしながら、誰もが、必死に且…
即興型英語ディベート大会(その2)
前回に引き続き、首都圏公立高等学校即興型英語ディベート大会を見学して感じたところをお伝えします。学校の垣根を越えた生徒同士の交流の起点になっただけでなく、チームディベートという活動そのものが、生徒の間に良好な人間関係を築くきっかけを与えました。当然ながら、この大会を通じて生徒が得たものはこれだけに止まりません。 ❏ 課題解決力/協働力を、意識させずに養う機会として 即興型英語ディベー…
即興型英語ディベート大会(参観録)
先日、東京都立西高等学校で開催された、首都圏公立高等学校即興型英語ディベート大会を見学する機会に恵まれました。西、日比谷、湘南、浦和の4校の生徒さんたちが集まり、会場は熱気に包まれていました。 この大会は、文部科学省助成事業である「高等学校における多様な学習成果の評価手法に関する調査研究」のうち、「即興型英語ディベートを活用した統合型ルーブリック評価の研究」(研究代表者:大阪府立大学工学研究科の中…
学習指導・進路指導を通じた汎用スキルの獲得(その2)
汎用スキルの一部をなす 「批判的思考」 は、教科学習指導や進路指導を行う上できちんと整えておきたい土台の一つです。その能力は、それだけを取り出して訓練するより、具体的な場面で教えるやり方(文脈モデル)の方が所期の成果を得やすいとのこと。学習・進路の指導に、どんな発想を持って臨んだらよいか、もう少し考えてみたいと思いますのでおつきあいください。 ❏ 言語活動を自己目的化させない 自由研…
学習指導・進路指導を通じた汎用スキルの獲得
11月1日に玉川学園で行われた、「21.5世紀探究型学習研究会」で勉強してまいりました。実践報告からは多くの刺激と学びを頂戴しました。また、京都大学大学院教育学研究科の楠見孝教授による「批判的試行を育む:探究学習スキル」と題する基調講演では、探究型学習について理解を深め、整理できただけでなく、たくさんの新たな可能性に気づかされました。楠見孝先生の基調講演は、文科省のホームページにある「批判的思考に…
小中高合同研究授業をお訪ねして(その4)
今回の授業公開&合同研究協議では、非常に多くの優れた授業実践に触れることができました。私の拙い表現力でどこまでお伝えできるか甚だ不安です。より多くの先生方に、足をお運び頂き、斯様な好機を利用いただけることを願ってやみません。 ❏ 優れた実践をより広く伝えるためにも 優れた実践を広く見てもらうために、思いついたのは、YouTubeなどを利用した授業ビデオの公開です。 現在、東京都では指…
小中高合同研究授業をお訪ねして(その3)
授業を拝見していて強く感じたもう一つのことは、生徒同士、生徒と先生の間に見られる良好な人間関係です。ペアを変えながら練習をする場面でも、新しいパートナーともすっと練習を再開できるし、生徒が周囲の目を気にして発言を躊躇するような場面もほとんど見られません。良好な人間関係が授業を支える基盤であることを改めて感じました。 ❏ 好ましい人間関係を、授業が作っている可能性 現場の先生方が、良好…
小中高合同研究授業をお訪ねして(その2)
教員側の主導で進める講義形式、学習者を主体とする支援者としての役割、協働学習など、様々な授業観があり、前の時代の主流であったスタイルは何となく否定される傾向があるように感じます。しかしながら、それらはどれか一つを「選択」するものではなく、その場の必要に応じて使い分けられるべきものであり、最適なバランスの中で組み合わされるべきものだと考えます。 ❏ 教員主導、学習者主体、協働学習、… …
小中高合同研究授業をお訪ねして
10月2日、東京都立両国高校等学校(大井俊博校長)をお訪ねして、授業公開&小中高合同研究協議会を見学させていただきました。近隣のみならず広い地域から、小学校、中学校、高校の先生方がお集まりになり、のべ50以上の公開授業を熱心に参観され、研究協議では密度の高い議論を交わしておられました。 この小中高合同授業研究は、同校が平成24年度からの3ヵ年で段階的に進めている学校改善計画“両国スカイツリープラン…
