参照型教材を徹底して使い倒す#INDEX
教科書の配列に沿って各単元を学んでいくのと、副教材を使って別ルートで知識の拡充を図るのを並行させるのは好適な戦略とは言えません。主教材を軸に学びを進め、わからないこと/知らないことに出会うたびに参照型教材のページを開かせ、生徒が自力で必要な知識と理解を得るようにさせることが大切です。学期が進むにつれて、参照型教材が使い込まれ、書き込みが増えてきたら、生徒はその科目の知識と理解とともに、学び方を身に…
当オフィスは、各地の学校で授業力向上や教育改善・学校改革のお手伝いをしています。
教科書の配列に沿って各単元を学んでいくのと、副教材を使って別ルートで知識の拡充を図るのを並行させるのは好適な戦略とは言えません。主教材を軸に学びを進め、わからないこと/知らないことに出会うたびに参照型教材のページを開かせ、生徒が自力で必要な知識と理解を得るようにさせることが大切です。学期が進むにつれて、参照型教材が使い込まれ、書き込みが増えてきたら、生徒はその科目の知識と理解とともに、学び方を身に…
ステージごとの学習者特性の違いを踏まえて 学習はその場で完結するものではありません。次のステップに進むための準備(レディネス)を整えることも重要な指導目標の一つです。既習単元の知識がその先の内容を理解するための前提になることは当然ですが、ある単元を学ぶことで身につけた学び方もまた、次以降の単元を学んでいくときの重要な土台になります。不明点があるとき、先生が教えてくれるのを待つのではなく、参照型教材…
導入期から仕上げ期に向かう流れで考える「使い方」 前の記事では、参照型教材(いわゆる参考書だけでなく用語集や例文集も含まれます))を常に手元に置かせ、頻繁に使わせることで得られるメリットを考えました。文章を読んだり問題を解いたりしながら、機会ある度にページを開いて使い倒してきた参照型教材は、いつしか生徒にとって「学習を進めるときの大きな拠り所」になっているはずです。使いながら書き込まれたメモは、以…
不明を前にしたら手元の教材を参照する習慣を 前稿(その1)では、課題解決に使う場面を十分に経験させないまま、知識の拡充を図ったり、体系的な理解を形成しようとするアプローチのリスクと、コスパの低さについて考えるところをまとめました。生徒にとっての自分事となり得る課題を用意し、それに立ち向かわせる中で、知識の獲得と理解の形成を図っていく、所謂PBL型(課題解決型学習)の授業/学ばせ方への転換を図る中で…
記銘のための反復は、課題解決に活用する中で 例えば古典の授業では、まとまりのある文章を題材にした読解指導に入る前に、文法をひと通り勉強させるという手順を採ることがあります。ある程度の体系的な文法理解を作ってからでないと読解に入ってからも躓きが多くてスムーズに進めないという思いからの選択でしょう。英語でも、主教材と切り離して単語集や例文集を個々に覚えさせていくのは「普通」ですし、概説書をひと通り学び…
1 苦手意識を抑えて、伸びている実感を持たせる 1.1 苦手意識を抑えて、伸びている実感を持たせる(まとめ)1.2 学力向上感、得意・苦手に成績が及ぼす影響は?1.3 難易度からの得意/苦手の意識が受ける影響 ★ cf. 難易度をどう考え、どのように調整するか1.4 不要な苦手意識を抱かせない(前編)、(後編)1.6 科目への意識姿勢~得意と答える生徒を増やす ★1.7 相対順位の低さから自己効力…
授業評価アンケートの集計結果が伝えてくれるのは、生徒が身につけている学び方と先生の教え方/学ばせ方のマッチングの度合いです。同じように教えていても、クラスによって集計値が違うのは当たり前で、その違いは想定を超えて大きく出ることもしばしばです。質問項目ごとの集計値から学習者の集団特性を素早く捉え、教え方/学ばせ方のアジャストを図ることも授業評価アンケートの重要な活用法の一つであり、引き出しの中にどれ…
この夏も各地の学校で行われた授業評価アンケートのデータが続々と届き、その分析に取り組む毎日を過ごしています。アンケートのご利用をいただきました学校には、心より御礼を申し上げます。さて、別稿「授業評価アンケートの分析に用いる様々な手法」でもお伝えしましたが、アンケートのデータを分析するときには、目的変数とする項目(授業評価の場合は「学習効果」です)を選び、他の項目からの寄与度を重回帰分析という手法で…
どんなクラスでも学力差は存在します。たとえ、習熟度別にクラスを分けて展開授業を行っても学力差は残りますし、時間の経過ともに差が再び拡大していくのは多くの先生方が経験していることだと思います。学力差を小さくするのは容易でないとしても、学力差による悪影響を小さく抑えることはできます。ある程度の学力差があった方がクラス全体の学習成果の総量は大きくなる可能性を示唆するデータもあります。採るべき対策には以下…
クラス内に学力差が拡がるということは、生徒の躓きが起こり得る箇所が多様化することを意味します。学びは前段の理解の上に積み上げていくものですから、新たに教えた/学ばせたことの理解が固まらないところに次の内容を積んだところで意図通りの結果にはなり得ません。こまめに理解を確認できる状態を作っておき、次に進むための前提が整っているか一つひとつ確かめながら授業を進めるには、タスクを分割して付与する「スモール…
授業の成立を難しくさせるのは、科目の総合的な学力における個人差ではなく、新しく学ぶ単元の前提知識における差の大きさであり、事前に打つべき対策があるというのが、前稿までにお伝えしたことです。しかしながら、実際に授業を始めると、スタート時点での差に加え、新しいことを理解する速さや課題を処理するのに要する時間における個人差が問題になってきます。この差に対処するにも「クラス内の学力差を逆手に取って積極的に…
前稿でご紹介したデータが示すように、クラス内にある程度の学力差があった方がクラス全体での学習成果の総量は大きくなるとはいえ、度を過ぎては弊害が大きくなるのもまた事実です。日々の授業で成果を一つひとつ着実に積み上げ、新たな差を作らないようにしたいものです。日々の授業で成果を積み上げる上で問題となるのは、学力差ではなく前提知識の有無です。授業の成否を分けるのは、その科目の総合的な学力ではなく、その日の…
新しい学力観に沿った学ばせ方への転換を図る中で「主体的・対話的で深い学び」がどこまで実現できたか測定することは、これまでに重ねた授業改善に向けた行動の妥当性を検証し、効果を挙げてきた優良実践を抽出するために欠かせません。今後のさらなる改善に向けて、どこに次の一歩を踏み出すべきかの判断をするにも欠かせないデータの一つになるはずです。授業者としての行動/活動の配列などに視点を置くことも大切でしょうが、…
現場で頑張る先生方が「主体的・対話的で深い学び」の実現を目指して様々な工夫を凝らし、日々の授業改善に取り組んでおられる様子に大いに刺激される今日この頃です。このキーフレーズを定義し直し、構成要素ごとに到達段階の指標を書き出せれば、新しい授業観にそった学ばせ方の転換がどこまで進んできているかの検証もできそうです。 2018/06/19 公開の記事をアップデートしました。 ❏ 検証の指標は、授業者では…