ビジネス手帳を用いた指導の可能性(その6)
手帳を使った、日々の、あるいは週ごと月ごとの振り返りの効果は、その場だけのものに限りません。記録を残して定期的に読み返すことで、様々な副次的効果も期待できます。同じ轍を踏まないこと、そして成功したときの自己イメージを強く持つことも、記録によってもたらされる効果です。 ❏ 反省や思いを記録に残すこと自体に意味がある うまくいった時の記憶をはっきりさせておくことは、次の似たような状況で採るべき行動を示…
ビジネス手帳を用いた指導の可能性(その5)
手帳の回収・点検を通じて、日々の学習時間を把握している学校があります。当然ながら、生徒が手帳に記録したままの状態では、集計したりデータとして解析に利用したりすることができないため、担任の先生が手帳を見ながらエクセルに手入力しているケースがありました。❏ 手帳に記録されている定量的情報をデータ化手間の負担は計り知れません。生徒指導のために行っていることが、生徒指導の時間を奪うというジレンマは避けまし…
ビジネス手帳を用いた指導の可能性(その4)
3ヵ月先、半年先を見据えて今なすべきことをイメージできる状態を保つことは、分岐点となる「選択の機会」に十分な準備を整えて臨むために欠かせません。そのためのツールとして、ビジネス手帳には大きな可能性と優れた機能が備わっています。 ❏ 進路の手引きや進路通信との併用を前提に しかしながら、同様のことを手帳なしで実現している学校も少なくありません。都内で毎年多くの東大合格者を出しているトッ…
ビジネス手帳を用いた指導の可能性(その3)
中学生や高校生が養うべきと考えられる自己管理能力のうち、2つ目は「予定を立てて、計画的に行動できること」です。これについても、時間軸に沿って配置された紙面を眺めて全体を掴む、という手帳が持つ利点が生かせそうです。❏ 予定を立てる=所用時間を見積って、優先順位をつける宿題や提出物など、それぞれの用事について、どのくらいの時間が掛かるのかを見立て、どのタイミングで処理していくのかは、頭の中だけであれこ…
ビジネス手帳を用いた指導の可能性(その2)
提出物などの忘れものが減ったという報告は、手帳を導入した学校の大半で聞かれます。授業、ホームルーム、部活、委員会など、様々な場面からのタスクを一括で情報管理しておくことは、失念を防ぐのに効果的であることは容易に想像できます。❏ 情報の一括管理が、忘れ物を減らすたとえば宿題が出されたときに、科目ごとに作っている授業用のノートに書き留めても、予復習の習慣がない限り、宿題が出たことを覚えていなければノー…
ビジネス手帳を用いた指導の可能性(その1)
ビジネス手帳を使って生徒の自己管理能力を高めようという取り組みが、広がりを見せています。当然ながら、使うのは先生ではなく生徒です。宿題や提出物の期限を書き込むことで忘れ物が減ったり、学習生活を振り返らせることで自律的な生活態度が養われたり、といった効果が報告されています。首都圏の私立高校で実際に採用されているオリジナルの手帳(生産性手帳:学生ダイアリー)を拝見しました。普通のビジネス手帳と違うのは…
校種間連携で行う授業改善(研究授業&出前講義)
各地で小中高連携の輪が広がっています。都内でもこの秋、小中高合同の授業研究会がいくつも行われます。すべての研究会の成功と盛り上がりを祈念しつつ、先生方を対象に代ゼミで開催した夏のセミナーで担当させていただいた箇所を本稿で再現してみたいと思います。 ❏ 上級学校の求めに応じるだけが連携にあらず 校種間連携は、様々な形で整備が進んでいますが、その多くは上級学校で行われていることを下級学校が知るための機…
授業クリニックの現場から
タイトルにある「授業クリニック」というのは、当オフィスが提供している、授業を参観した後、授業をされた先生方とミーティングを持ち、フィードバックを行うサービスの名称です。校内に既に存在している「優れた工夫」や「意欲的な取り組み」を言語化して、校内で共有しやすいものに切り出していくのが目的です。一緒に参観した先生方との対話で、良さを改めて言語化する中で、さらに効果的を高めていくヒントが得られたり、より…